【保存版】骨粗鬆症とは?原因・症状・検査・治療まで完全ガイド|早期発見で骨折を防ぐ

おとなの病気

1. 骨粗鬆症とは?高齢社会における「静かな骨の病気」

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨の密度と質が低下し、骨がもろくなることで骨折リスクが高まる慢性疾患です。特に高齢者や閉経後の女性に多く見られ、日本国内の患者数は約1,280万人と報告されています(日本骨粗鬆症学会, 2023年)。

骨は日々「壊す(骨吸収)」と「作る(骨形成)」という新陳代謝を繰り返しており、このバランスが崩れることで骨量が減少します。骨粗鬆症は、このバランスが崩れることで骨の強度が低下し、わずかな転倒でも骨折しやすくなる病気です。

2. 骨粗鬆症の症状|無症状でも進行する「沈黙の病気」

骨粗鬆症は初期段階では自覚症状がほとんどないため、「沈黙の疾患」とも呼ばれます。気づかないうちに骨量が減少し、以下のような症状が現れた時にはすでに重度の骨粗鬆症であることも少なくありません。

  • 背中や腰の慢性的な鈍痛
  • 身長の低下(数cm〜10cm以上)
  • 円背(猫背)・亀背(せむし状の背中)
  • ちょっとした転倒で骨折(大腿骨近位部・脊椎・橈骨)
  • 圧迫骨折に伴う呼吸困難や内臓圧迫

これらの症状が出現する前の定期的な検査と予防的介入が、生活の質(QOL)を守る鍵となります。

3. 骨粗鬆症の主な原因|加齢・ホルモン・栄養・生活習慣が影響

骨粗鬆症の原因は一つではなく、多因子性です。特に以下のような要因が骨量低下に影響します。

原因分類 内容
加齢 骨形成の減少により骨密度が低下
閉経 エストロゲンの急減により骨吸収が増加
栄養不良 カルシウム・ビタミンD・タンパク質不足
運動不足 骨への負荷が減り、骨形成が低下
喫煙・飲酒 骨代謝の悪化
ステロイド使用 長期使用により骨密度が著しく低下
慢性疾患 甲状腺機能亢進症、糖尿病、慢性腎臓病など

近年では、二次性骨粗鬆症という、他の病気や薬剤の影響によって起こるタイプも注目されています(NIH Osteoporosis Fact Sheet, 2022)。


4. 骨粗鬆症の検査はいつ受ける?|リスクの高い人のチェックリスト

骨粗鬆症は早期発見が予後を大きく左右する疾患であり、以下の条件に当てはまる方は早期に検査を受けることが推奨されています。

骨粗鬆症検査を受けるべき人(チェックリスト)

  • 50歳以上の閉経後女性
  • 70歳以上の高齢者(男女問わず)
  • 両親に大腿骨骨折の既往がある方
  • BMIが18.5未満のやせ型体型
  • ステロイド薬を3ヶ月以上使用中
  • 身長が2cm以上縮んだ
  • 腰や背中の痛みが続いている
  • 既に一度骨折歴がある

骨密度検査のタイミングと頻度

  • 閉経後女性:閉経直後から骨密度測定を開始(推奨:DXA法)
  • 高齢者(65歳以上):症状がなくても2年に1回のスクリーニングを推奨
  • 骨折リスクが高い人:1〜2年ごとの再評価を(日本骨粗鬆症学会, 2023)

5. 骨折から寝たきりへ?骨粗鬆症の怖い予後

骨粗鬆症が進行すると、大腿骨近位部骨折(太ももの付け根)や脊椎圧迫骨折が発生しやすくなります。これらの骨折は単なるけがではなく、生活自立度の低下・寝たきり・要介護化の引き金になります。

骨折がもたらす健康被害

  • 廃用症候群(筋力・ADLの著しい低下)
  • 認知症の進行、うつ状態の悪化
  • 誤嚥性肺炎や褥瘡の発生
  • 社会的孤立とQOLの低下

また、大腿骨骨折後の1年以内の死亡率は女性で10~15%、男性では20%以上と報告されており(Cooper et al., BMJ 2011)、心筋梗塞や脳卒中に匹敵する深刻な疾患といえます。

📝【ポイント】骨折を「防ぐ」ことこそが、骨粗鬆症治療の最も重要な目的です。


6. 骨粗鬆症の検査と診断|骨密度だけでなく多角的評価を

診断には、骨密度検査(DXA法)が基本ですが、臨床的なリスク因子や血液・尿検査も併用されます。

検査の種類 内容
DXA法(デキサ法) 腰椎・大腿骨の骨密度を測定。YAM(若年成人平均値)で評価
X線検査 圧迫骨折の確認
血液検査 骨代謝マーカー(TRACP-5b、P1NPなど)、Ca・P・ビタミンDレベルなど
骨折リスク評価ツール FRAX®(WHO開発)を用いて10年以内の骨折リスクを評価

※この後、「骨粗鬆症の治療法」「骨粗鬆症の治療薬の種類と副作用」「予防に有効な食事と運動」「再発予防」などを追記して合計5,000字以上に展開可能です。


7.骨粗鬆症の検査方法|超音波による骨密度測定(QUS)の特徴とは?

骨粗鬆症のスクリーニング検査として、最もよく知られているのは「DXA(デキサ)法」ですが、より簡便で身近な方法として「超音波法(QUS)」も利用されています。

特に地域の健康診断や調剤薬局、自治体の健診バスなどで手軽に受けられるため、初めて骨密度をチェックする方にもおすすめの検査方法です。


超音波法(QUS)とは?

超音波法とは、かかと(踵骨)などの骨に超音波を当てて、音の伝わる速度や減衰度を測定することで骨密度を推定する方法です。X線を使用しないため、放射線被曝がないのが最大の特徴です。


【表】超音波法による骨密度測定のメリットとデメリット

項目 内容
メリット
放射線被曝なし X線を使わないため妊婦や若年者にも安全
短時間で測定可能 片足を機器に入れるだけで数分で終了
携帯性が高い 小型で検診車やドラッグストアでも導入されている
コストが低い 検査費用が比較的安価(無料イベントもあり)
骨折リスクの予測に一定の有効性 WHOもスクリーニング目的での使用を認めている
デメリット
精度がDXAより劣る 骨量だけでなく骨構造も影響しやすいためばらつきがある
測定部位が限定的 主にかかとのみ測定。腰椎・大腿骨の評価はできない
骨粗鬆症の診断基準に使えない 日本骨粗鬆症学会の診断基準ではDXA法が推奨されている
経時的な変化の評価には不向き 同一個人のフォローアップには適していない

どんな人に超音波法がおすすめ?

  • まず自分の骨の状態を大まかに知りたい方
  • 健診会場や薬局で手軽にチェックしたい方
  • 妊娠中などで放射線が気になる方
  • DXA法が近隣にない地域在住の方

一方で、骨粗鬆症が疑われる場合や薬物治療の開始を検討する場合は、より精密な「DXA法」での骨密度検査が必要です。

参考文献

  1. 日本骨粗鬆症学会. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2023年版
  2. 厚生労働省「骨粗鬆症予防のための食生活指針」
  3. Cooper et al. BMJ 2011;343:d5181
  4. NIH Osteoporosis and Related Bone Diseases National Resource Center
  5. Kanis JA et al. Osteoporos Int. 2019
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