- プラセンタ注射とは?更年期障害・疲労感・美容目的で注目される治療
- プラセンタの種類|注射・サプリ・化粧品は同じではありません
- 医療用プラセンタ注射の種類|メルスモンとラエンネックの違い
- プラセンタ注射に期待される効果
- 更年期障害の治療におけるプラセンタの位置づけ
- プラセンタ注射の保険適応|保険で受けられる場合と自費になる場合
- 男性もプラセンタ注射を受けられる?男性更年期への効果は?
- プラセンタ注射の回数と期間|どれくらい通えばよい?
- プラセンタ注射の副反応・副作用
- プラセンタ注射と感染症リスク|安全性は大丈夫?
- プラセンタ注射を受けると献血できない?輸血は受けられる?
- プラセンタ注射がおすすめされやすい方
- プラセンタ注射を控えた方がよい・相談が必要な方
- よくある質問
- まとめ|プラセンタ注射は、更年期や疲労感に悩む方の選択肢の一つ
- 参考文献
プラセンタ注射とは?更年期障害・疲労感・美容目的で注目される治療
「最近、疲れが抜けにくい」「更年期のほてりや汗、イライラ、不眠がつらい」「肌の調子が落ちてきた」――このようなお悩みで、プラセンタ注射に興味を持つ方が増えています。
プラセンタとは「胎盤」を意味します。医療機関で使用されるプラセンタ注射は、ヒト胎盤由来成分を含む医療用医薬品であり、サプリメントや化粧品のプラセンタとは別物です。
日本で承認されている医療用プラセンタ注射には、主にメルスモンとラエンネックがあります。特にメルスモンは更年期障害に対して保険適応があり、症状に悩む方にとって治療の選択肢の一つになります。
この記事でわかること
- プラセンタ注射とは何か
- プラセンタの種類とメルスモン・ラエンネックの違い
- 更年期障害に対するプラセンタ注射の効果
- プラセンタ注射の保険適応と自費診療になるケース
- 男性や男性更年期に使えるのか
- 注射の回数・期間・効果判定の目安
- 副反応・副作用と注意点
- プラセンタ注射後の献血・輸血に関する注意点
プラセンタの種類|注射・サプリ・化粧品は同じではありません
「プラセンタ」と一言でいっても、医療用の注射薬、サプリメント、化粧品では原料・品質管理・期待される効果・法的な位置づけが異なります。
| 種類 | 主な原料 | 特徴 |
|---|---|---|
| 医療用プラセンタ注射 | ヒト胎盤由来成分 | 医師の診察のもとで使用する医療用医薬品。保険適応となる病気が決まっています。 |
| プラセンタサプリメント | 豚・馬など | 健康食品として販売されるもの。医療用注射薬と同等の効果を期待するものではありません。 |
| プラセンタ化粧品 | 動物由来成分など | 肌に塗布する製品。医薬品として更年期障害を治療するものではありません。 |
更年期障害や慢性肝疾患に対して医療機関で使用するプラセンタは、医療用のヒト胎盤由来注射製剤です。美容目的のサプリメントや化粧品とは分けて考えることが大切です。
医療用プラセンタ注射の種類|メルスモンとラエンネックの違い
日本で使用される代表的な医療用プラセンタ注射には、メルスモンとラエンネックがあります。
| 製剤名 | 保険適応 | 主な使い方 |
|---|---|---|
| メルスモン | 更年期障害、乳汁分泌不全 | 更年期障害に伴うほてり、発汗、疲労感、イライラ、不眠などの症状に対して検討されます。 |
| ラエンネック | 慢性肝疾患における肝機能の改善 | 慢性肝疾患に伴う肝機能異常に対して使用されます。美容・疲労回復目的では保険適応外です。 |
つまり、更年期障害で保険診療としてプラセンタ注射を受ける場合は、一般的にはメルスモンが対象になります。一方、美肌、疲労回復、肩こり、アンチエイジング目的などは、原則として自費診療になります。
プラセンタ注射に期待される効果
プラセンタ注射は、ホルモンそのものを補充する治療ではありません。更年期障害に対しては、体のバランスを整え、さまざまな不調をやわらげる目的で使用されます。
更年期障害に対する効果
更年期障害では、閉経前後に女性ホルモンであるエストロゲンが大きくゆらぎ、以下のような症状が出ることがあります。
- ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ
- 汗をかきやすい
- 疲れやすい、だるい
- イライラ、不安感、気分の落ち込み
- 不眠、眠りが浅い
- 肩こり、頭痛、めまい
- 動悸、息切れ
- 肌の乾燥やハリの低下
メルスモンは、更年期障害に対して承認されている医療用プラセンタ注射です。更年期症状が強く、生活や仕事に支障が出ている方では、我慢せずに治療を相談する価値があります。
ポイント:プラセンタ注射は「更年期だから仕方ない」とあきらめていた不調に対して、治療の選択肢になり得ます。特に、ほてり・発汗だけでなく、疲労感、眠りの浅さ、気分のゆらぎなど複数の症状が重なっている方は相談しやすい治療です。
美肌・肌のハリ・疲労回復への効果は?
プラセンタ注射は、美容医療の分野でも「美肌」「肌のハリ」「疲労回復」「肩こり」「アンチエイジング」などを目的に使われることがあります。ただし、これらの目的は保険適応外です。また、効果には個人差があり、「必ず若返る」「必ず疲れが取れる」といった治療ではありません。一方で、実際の診療では「疲れにくくなった」「寝起きが楽になった」「肌の調子がよい」と感じる方もいます。美容目的・疲労回復目的で希望する場合は、自費診療としてメリットと注意点を理解したうえで受けることが大切です。
更年期障害の治療におけるプラセンタの位置づけ
更年期障害の治療には、主に以下の選択肢があります。
- 生活習慣の見直し
- ホルモン補充療法(HRT)
- 漢方薬
- 抗うつ薬・抗不安薬など
- プラセンタ注射
更年期障害の標準的な治療としては、ホットフラッシュや発汗などに対してHRTが有効な選択肢です。ただし、乳がんの既往、血栓症のリスク、肝疾患、不正出血などがある場合には、HRTを慎重に考える必要があります。そのような場合、症状や体質によっては、漢方薬やプラセンタ注射などを組み合わせて治療を考えることがあります。プラセンタはHRTと同じ治療ではありませんが、HRTが合わない方、ホルモン剤に抵抗がある方、複数の更年期症状で悩む方にとって相談しやすい選択肢です。
プラセンタ注射の保険適応|保険で受けられる場合と自費になる場合
プラセンタ注射は、目的によって保険診療になる場合と自費診療になる場合があります。
保険適応になる主なケース
- 更年期障害:メルスモンが対象
- 乳汁分泌不全:メルスモンが対象
- 慢性肝疾患における肝機能の改善:ラエンネックが対象
更年期障害として保険診療でプラセンタ注射を行う場合は、問診で症状を確認し、必要に応じて血液検査や他の病気の鑑別を行います。
自費診療になる主なケース
- 美肌、肌のハリ、しみ・しわ対策
- 疲労回復
- 肩こり、腰痛
- アンチエイジング目的
- 男性更年期、男性の疲労感
- 更年期障害の診断基準を満たさない場合
注意:「プラセンタ注射=すべて保険で受けられる」わけではありません。美容目的・疲労回復目的・男性更年期目的では、原則として自費診療になります。
男性もプラセンタ注射を受けられる?男性更年期への効果は?
男性でも、医師の診察のもとでプラセンタ注射を受けることは可能です。ただし、男性更年期や疲労回復目的でのプラセンタ注射は、原則として保険適応外です。男性更年期は、医学的にはLOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)として扱われます。症状には、疲労感、意欲低下、イライラ、不眠、発汗、筋力低下、性機能低下などがあります。男性更年期が疑われる場合は、単にプラセンタ注射を始めるだけでなく、以下のような病気が隠れていないかを確認することが大切です。
- うつ病、不安障害
- 睡眠時無呼吸症候群
- 甲状腺機能異常
- 糖尿病
- 貧血
- 肝機能障害
- テストステロン低下
男性の疲労感や更年期症状に対して、プラセンタ注射を希望される方もいますが、まずは原因を確認したうえで、生活習慣改善、睡眠、運動、漢方、テストステロン補充療法の適応などを含めて総合的に考えることが大切です。
プラセンタ注射の回数と期間|どれくらい通えばよい?
プラセンタ注射の回数や期間は、目的、症状、保険診療か自費診療かによって異なります。
更年期障害で保険診療として行う場合
メルスモンの添付文書上の用法は、通常、1日1回2mLを毎日または隔日に皮下注射です。実際の診療では、症状の強さや通院のしやすさを考慮しながら、医師と相談して回数を決めます。まずは数週間から1〜2か月程度を目安に、ほてり、汗、睡眠、疲労感、気分の変化などを確認します。効果を感じる場合は継続し、症状が落ち着いてきたら間隔を調整していくことがあります。
自費診療で美容・疲労回復目的に行う場合
美容や疲労回復目的では、保険適応外となります。頻度は医療機関によって異なりますが、一般的には週1〜2回程度から開始し、体調や目的に応じて調整することが多いです。ただし、漫然と続けるのではなく、「何を改善したいのか」「どの程度変化があるのか」を定期的に確認することが大切です。
プラセンタ注射の副反応・副作用
プラセンタ注射は比較的受けやすい治療ですが、医療用医薬品である以上、副反応や副作用が起こる可能性があります。
比較的よくみられる副反応
- 注射部位の痛み
- 注射部位の赤み、腫れ、硬結
- かゆみ
- 発疹
- 発熱
- 悪寒
- 悪心、気分不快
まれだが注意が必要な副作用
- アレルギー反応
- ショック
- 肝機能障害
- 頭痛
- 女性型乳房など
注射後に、息苦しさ、全身のじんましん、強い気分不快、血圧低下、意識がぼんやりするなどの症状が出た場合は、すぐに医療機関へ相談してください。
プラセンタ注射と感染症リスク|安全性は大丈夫?
医療用プラセンタ注射は、国内のヒト胎盤を原料として製造され、原料提供者の問診、感染症検査、製造工程での加熱処理など、安全対策が行われています。一方で、ヒト由来成分を原料としているため、添付文書上も感染症伝播のリスクを完全にゼロにはできないとされています。現在まで、プラセンタ注射によって変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が伝播したという報告はありませんが、理論上のリスクが完全には否定できないため、治療前に説明を受ける必要があります。
大切なポイント:プラセンタ注射は「危険な治療」という意味ではありませんが、ヒト由来製剤であるため、メリットとリスクを理解したうえで受ける治療です。
プラセンタ注射を受けると献血できない?輸血は受けられる?
プラセンタ注射で特に誤解されやすいのが、献血と輸血の問題です。結論からいうと、プラセンタ注射を受けた方は、原則として献血ができなくなります。これは、輸血を受ける患者さんを守るための予防的な対応です。一方で、プラセンタ注射を受けた本人が、将来、輸血を受けられなくなるわけではありません。手術やけがなどで輸血が必要になった場合、輸血を受けること自体は可能です。
| 項目 | プラセンタ注射後の扱い |
|---|---|
| 献血 | 当面の間、献血はできません。 |
| 輸血を受けること | 必要な場合、輸血を受けることはできます。 |
献血を日常的に行っている方、骨髄バンクや医療提供に関心のある方は、プラセンタ注射を始める前にこの点を理解しておきましょう。
プラセンタ注射がおすすめされやすい方
次のような方は、プラセンタ注射について医師に相談してみてもよいでしょう。
- 更年期障害によるほてり、発汗、疲労感、不眠で悩んでいる
- 更年期の症状が複数あり、生活や仕事に支障がある
- HRTに抵抗がある、またはHRTが使いにくい事情がある
- 漢方薬だけでは症状が十分に改善しない
- 慢性的な疲労感や肌の不調について相談したい
- 男性更年期が気になり、疲労感や意欲低下を相談したい
プラセンタ注射は「絶対に効く治療」ではありませんが、つらい症状を我慢している方にとって、生活の質を改善するきっかけになる可能性があります。
プラセンタ注射を控えた方がよい・相談が必要な方
以下に当てはまる方は、プラセンタ注射を希望する前に必ず医師へ相談してください。
- 過去にプラセンタ注射でアレルギー反応が出たことがある
- 薬や注射で強いアレルギーを起こしたことがある
- 肝機能障害を指摘されている
- 妊娠中、授乳中である
- 現在治療中のがんがある
- 免疫に関わる病気で治療中である
- 献血を今後も続けたい
治療を安全に行うためには、現在の病気、内服薬、アレルギー歴、過去の注射歴を医師に伝えることが大切です。
よくある質問
Q. プラセンタ注射はどれくらいで効果が出ますか?
早い方では数回で体調の変化を感じることもありますが、効果には個人差があります。更年期障害では、数週間から1〜2か月程度を目安に、症状の変化を確認することが多いです。
Q. プラセンタ注射は毎週打たないと意味がありませんか?
必ず毎週打たなければならないわけではありません。症状が強い時期は回数を増やし、落ち着いてきたら間隔をあけるなど、目的や体調に合わせて調整します。
Q. プラセンタ注射で更年期障害は治りますか?
更年期障害そのものを完全に「治す」というより、つらい症状をやわらげ、生活の質を改善することを目指す治療です。HRT、漢方薬、生活習慣の見直しなどと組み合わせて考えることがあります。
Q. 男性もプラセンタ注射を受けられますか?
男性でも受けることは可能ですが、男性更年期や疲労回復目的では原則として自費診療です。疲労感や意欲低下の背景に、睡眠時無呼吸症候群、うつ病、甲状腺機能異常、糖尿病、テストステロン低下などが隠れていることもあるため、まずは診察で原因を確認することが大切です。
Q. プラセンタ注射を受けると献血できなくなりますか?
はい。ヒト胎盤由来製剤の注射を受けたことがある方は、日本赤十字社では当面の間、献血を控える扱いになっています。ただし、本人が将来、輸血を受けられなくなるわけではありません。
Q. プラセンタ注射は美容目的でも保険が使えますか?
使えません。美肌、疲労回復、肩こり、アンチエイジング目的は保険適応外です。保険適応となるのは、メルスモンでは更年期障害・乳汁分泌不全、ラエンネックでは慢性肝疾患における肝機能の改善です。
まとめ|プラセンタ注射は、更年期や疲労感に悩む方の選択肢の一つ
プラセンタ注射は、医師の診察のもとで行う医療用の注射治療です。特にメルスモンは、更年期障害に対して保険適応があり、ほてり、発汗、疲労感、不眠、イライラなどに悩む方にとって、相談しやすい治療の一つです。一方で、美肌、疲労回復、男性更年期、アンチエイジング目的では原則として自費診療になります。また、注射部位の痛み、発疹、発熱、まれなアレルギー反応などの副反応があり、ヒト由来製剤としての注意点もあります。「更年期だから仕方ない」「年齢のせいだから我慢するしかない」と思っている方も、治療で楽になる可能性があります。症状が続く場合は、プラセンタ注射を含めて、自分に合った治療を医師と相談してみましょう。

