大人になっても必要!予防のためのワクチン接種ガイド【最新版】

薬・その他

1.なぜワクチンを打たなければならないのか?

ワクチン接種は子どもの時だけの話だと思っていませんか?実は、大人になってからも接種が必要なワクチンが多数あります。その理由は以下の3つです。

  • 免疫の減衰:子どもの頃に受けたワクチンでも、年齢とともに効果が弱まることがあります。
  • 生活環境の変化:仕事や妊娠、海外旅行などで新たな感染リスクが生じる場合があります。
  • 周囲への感染予防:自分が感染源にならないよう、集団免疫の観点からも大切です。

例えば、風しんの流行で妊婦に感染が広がれば、胎児に重大な影響を与える先天性風しん症候群のリスクがあります。大人一人ひとりが感染症予防の意識を持つことが、社会全体の健康を守ることにつながります。

2.大人になって接種が必要なワクチンは?(公費・自費)

ワクチンには定期接種(原則公費負担)と任意接種(原則自費)があります。大人でも公費で受けられるワクチンがある一方、自己負担で接種すべきワクチンもあります。

ワクチン 対象者 公費/自費 コメント
インフルエンザ 65歳以上、高リスク者 公費(定期) 毎年接種が推奨される
肺炎球菌(23価) 65歳以上 公費(定期) 5年おきの再接種が考慮される
風しん(MR混合) 昭和37年〜53年生まれ男性など 公費(定期) 抗体検査+無料クーポン接種あり
帯状疱疹 50歳以上 公費(定期) 高齢者の発症予防に有効
子宮頸がん(HPV) キャッチアップ世代の女性 公費(定期) 2025年までの期限付き公費あり
B型肝炎 医療従事者、高リスク行動のある人 自費(任意) 性感染症や血液感染予防に有効

2025年4月1日から、帯状疱疹ワクチンが定期接種の対象となり、公費助成が開始されましたこれにより、対象年齢の方々は、自己負担を軽減して接種を受けられるようになりました。

帯状疱疹ワクチンには、以下の2種類があります

  1. 生ワクチン(1回接種):乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」

  • 費用:自己負担額は約4,000円程度(自治体によって異なります)
  • 効果持続期間:約5~7年
  • 70歳以上では効果が出にくいとされている
  1. 不活化ワクチン(2回接種):帯状疱疹ワクチン「シングリックス®」

  • 費用:1回あたり約11,000円、2回で約22,000円(自治体によって異なります)
  • 効果持続期間:10年以上
  • 高齢者にも高い予防効果が期待される

どちらのワクチンを選択するかは、年齢や健康状態、費用負担などを考慮して、医師と相談の上で決定されることをお勧めします

3.ワクチンの種類と接種推奨年齢

ワクチンには「不活化ワクチン」「生ワクチン」などの種類があり、接種の間隔や年齢の目安も異なります。

ワクチン名 種類 推奨接種年齢 備考
インフルエンザ 不活化 毎年(特に高齢者) 毎年10〜12月の接種が推奨
肺炎球菌(23価) 不活化 65歳以上 5年後に再接種考慮
帯状疱疹(シングリックス) 不活化 50歳以上 2回接種(2ヶ月間隔)
HPV(子宮頸がん) 不活化 12〜16歳(キャッチアップは45歳まで) 9価ワクチンが主流
風しん・麻しん(MR) 成人男性(昭和37〜53年生) 予防接種歴や抗体価で判断
B型肝炎 不活化 医療従事者、リスクの高い人 3回接種が基本

6.自分に必要なワクチンがわかる便利なサイト

「どのワクチンを受ければいいのかわからない」という方には、以下のサイトが便利です。

さらに、自治体によっては「接種履歴の確認サービス」や「無料クーポン配布」を行っている場合もあるので、住んでいる市区町村の保健所や役所に問い合わせてみましょう。

7.海外渡航時に推奨されるワクチン

海外旅行・出張の際には、行き先や滞在期間に応じて、追加でワクチンを接種する必要があります。特に発展途上国では以下の感染症リスクが高まります。

渡航地域 推奨ワクチン
東南アジア、南米、アフリカ A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、腸チフス
アフリカ(黄熱流行地域) 黄熱(国によっては入国条件)
インド、ネパールなど コレラ、腸チフス
中東、アフリカ一部地域 髄膜炎菌ワクチン(巡礼時必須)

ワクチンの接種時期は出発の1ヶ月以上前が望ましく、トラベルクリニックや検疫所で接種が可能です。

8.新型コロナウイルスワクチンは打つべき?

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンについては、流行状況や重症化リスク、ワクチンの有効性などを踏まえて接種が検討されます。

  • 重症化リスクのある高齢者や基礎疾患のある方には強く推奨されています。
  • 若年層や健康な成人については、現在は「任意接種」として自己判断に委ねられています。

最新のワクチンはオミクロン株対応型(XBB系統)が主流で、副反応も比較的少なくなっています(厚労省, 2024)。また、インフルエンザとの同時接種も可能とされ、利便性も向上しています。

9.参考文献

  1. 厚生労働省. 成人における予防接種の推奨.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187997.html
  2. 日本ワクチン学会. 成人の予防接種ガイドライン.
    https://www.jsvac.jp/
  3. 国立感染症研究所. 感染症発生動向調査.
    https://www.niid.go.jp/
  4. CDC. Vaccine Information for Adults.
    https://www.cdc.gov/vaccines/adults/index.html
  5. WHO. International Travel and Health – Vaccination requirements and recommendations.
    https://www.who.int/ith/en/
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