１．筋緊張型頭痛とは？【現代人に増えている頭痛の正体】
筋緊張型頭痛（Tension-Type Headache：TTH）は、一次性頭痛の中でも最も頻度が高いタイプで、日本人の約2,000万人が経験していると推定されています（日本頭痛学会, 2021）。
この頭痛は、「締めつけられるような鈍い痛み」が特徴で、主に頭の両側・後頭部・首筋にかけて痛むことが多いです。
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「慢性頭痛」「締め付けるような痛み」「肩こりと頭痛の関係」などが検索されやすいため、本記事ではそれらを網羅的に解説します。
２．筋緊張型頭痛の症状【片頭痛との違いも解説】
筋緊張型頭痛の症状は比較的軽度ですが、慢性的に繰り返すことで生活の質を低下させることがあります。
| 主な症状 | 解説 |
|---|---|
| 鈍い痛み・締めつけ感 | ヘルメットをかぶったような圧迫感。ズキズキせず、一定の痛みが続く |
| 痛みの部位 | 頭の両側、後頭部、首、肩周囲に広がる |
| 持続時間 | 30分〜数時間。慢性化すると1日中続くことも |
| 吐き気・光過敏 | 基本的にはない（偏頭痛とは異なる点） |
| 日常生活への影響 | 軽度〜中等度。仕事や家事をしながら我慢している人も多い |
偏頭痛との違い
偏頭痛は「ズキズキする片側性の痛み」「吐き気・音や光に敏感になる」といった特徴があり、筋緊張型頭痛とは明確に異なります。
３．筋緊張型頭痛の原因となりやすい人とは？
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筋緊張型頭痛の主な誘因は、筋肉の緊張と精神的ストレスです。以下のような人がなりやすいとされています。
1. 長時間同じ姿勢で作業する人（デスクワーク、スマホ操作）
→ 頚部〜肩の筋肉に持続的な負荷がかかり、血行不良や筋疲労を引き起こします。
2. ストレスを抱えやすい人
→ ストレスは自律神経を乱し、筋肉の緊張を高める要因になります。
3. 睡眠不足・生活リズムが不安定な人
→ 睡眠の質が悪いと、回復力が落ち、慢性的な頭痛へとつながります。
4. 噛みしめ・歯ぎしりがある人
→ 顎関節の筋肉（咬筋・側頭筋）の緊張が頭痛の引き金になります。
5. 運動不足
→ 血流が滞りやすく、肩こりや首こりを悪化させるため頭痛を助長します。
６．筋緊張型頭痛の検査と診断【他の病気との鑑別が重要】
筋緊張型頭痛は問診で診断されることが多いですが、症状が持続する場合や異常を伴う場合は、他の疾患との鑑別が必要です。
| 検査項目 | 解説 |
|---|---|
| 問診・症状の聴取 | 頭痛の部位・性質・頻度・誘因などを確認 |
| 神経学的診察 | 感覚障害・麻痺などの神経症状の有無をチェック |
| 頭部CT・MRI | 脳腫瘍・脳出血・動脈瘤などの器質的疾患を除外 |
| 血液検査 | 炎症反応・甲状腺機能などを確認する場合あり |
ICHD-3（国際頭痛分類第3版）に基づく診断基準
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両側性
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圧迫感または締め付けられるような痛み
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軽度〜中等度
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日常動作によって悪化しない
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吐き気・嘔吐を伴わない
７．筋緊張型頭痛の治療【薬と生活改善の両輪が大切】
薬物療法（急性期対応）
| 薬の種類 | 代表例 | 備考 |
|---|---|---|
| 鎮痛薬 | アセトアミノフェン、NSAIDs | 使用頻度が高い。連用は避ける（薬物乱用頭痛のリスク） |
| 筋弛緩薬 | チザニジン、エペリゾン等 | 筋肉の緊張を和らげる |
| 抗不安薬 | エチゾラムなど | ストレス性の場合に限定的に使用 |
非薬物療法（慢性期・再発予防）
1. ストレッチ・温熱療法
→ 肩・首の筋肉をほぐす。温かいタオルや入浴が有効。
2. 認知行動療法（CBT）
→ 頭痛とストレスの関連性に気づき、行動を調整する。
3. 運動療法
→ 軽いウォーキングやヨガが血流改善に有効。
4. 抗うつ薬（アミトリプチリンなど）
→ 慢性頭痛の頻度を減らす目的で使用される（特に毎日のように痛む場合）。
【文献的考察】
慢性の筋緊張型頭痛に対する三環系抗うつ薬の有効性は、複数のRCTで報告されており（Bendtsen et al., Cephalalgia, 2010）、特に頭痛頻度の軽減に寄与することが示されています。
８．筋緊張型頭痛の予防法【毎日のケアが大切】
予防の鍵は「姿勢の改善」「ストレス管理」「適度な運動」です。
1. 姿勢改善と定期的なストレッチ
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モニターは目の高さに
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座位作業中は1時間ごとに体を動かす
2. ストレスマネジメント
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マインドフルネス、呼吸法
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趣味や余暇活動の時間を確保する
3. 睡眠の質を向上させる
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寝具や室温、就寝時間を整える
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寝る前のスマホ使用を控える
4. 顎のリラックス
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食いしばり防止のマウスピース（歯科で相談）
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噛みしめを自覚したら深呼吸して緩める
９．参考文献
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日本頭痛学会 編：頭痛の診療ガイドライン2021
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International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3)
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Bendtsen L. et al. “Tension-type headache.” Cephalalgia. 2010.
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日本神経学会：一次性頭痛に関する資料
https://www.neurology-jp.org/ -
日本頭痛協会 一般向けサイト
https://www.zutsuu-kyoukai.jp/
まとめ
筋緊張型頭痛は**生活習慣やストレスと密接に関係する「現代病」**のひとつです。薬だけに頼らず、日々のセルフケアや姿勢の見直し、ストレスマネジメントを行うことで、症状の緩和・予防が期待できます。
「ただの肩こり」と放置せず、繰り返す頭痛がある場合は、早めに医療機関で相談することが大切です。
