インフルエンザワクチンとは?効果や副反応、打つべき人を解説【2025年版】

薬・その他

1.インフルエンザワクチンとは?

インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスに対する免疫をつけるための予防接種です。毎年冬になると流行するインフルエンザは、発熱・咳・関節痛などの全身症状を引き起こす感染症で、重症化するケースも少なくありません。

日本で使用されているワクチンは「不活化ワクチン」と呼ばれ、ウイルスの感染力をなくした成分を注射します。これにより、体がウイルスに対する免疫を作ることができ、感染や重症化のリスクを減らすことができます。

インフルエンザウイルスは毎年変異するため、ワクチンもその年に流行が予測される型(A型2種類、B型2種類)に合わせて製造されます。そのため、インフルエンザワクチンは毎年接種する必要があります

2.インフルエンザワクチンは打つべき?

ワクチンの効果

ワクチンの効果は「感染予防」よりも「重症化予防」にあります。つまり、ワクチンを打ってもインフルエンザにかかる可能性はありますが、かかった際の症状を軽くし、入院や合併症のリスクを下げてくれます。厚生労働省やWHO(世界保健機関)も、ワクチンによる重症化の予防効果は60%程度あると報告しています。

接種のタイミングと効果の持続期間

日本のインフルエンザ流行は例年12月から翌年3月が中心であるため、ワクチン接種は10月〜11月が理想です。接種後2週間ほどで抗体ができ始め、効果は約5か月間続くとされます。

3.インフルエンザワクチンを打ったほうがいい人

インフルエンザは一部の人にとっては命に関わることもある病気です。以下のような重症化リスクの高い人や、社会的な感染拡大を防ぐために重要な立場にある人は特に接種が推奨されます。

対象 解説
65歳以上の高齢者 高齢者は肺炎などの合併症リスクが高いため
6か月〜5歳の乳幼児 免疫が未発達で、重症化しやすい
妊婦 妊娠中は免疫力が低下し、感染症に弱くなる
基礎疾患がある人 心臓・肺・腎臓などに持病があるとリスク増
医療・介護従事者 高齢者や重症患者との接触が多い
学校・保育園に通う子ども 集団生活で感染が広まりやすい
家族に高齢者・乳児がいる人 周囲に感染を広げないため

特に高齢者施設では、集団での感染が起きやすく、施設全体での接種が推奨されることもあります。

4.インフルエンザワクチンが打てない人

基本的には安全なワクチンですが、一部の人は医師と相談のうえ接種を見送るべきです。

打てない可能性がある人 理由・注意点
明らかな発熱(37.5℃以上)がある人 体調が万全でないと副反応のリスクが上がるため
重度の卵アレルギーがある人 日本のインフルワクチンは鶏卵で培養されるため、過敏反応の可能性あり
過去にワクチンでアナフィラキシーを起こした人 アレルギー反応の再発が懸念される
医師が接種を不適当と判断した場合 基礎疾患の悪化など

なお、軽度のかぜ症状(咳・鼻水・微熱)であれば、医師の判断により接種可能な場合もあります。

5.インフルエンザワクチンの副反応

一般的な副反応

インフルエンザワクチンの副反応は、接種部位の腫れや痛み、軽い発熱、倦怠感などがほとんどで、通常は数日以内に自然におさまります

副反応の種類 発生頻度と経過
注射部位の腫れ・赤み・痛み 約20〜30%程度にみられ、1〜2日で改善
軽い発熱や倦怠感 接種翌日にみられることがあり、安静で回復

まれに起こる重い副反応

  • アナフィラキシー:極めてまれ(100万人に1人程度)ですが、呼吸困難やじんましんなどの急性アレルギー反応が出る場合があります。
  • ギラン・バレー症候群:ワクチン後にまれに報告される神経障害ですが、因果関係は明確ではありません。

ワクチン接種後に息苦しさやじんましん、意識障害などが出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。

6.まとめ:インフルエンザワクチンは命を守る予防策

インフルエンザワクチンは、個人の命を守るだけでなく、周囲への感染拡大を防ぐためにも重要な対策です。

  • 毎年流行するウイルス型に合わせて接種する必要がある
  • 重症化予防に有効で、特に高齢者・基礎疾患を持つ人・乳幼児・妊婦などには接種が推奨される
  • 副反応は軽度がほとんどで、安全性が高い

季節性インフルエンザは、毎年数千人が亡くなる感染症です。自分と周囲を守るために、適切な時期にワクチンを接種することが推奨されます。


参考文献

  1. 厚生労働省. 「インフルエンザQ&A」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
  2. 国立感染症研究所. 「インフルエンザとは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/influenza.html
  3. 世界保健機関 (WHO). “Influenza (Seasonal)” https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/influenza-(seasonal)
  4. 日本ワクチン学会. 「インフルエンザワクチンの基礎知識」https://jsvac.jp/
  5. 国立国際医療研究センター 感染症疫学センター. 「インフルエンザワクチンの有効性と安全性に関する研究」
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