突発性発疹とは?赤ちゃんに多い発熱後の発疹、その特徴と対処法

こどもの病気

1.突発性発疹とは?

突発性発疹(とっぱつせいほっしん)は、主に生後6か月〜2歳ごろの赤ちゃんに見られるウイルス性の感染症です。医学的には「突発性発疹症(Exanthem Subitum)」とも呼ばれ、ヒトヘルペスウイルス6型または7型(HHV-6/7)の初感染によって引き起こされます。

赤ちゃんが突然高熱を出し、数日後に解熱と同時に全身に発疹が現れるのが特徴です。この経過から「突発性」の名がついています。ほとんどの子どもが2歳までに一度はかかる、ごく一般的な病気です。


2.突発性発疹の症状

突発性発疹の主な症状は以下の通りです。

高熱(38~40℃前後)

発熱は突然始まり、3日ほど続くのが一般的です。発熱期間中は比較的元気なことが多いですが、機嫌が悪くなったり、食欲が落ちたりすることもあります。

解熱後の発疹

熱が下がったその日または翌日に、全身に淡い赤色の小さな発疹が現れます。主に胸・腹・背中から始まり、腕や顔に広がることもあります。発疹はかゆみや痛みはほとんどなく、数日で自然に消えるため、特別な治療は不要です。

その他の症状

  • 軽い下痢
  • まぶしそうにする(眼刺激症状)
  • 鼻水・咳などの軽い風邪様症状
  • けいれん(熱性けいれん)

発疹が出るまで「突発性発疹」と確定診断が難しいため、発熱中は風邪やインフルエンザと見分けがつかないことがあります。


3.突発性発疹の原因

突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)または7型(HHV-7)による感染症です。これらのウイルスは飛沫感染や接触感染で広がりますが、感染力はそれほど強くありません。

主な感染経路:

  • 保育園や家庭内での唾液や飛沫
  • 感染者との濃厚接触(親からのキスや抱っこなど)

ヒトヘルペスウイルスは一度感染すると体内に潜伏し、再発することは少ないとされています。ただし、まれに再感染やHHV-7による類似症状を示すことがあります。


6.突発性発疹の治療法

突発性発疹には特別な治療は不要です。ウイルス性疾患のため、抗生物質は効きません。基本的には**対症療法(症状に応じた対応)**が中心となります。

自宅での対処法:

  • 発熱時には水分補給をこまめに(母乳・ミルク・イオン飲料など)
  • 高熱でつらそうな場合は、医師の判断で**解熱剤(アセトアミノフェン)**を使用
  • 食欲がない場合は無理に食べさせず、消化のよいものを少量ずつ与える
  • 発疹が出てもかゆみがなければ特に対応は不要

いつ受診すべき?

以下のような症状があれば早めに小児科を受診しましょう。

  • ぐったりして反応が鈍い
  • 哺乳が極端に悪い
  • けいれんを起こした
  • 発疹が長く続いたり、変色がある

7.突発性発疹の予後

突発性発疹は自然に治る良性の病気です。通常は1週間以内に完治し、後遺症を残すことはほとんどありません。

ただし、一部の乳幼児では熱性けいれんを引き起こすことがあります。特に初めて高熱を経験する乳児に多く見られ、発熱から1〜2日目に起こることが一般的です。けいれんが一時的で短時間であれば、予後に影響はありません。


8.突発性発疹で注意すること(日常生活など)

登園・通園の目安

熱が下がり、機嫌や体調が回復していれば、発疹が残っていても登園可能です(※保育施設によって異なるため、確認が必要)。

家庭でのケア

  • 清潔を保つ:入浴は熱が下がっていればOK。発疹があってもかゆみや湿疹がなければ問題ありません。
  • 観察:発疹の消失を確認するまでは数日間は様子をみましょう
  • 兄弟への感染:発症率は高くないものの、家庭内感染を防ぐため、手洗いや消毒を心がけましょう。

9.参考文献

  1. 日本小児科学会|感染症疾患ガイドライン
    https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=45
  2. 厚生労働省|感染症発生動向調査(突発性発疹)
    https://www.mhlw.go.jp
  3. MSDマニュアル家庭版|突発性発疹
    https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/
  4. 日本感染症学会|小児感染症の診療の手引き
    https://www.kansensho.or.jp
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