急なアレルギー反応に備える「エピペン」とは?使い方・適応・入手方法をわかりやすく解説

薬・その他

1.エピペンとは?

エピペン(Epipen)とは、アナフィラキシーと呼ばれる急性の重度アレルギー反応が起きたときに、救命措置としてアドレナリン(エピネフリン)を迅速に筋肉注射できる自己注射薬です。エピペンは医師の処方により処方され、緊急時に自分自身または近くにいる人が使用します。

アナフィラキシーとは、食物、薬物、蜂刺され、ラテックスなどに対するアレルギー反応が全身に急速に広がることで、呼吸困難や意識障害、血圧低下など命に関わる状態に至ることもあります。

エピペンはその症状を一時的に抑える緊急治療薬であり、根本的な治療ではありません。使用後は速やかに医療機関を受診することが必須です。


2.エピペンの使い方

エピペンは、使い方をあらかじめ理解しておくことがとても重要です。以下に基本的な使用手順をまとめます。

エピペンの使い方(基本ステップ)

  1. 安全キャップ(青色)を引き抜く

    • 注射をする直前に、キャップを外します。

  2. 太ももの外側に強く押し当てる

    • 衣服の上からでも使用可能です。

    • 「カチッ」という音がしたら注射が開始された合図です。

  3. 10秒間そのまま押し当てる

    • アドレナリンが十分に注入されるまで保持します。

  4. 注射後はすぐに医療機関へ

    • 一時的な効果のため、救急搬送や病院受診が必要です。

使用後の注意点

  • 使用済みのエピペンは、針が出た状態のまま安全容器に保管し、医療機関へ持参してください。
  • 副作用として動悸、震え、めまいなどが起こることがあります。

3.エピペンはどんな時に使う?

エピペンは、アナフィラキシーが疑われる症状が現れたときに使用します。以下は主なアナフィラキシーの症状です。

代表的なアナフィラキシー症状

身体部位 症状の例
皮膚 じんましん、かゆみ、赤み
呼吸器 喘鳴、息苦しさ、のどの腫れ感
循環器 血圧低下、意識障害、脈が速い
消化器 嘔吐、腹痛、下痢

症状が複数の臓器系(例:皮膚+呼吸器)にまたがる場合や、急速に悪化していく場合には、迷わずエピペンを使用します。

使用タイミングの例

  • ピーナッツを食べた直後に全身じんましんと呼吸困難が出たとき
  • ハチに刺されて口唇の腫れとめまいが出たとき
  • 薬を飲んで数分以内に顔面蒼白と意識がもうろうとしてきたとき

4.エピペンの適応(どんな人が持つべき?)

エピペンを持つべき人の条件は、過去にアナフィラキシーを起こした人、またはアナフィラキシーを起こすリスクが高いと医師が判断した人です。

エピペンを処方される主な例

原因 処方の理由
食物アレルギー(例:卵、牛乳、小麦、ナッツ) 誤食によるアナフィラキシーのリスクがある
ハチ刺されアレルギー 再度刺されたときに命に関わる
薬剤アレルギー(例:抗生物質、解熱鎮痛剤) 急速なアナフィラキシー反応の可能性
特発性アナフィラキシー 原因不明でも過去に重篤な反応があった場合

小児では特に学校や保育施設に預ける場合、あらかじめ教職員と連携して使用方法を共有しておくことが大切です。


5.エピペンはどこで手に入る?

エピペンは医師の診察を受け、処方箋によって薬局で入手する医薬品です。市販はされていません。

入手の流れ

  1. アレルギー専門医や内科、小児科などで診察を受ける
  2. アナフィラキシーのリスク評価と処方
  3. 調剤薬局でエピペンを受け取る(自己負担あり)
  4. 医療機関または薬局での使い方説明(練習器あり)

費用と保険

  • 健康保険が適用されます(一般的に3割負担)
  • 有効期限は約1年のため、定期的な更新が必要です

6.エピペンの参考サイト

以下の公式・公的機関のサイトでは、エピペンの使い方動画や注意点、対象疾患などが詳しく解説されています。


7.まとめ:命を守るエピペン、正しい理解と備えを

エピペンは、アナフィラキシーから命を救う「時間を稼ぐ」医薬品です。使い方を理解し、必要なときにすぐに使えるよう準備することが重要です。

  • 自分や家族が持つ必要があるか医師に相談しましょう
  • 定期的に使用期限を確認しましょう
  • 家族や学校・職場で使い方を共有しておきましょう

アレルギーは誰にでも起こりうるもの。正しい知識があることで、命を守る行動がとれます。


8.参考文献

  1. 日本アレルギー学会 アナフィラキシー診療ガイドライン(2022年改訂版)
  2. マイランEPIPEN公式サイト https://www.epipen.jp/
  3. 厚生労働省 アナフィラキシーガイドライン https://www.mhlw.go.jp/
  4. Simons FER et al. “Epinephrine and its use in anaphylaxis: current issues.” Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2010
  5. 文部科学省「アレルギー疾患に対応した学校生活管理指導表」
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