50歳を過ぎたら要注意! 帯状疱疹は年齢とともにリスクが高まり、激しい痛みや後遺症で日常生活に支障をきたすこともあります。
そんな帯状疱疹を予防するには「ワクチン接種」がとても有効です。
本記事では、帯状疱疹ワクチンを「いつ打つべきか?」「どちらのワクチンがおすすめか?」について、わかりやすく解説します。公費助成や副反応にも触れながら、後悔しないワクチン選びをサポートします。
1.帯状疱疹とは? - 加齢とともに高まるリスク
帯状疱疹は「水ぼうそう」を引き起こす**水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)**による病気です。子どもの頃に水ぼうそうにかかった人は、体内の神経にウイルスが潜伏し、加齢やストレス、免疫低下などをきっかけに再活性化して発症します。
主な症状
- ピリピリ・ズキズキとした神経痛
- 赤く帯状に広がる水ぶくれ状の発疹
- 治ったあとも長期間続く痛み(帯状疱疹後神経痛:PHN)
60歳以上では3人に1人が発症するとされており、早期の予防が重要です。
2.帯状疱疹ワクチンを打つベストなタイミングは?
一般的な接種の推奨年齢:50歳以上
帯状疱疹の発症リスクは50代から急増し、70代でピークを迎えます。そのため、免疫力がまだ十分な50代のうちに接種しておくのが理想的です。
【推奨タイミング】
年齢 | 推奨度 | コメント |
---|---|---|
50代前半 | ★★★★☆ | 高い免疫でワクチン効果が持続しやすい |
60代 | ★★★★★ | 発症リスクが上昇する年代。積極的に接種を |
70代以上 | ★★★★☆ | ワクチン効果はやや低下するが予防効果あり |
免疫が落ちる前が最適!
がん治療や免疫抑制剤の使用が予定されている場合は、治療開始前にワクチンを接種するのが理想です。
- 生ワクチン(ビケン)は免疫抑制中はNG
- 不活化ワクチン(シングリックス)は治療中でもOK
※生ワクチンを接種する場合は、治療開始の4週間以上前に接種を済ませることが推奨されます。
3.帯状疱疹ワクチンの種類と違い
帯状疱疹ワクチン 比較表(ビケン vs シングリックス)
比較項目 | ビケン(乾燥弱毒生ワクチン) | シングリックス(不活化ワクチン) |
---|---|---|
種類 | 生ワクチン | 不活化ワクチン(組換えタンパク+アジュバント) |
接種回数 | 1回 | 2回(2ヶ月間隔) |
有効性(帯状疱疹予防) | 約50%(60歳以上) | 約90%(50歳以上) |
有効性(PHN予防) | 約66% | 約90% |
副反応の頻度 | 少なめ(軽い) | 多め(注射部位の痛み・発熱など) |
持続期間 | 約5年程度 | 少なくとも9年以上(研究あり) |
免疫抑制患者への使用 | ❌使用不可 | ✅使用可能 |
費用(自費の場合) | 約7,000~10,000円 | 約40,000~50,000円(2回分) |
どちらがおすすめか?シチュエーション別に解説
高齢者(60歳以上)や将来の発症予防を重視したい人
→ シングリックスがおすすめ
- 高い予防効果(90%以上)
- 長期間の免疫持続
- 帯状疱疹後神経痛の予防効果も高い
- 多少高額でも「痛みに苦しみたくない」「しっかり予防したい」という人に最適
💰 できるだけ費用を抑えたい人
→ ビケンがおすすめ
- 1回の接種で済み、費用も1万円前後と安価
- 一部自治体ではビケンのみ助成対象になっている場合も
💉 免疫抑制治療中・予定のある人(がん、膠原病、腎移植など)
→ シングリックス一択
- 生ワクチン(ビケン)は免疫抑制状態では禁忌
- シングリックスは安全に接種可能
😖 副反応をできるだけ避けたい人
→ ビケンの方が副反応は少なめ
-
シングリックスは副反応が出やすく、注射後1~3日ほど腕の痛みや発熱、倦怠感が起きることが多い
🔍 結論:医師がおすすめするのは?
✅ 「予防効果・安全性・長期的な視点で見れば、基本的にはシングリックスが第一選択」
ですが、金銭的・身体的な事情に応じてビケンを選ぶのも現実的です。
6.まとめ:帯状疱疹予防は「早めのワクチン接種」がカギ!
- 帯状疱疹は50歳以上で発症リスクが急増します。
- シングリックスは予防効果が高く、免疫抑制治療中でも接種可
- 費用や副反応を重視するならビケンも選択肢
- 自治体の助成制度を上手に活用すれば、自己負担を抑えて接種できます。
💡ワンポイントアドバイス
「帯状疱疹はただの皮膚病」と油断せず、神経痛や生活の質の低下を防ぐためにも、早めの接種を検討しましょう。
参考文献
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厚生労働省:帯状疱疹ワクチンに関する情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_shingles.html -
Lal H, et al. N Engl J Med. 2015;372(22):2087–96.
-
Oxman MN, et al. N Engl J Med. 2005;352(22):2271–84.
-
日本皮膚科学会. 帯状疱疹診療ガイドライン 2022
-
国立感染症研究所:帯状疱疹の疫学情報