はじめに:ランニングや階段で膝の外側が痛むあなたへ
「ランニング中に膝の外側がズキズキと痛む」「階段を下りるたびに膝がつらい」──このような症状に心当たりがある方は、腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)、通称ランナーズニーの可能性があります。
腸脛靭帯炎は、スポーツをしている方や日常的に膝を使う機会が多い方に発症しやすい疾患で、放置すると慢性化する恐れがあります。この記事では、腸脛靭帯炎の症状・原因・診断法・治療・予防方法について、地域住民の皆様にわかりやすく、SEO対策も意識しながら図解付きで詳しく解説していきます。
1.腸脛靭帯炎(ランナーズニー)とは?|膝外側の痛みの原因に多い疾患
腸脛靭帯炎は、膝の外側に炎症が生じる代表的なスポーツ障害の一つで、ランナーやサイクリスト、登山者などに多く発症します。
腸脛靭帯とは、太ももの外側にある大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)から始まり、脛骨(けいこつ)にかけて伸びる強靭な靭帯です。膝を屈伸する動作を繰り返すことで、この靭帯が大腿骨外側上顆(がいそくじょうか)と擦れて炎症を起こすのが主なメカニズムです。

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“ランナーズニー”は、腸脛靭帯炎を含む膝まわりのスポーツ障害の俗称で、医学的な正式名称ではありません。
2.腸脛靭帯炎の代表的な症状|膝外側の鋭い痛みに注意
腸脛靭帯炎の主な症状は次のとおりです:
- 膝の外側にピンポイントで鋭い痛み
- ランニング開始後しばらくして痛みが出現
- 長時間の歩行や坂道・階段の昇降で痛みが悪化
- 運動を中止すると痛みがやや軽減する
- 膝を約30度曲げた時に特に強い痛みが出る
膝の外側を指で押すと痛むのも特徴的です。
3.腸脛靭帯炎の原因|オーバーユースと筋バランスの乱れが主因
腸脛靭帯炎は、単なる膝の使いすぎだけでなく、筋力のアンバランスや身体の動きのクセも深く関係しています。
原因 | 内容 |
---|---|
オーバーユース | 長距離ランやサイクリングによる膝の過負荷 |
筋力のアンバランス | 中臀筋・大臀筋の筋力低下により膝に余分な負担が集中 |
柔軟性の低下 | 腸脛靭帯や大腿筋の硬さにより滑走性が悪化 |
ランニングフォームの不良 | 回内足や骨盤の傾きなどが腸脛靭帯へのストレスを増加 |
不適切なシューズ・路面 | クッション性の不足や硬い路面での走行も影響 |
4.腸脛靭帯炎になりやすい人とは?|リスク因子をチェック
以下のような方は、腸脛靭帯炎のリスクが高いとされています:
- 急にトレーニングを増やした初心者ランナー
- フルマラソンを目指して練習量が多い人
- O脚や回内足など足の形に特徴がある人
- 柔軟性がなく、ストレッチを怠りがちな人
- 中高生の運動部所属者(特に陸上・サッカー)
5.腸脛靭帯炎の検査・診断法|整形外科で確実にチェック
腸脛靭帯炎の診断は、整形外科やスポーツクリニックで行われます。以下の方法で診断されます。
📋 主な診断方法
- 問診:痛みの出るタイミングや部位、運動歴などを確認
- 触診:膝の外側を押して痛みを誘発
- Oberテスト:腸脛靭帯の緊張を確認する徒手検査
- MRIや超音波:他の病気との鑑別が必要な場合に使用
6.腸脛靭帯炎の治療方法|保存療法が基本
🛏 ① 安静とアイシング
まずは運動を休止し、炎症を抑えるために膝の外側を冷やします。
🧘♂️ ② ストレッチと筋トレ(図解あり)
- 腸脛靭帯と大腿筋膜張筋のストレッチ
- 中臀筋・大臀筋の筋力強化(ヒップリフト、サイドレッグレイズなど)
💊 ③ 薬物療法
- 炎症を抑えるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
- 痛みが強い場合には短期間の服用が有効
💉 ④ 注射治療(難治性の場合)
-
ステロイドの局所注射を行うこともあります(必要に応じて)
🩺 ⑤ 手術(ごくまれ)
-
保存療法が全く効かない場合に限り、外科的処置が選択されます
7.腸脛靭帯炎の予防法|日頃のケアで再発予防
腸脛靭帯炎は、再発しやすい疾患ですが、日常生活での予防が非常に重要です。
✅ 再発を防ぐための5つの習慣
- 毎回の運動前後に丁寧なストレッチを実施
- お尻・太もも周辺の筋力トレーニングを習慣化
- 自分に合ったランニングシューズを選ぶ
- トレーニングは徐々に負荷を上げる
- 痛みが出たら早めに整形外科へ相談
8.まとめ|腸脛靭帯炎は早めに相談を
腸脛靭帯炎(ランナーズニー)は、早期に対処すれば十分に改善が可能です。症状を感じたら無理をせず、地域の整形外科やスポーツクリニックに相談しましょう。日々のストレッチと筋力トレーニングを続けることが、再発予防のカギです。
参考文献
- Fredericson M, et al. Sports Medicine, 2005
- Fairclough J, et al. Journal of Anatomy, 2006
- 日本整形外科学会ガイドライン
- 日本臨床スポーツ医学会資料