ヒトメタニューモウイルス感染症とは?子どもの症状・検査・登園目安をわかりやすく解説

こどもの症状

1.ヒトメタニューモウイルス感染症とは?

ヒトメタニューモウイルス感染症は、ヒトメタニューモウイルス(Human Metapneumovirus:hMPV)というウイルスによって起こる呼吸器感染症です。

発熱、咳、鼻水などの「かぜ症状」から始まることが多く、ほとんどは自然に改善します。しかし、乳幼児ではゼーゼーする呼吸、細気管支炎、肺炎につながることがあり、保護者の方にとっては心配な感染症のひとつです。

ヒトメタニューモウイルスは、RSウイルスとよく似た症状を起こします。そのため、「RSウイルスだと思っていたらヒトメタニューモウイルスだった」ということもあります。

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2.ヒトメタニューモウイルス感染症の症状

ヒトメタニューモウイルス感染症の症状は、一般的な風邪とよく似ています。初期には見分けがつきにくく、発熱や咳が数日続いてから「ゼーゼーしてきた」「咳が強くなってきた」と気づくことがあります。

よくある症状

  • 発熱
  • 鼻水・鼻づまり
  • のどの痛み
  • ゼーゼー、ヒューヒューする呼吸
  • 食欲低下
  • 機嫌が悪い
  • 哺乳量が減る

熱は数日続くことがあります。また、解熱したあとも咳がしばらく残ることがあります。

重症化した場合にみられる症状

  • 呼吸が速い
  • 肩で息をしている
  • 胸やみぞおちがペコペコへこむ
  • 顔色が悪い
  • 唇が紫色っぽい
  • 水分がとれない
  • ぐったりして反応が悪い
  • 尿が半日以上出ていない

このような症状がある場合は、夜間や休日であっても早めに医療機関へ相談してください。


3.子ども・大人・高齢者で症状は違う?

ヒトメタニューモウイルスは、子どもだけの感染症ではありません。大人も感染します。ただし、年齢や基礎疾患の有無によって症状の出方が異なります。

年齢・状況 症状の特徴 注意点
乳幼児 発熱、咳、鼻水、ゼーゼー、哺乳不良 細気管支炎や肺炎に注意
保育園・幼稚園児 発熱、咳、鼻水が数日続く 集団生活で広がりやすい
小学生以上 風邪のような症状が中心 咳が長引くことがある
大人 軽い風邪症状が多い 小さな子どもや高齢者にうつさない配慮が大切
高齢者 発熱、咳、息切れ、肺炎 肺炎や脱水に注意

特に、生後6か月未満の赤ちゃん、早産で生まれた子、心疾患・肺疾患がある子、免疫が低下している方、高齢者は重症化しやすいため注意が必要です。


4.ヒトメタニューモウイルスとRSウイルスの違い

ヒトメタニューモウイルス感染症は、RSウイルス感染症と症状がよく似ています。どちらも乳幼児でゼーゼーしたり、細気管支炎や肺炎を起こしたりすることがあります。

ヒトメタニューモウイルス RSウイルス
主な症状 発熱、咳、鼻水、ゼーゼー 発熱、咳、鼻水、ゼーゼー
重症化しやすい人 乳幼児、高齢者、基礎疾患のある方 乳児、早産児、心肺疾患のある子、高齢者
流行時期 春頃に多い傾向 秋〜冬を中心に流行することが多い
治療 対症療法 対症療法
ワクチン 一般に使用できるワクチンはありません 高齢者・妊婦向けなどで使用されるワクチンがあります

症状だけで両者を正確に見分けることは難しいため、必要に応じて検査を行います。


5.感染経路と潜伏期間

ヒトメタニューモウイルスは、主に飛沫感染接触感染で広がります。

飛沫感染

咳やくしゃみで飛んだしぶきを吸い込むことで感染します。

接触感染

ウイルスがついた手で、目・鼻・口を触ることで感染します。保育園や幼稚園では、おもちゃ、ドアノブ、机などを介して広がることがあります。

潜伏期間

潜伏期間はおおよそ3〜5日程度です。感染してすぐに症状が出るわけではなく、数日たってから発熱や咳が出てくることがあります。

感染しやすい期間

感染期間は通常1〜2週間程度とされています。特に、咳や鼻水が多い時期は周囲にうつしやすいため注意が必要です。


6.ヒトメタニューモウイルス感染症の検査は必要?

ヒトメタニューモウイルス感染症は、症状だけではRSウイルス、インフルエンザ、新型コロナウイルス、アデノウイルスなどと区別がつきにくいことがあります。

ただし、すべてのお子さんに検査が必要なわけではありません。多くの場合は、症状や診察所見をもとに治療方針を考えます。

検査を検討することがあるケース

  • ゼーゼーが強い
  • 肺炎が疑われる
  • 呼吸状態が悪い
  • 入院が必要か判断したい
  • 保育園や施設で集団感染が疑われる
  • 基礎疾患があり、原因ウイルスを確認したい

迅速検査について

ヒトメタニューモウイルスには迅速抗原検査があります。鼻の奥から検体を取って調べる検査です。ただし、迅速検査には保険適用の条件があります。一般的には、6歳未満で、画像検査や聴診などから肺炎が疑われる場合などに限られます。そのため、希望すれば必ず検査できるというわけではありません。また、検査結果が陰性でも完全に否定できるとは限りません。検査をするかどうかは、お子さんの年齢、症状、呼吸状態、流行状況などを総合的にみて判断します。


7.ヒトメタニューモウイルス感染症の治療

ヒトメタニューモウイルスに対する特効薬はありません。抗菌薬、いわゆる抗生物質は細菌に対する薬であり、ウイルスそのものには効果がありません。そのため、治療は症状をやわらげながら自然に回復するのを助ける対症療法が中心です。

症状 主な対応
発熱 水分補給、必要に応じて解熱剤
鼻水・鼻づまり 鼻吸い、加湿、こまめな水分補給
状態に応じて咳止めや去痰薬を検討
ゼーゼー 診察のうえ、吸入薬などを検討
脱水 経口補水液、必要時は点滴
呼吸状態が悪い 酸素投与や入院治療を検討

自宅では、無理に食事をとらせるよりも、まずは水分がとれているかを確認しましょう。母乳やミルク、経口補水液、スープなどを少量ずつこまめにとることが大切です。


8.自宅でできるケア

軽症の場合は、自宅で様子をみながら回復を待つことが多いです。保護者の方は、次の点を意識してみてください。

水分を少量ずつこまめに

一度にたくさん飲めなくても、少量を何回も飲めていれば大丈夫なことがあります。尿の回数が極端に減っていないかも確認しましょう。

鼻水はこまめに吸ってあげる

小さなお子さんは鼻がつまると、眠りにくくなったり、ミルクや食事がとりにくくなったりします。特に乳児では、授乳前に鼻水を吸ってあげると飲みやすくなることがあります。

部屋を乾燥させすぎない

乾燥すると咳が出やすくなることがあります。加湿や水分補給を意識しましょう。

咳があるときは無理に登園しない

熱が下がっていても、咳が強い、ゼーゼーしている、食欲がない、眠れていない場合は、無理に登園せず休ませることをおすすめします。


9.登園・登校はいつからできる?

ヒトメタニューモウイルス感染症は、インフルエンザのように法律で決められた明確な出席停止期間がある感染症ではありません。一般的には、以下の状態であれば登園・登校を検討できます。

登園・登校の目安

  • 熱が下がっている
  • 咳が落ち着いている
  • ゼーゼーや息苦しさがない
  • 食事や水分がある程度とれている
  • 夜に眠れている
  • 本人の元気が戻っている

咳が少し残っていても、全身状態がよければ登園・登校できることがあります。ただし、園や学校によってルールが異なる場合があるため、必要に応じて確認しましょう。


10.すぐ受診したほうがよいサイン

ヒトメタニューモウイルス感染症の多くは自然に改善しますが、次のような症状がある場合は早めに受診してください。

  • 呼吸が苦しそう
  • ゼーゼー、ヒューヒューが強い
  • 胸やみぞおちがペコペコへこむ
  • 顔色が悪い
  • 唇が紫色っぽい
  • 水分がほとんどとれない
  • 尿が半日以上出ていない
  • ぐったりしている
  • 生後3か月未満で発熱がある
  • 発熱が3日以上続く
  • 一度よくなったあとに再び高熱が出た

特に、生後6か月未満の赤ちゃん、早産で生まれた子、心臓や肺の病気がある子、免疫が低下している子では、症状が急に悪くなることがあります。心配な場合は、我慢せず医療機関に相談しましょう。


11.予防方法|家庭や保育園でできる対策

ヒトメタニューモウイルスには、現時点で一般に使用できるワクチンはありません。そのため、予防には基本的な感染対策が大切です。

  • こまめに手洗いをする
  • 咳や鼻水があるときはマスクや咳エチケットを意識する
  • おもちゃやドアノブなど、よく触る場所を清潔にする
  • タオルやコップの共有を避ける
  • 体調が悪いときは無理に登園・登校しない
  • 小さな赤ちゃんや高齢者との接触はできる範囲で控える

家庭内では、兄弟から赤ちゃんにうつることもあります。完全に防ぐことは難しいですが、手洗い、換気、タオルの共有を避けるなどの対策は有効です。


12.よくある質問

Q.ヒトメタニューモウイルスは大人にもうつりますか?

はい、大人にもうつります。大人では軽い風邪症状ですむことが多いですが、高齢者や基礎疾患がある方では肺炎などに注意が必要です。

Q.何度も感染しますか?

はい、何度も感染することがあります。一度感染しても免疫が一生続くわけではありません。ただし、成長とともに重症化しにくくなることが多いです。

Q.抗生物質は必要ですか?

ヒトメタニューモウイルスはウイルス感染症なので、通常は抗生物質は効きません。ただし、細菌性肺炎や中耳炎などを合併している場合には、医師の判断で抗生物質を使用することがあります。

Q.検査をすればすぐわかりますか?

迅速検査で調べることはできますが、保険適用には条件があります。また、検査をしても治療方針が大きく変わらないこともあるため、全員に検査が必要なわけではありません。

Q.保育園は何日休めばいいですか?

決まった出席停止期間はありません。熱が下がり、咳や呼吸状態が落ち着き、食事や水分がとれて元気が戻っていれば登園を検討できます。園のルールがある場合は、それに従ってください。


13.まとめ

ヒトメタニューモウイルス感染症は、子どもに多い呼吸器感染症です。多くは風邪のような症状で自然に改善しますが、乳幼児ではゼーゼーしたり、細気管支炎や肺炎を起こしたりすることがあります。特効薬はなく、治療は水分補給や解熱剤、鼻水への対応などの対症療法が中心です。大切なのは、病名そのものよりも呼吸が苦しそうか、水分がとれているか、ぐったりしていないかを観察することです。お子さんの咳や発熱が続くと不安になると思います。特に、呼吸が苦しそう、哺乳や水分がとれない、ぐったりしている場合は、早めに医療機関へご相談ください。


参考文献

  1. 日本小児科学会:ヒトメタニューモウイルス感染症
    公益社団法人 日本小児科学会
    公益社団法人 日本小児科学会公式サイト
  2. CDC:About Human Metapneumovirus
    About Human Metapneumovirus
    Information about Human Metapneumovirus
  3. 国立感染症研究所:高齢者施設におけるヒトメタニューモウイルス感染症集団発生疑い事例
    高齢者施設におけるヒトメタニューモウイルス感染症集団発生疑い事例|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
  4. 国立感染症研究所:COVID-19流行下の小児基幹病院におけるヒトメタニューモウイルス感染症
    COVID-19流行下の小児基幹病院における当院に入院した重症ヒトメタニューモウイルス感染症の状況|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
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