ステロイド軟膏の強さ・種類・塗り方|部位別の選び方、FTU、市販薬の注意点

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薬について

ステロイド軟膏は、湿疹や皮膚炎による赤み・腫れ・かゆみ・ブツブツなどを速やかに抑えるために使われる塗り薬です。一方で、「ステロイドは怖い」「顔や目の周りに塗ってよいの?」「どれくらいの量を使えばよい?」と不安に感じる方も少なくありません。ステロイド外用薬は、必要以上に強い薬を長期間使うと副作用が起こる可能性がありますが、反対に、弱すぎる薬を少量しか塗らないと炎症を十分に抑えられず、皮膚をかき壊して症状が長引くことがあります。

大切なのは、皮膚症状の強さ、塗る部位、年齢、使用期間に合った薬を、適切な量だけ使用することです。

この記事のポイント

  • ステロイド外用薬は湿疹や皮膚炎の「炎症」を抑える薬
  • 強さは日本では5段階に分けられる
  • 顔、目の周り、首、陰部は薬が吸収されやすいため注意が必要
  • 塗る量はFTU(フィンガーチップユニット)が目安になる
  • 水虫、ヘルペス、帯状疱疹、にきびなどには自己判断で使わない
  • 市販薬で5~6日程度使用しても改善しない場合は受診する

1.ステロイド軟膏とは?

ステロイド軟膏とは、副腎皮質ホルモンである「コルチゾール」の働きを応用して作られた外用薬です。一般には「ステロイド軟膏」と呼ばれますが、実際には軟膏だけでなく、クリーム、ローション、液剤、スプレー、テープ剤などがあります。ステロイド外用薬には、主に次のような働きがあります。

作用 主な働き
抗炎症作用 炎症を引き起こす物質の産生を抑え、赤み、腫れ、かゆみを軽減する
免疫抑制作用 皮膚で過剰に起きている免疫反応やアレルギー反応を抑える
血管収縮作用 炎症部位の血管を収縮させ、赤みを抑える
細胞増殖抑制作用 炎症に関係する細胞の増殖を抑える

ステロイド外用薬は、皮膚の乾燥そのものを治す保湿剤ではありません。赤みやかゆみなどの炎症がほとんどなく、乾燥だけが目立つ場合は、ワセリンやヘパリン類似物質などの保湿剤が中心になります。

2.ステロイド軟膏はどのようなときに使う?

ステロイド外用薬は、主に皮膚に炎症が起きている病気に使用します。

使用される主な病気・症状 治療上の位置づけ
アトピー性皮膚炎 悪化時の赤み、かゆみ、腫れ、湿疹を抑える基本的な治療薬
接触皮膚炎・かぶれ 金属、化粧品、洗剤、植物などによる炎症を抑える
手湿疹・主婦湿疹 手の赤み、ひび割れ、かゆみ、皮膚の厚みを改善する
虫刺され 局所の強い赤み、腫れ、かゆみを抑える
脂漏性皮膚炎 頭皮、眉間、鼻の周りなどの炎症を短期間抑える
汗疱・異汗性湿疹 手のひらや足の裏の小さな水ぶくれ、かゆみを抑える
乾癬 医師の診断のもと、ビタミンD3外用薬などと組み合わせて使用する
貨幣状湿疹・皮脂欠乏性湿疹 円形の湿疹や乾燥に伴う赤み、かゆみを抑える

ただし、見た目が湿疹に似ていても、実際には水虫や帯状疱疹、疥癬、細菌感染などであることがあります。診断が違う状態でステロイドだけを塗ると、感染症が広がったり、見た目が分かりにくくなったりすることがあります。

3.ステロイド軟膏の強さは5段階

日本では、医療用のステロイド外用薬を作用の強さによって、次の5段階に分類します。

  1. ストロンゲスト:最も強い
  2. ベリーストロング:かなり強い
  3. ストロング:強い
  4. ミディアム:中程度
  5. ウィーク:弱い

薬の濃度だけでは強さを判断できません。濃度が低くても作用が強い薬があるため、必ず成分ごとのランクで確認します。

ステロイド外用薬の強さ・成分・代表的な商品名

ランク 主な成分 代表的な医療用製品 一般的な使用場面
ストロンゲスト
Ⅰ群
クロベタゾールプロピオン酸エステル
ジフロラゾン酢酸エステル
デルモベート
ダイアコート
手のひら・足の裏、非常に厚くなった皮疹、重症で難治性の病変など。原則として医師の管理下で、限られた部位に使用する
ベリーストロング
Ⅱ群
モメタゾンフランカルボン酸エステル
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル
フルオシノニド
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
ジフルプレドナート
アムシノニド
ジフルコルトロン吉草酸エステル
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン
フルメタ
アンテベート
トプシム
リンデロンDP
マイザー
ビスダーム
ネリゾナ、テクスメテン
パンデル
腫れや赤みが強い湿疹、苔癬化して厚くなった皮疹、痒疹結節など
ストロング
Ⅲ群
デプロドンプロピオン酸エステル
デキサメタゾンプロピオン酸エステル
デキサメタゾン吉草酸エステル
ベタメタゾン吉草酸エステル
フルオシノロンアセトニド
エクラー
メサデルム
ボアラ、ザルックス
リンデロンV、ベトネベート
フルコート
体幹や手足の中等度の湿疹、赤み、丘疹、かき壊しなど
ミディアム
Ⅳ群
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
トリアムシノロンアセトニド
アルクロメタゾンプロピオン酸エステル
クロベタゾン酪酸エステル
ヒドロコルチゾン酪酸エステル
デキサメタゾン
リドメックス
レダコート
アルメタ
キンダベート
ロコイド
グリメサゾン、オイラゾン
軽度から中等度の湿疹。顔や首では必要に応じて短期間使用されることがある
ウィーク
Ⅴ群
プレドニゾロン プレドニゾロン軟膏など 顔や皮膚の薄い部位、乳幼児の軽い湿疹などで使用されることがある

※商品名は代表例です。ジェネリック医薬品や剤形の違いがあります。薬の選択は皮疹の重症度、部位、年齢、使用期間を考慮して行います。

4.皮膚症状の重さによる選び方

ステロイドは、単に「できるだけ弱い薬を使えば安全」というわけではありません。炎症が強いのに弱い薬を少量だけ塗ると、症状が改善せず、結果的に長期間使用することになります。

皮疹の重症度 主な症状 一般的に検討される強さ
重症 強い腫れ、浮腫、広い赤み、厚く硬い皮膚、多数の丘疹、びらん、強いかき壊し、痒疹結節 ベリーストロング。効果不十分な一部の病変ではストロンゲストを医師の管理下で使用
中等症 中等度の赤み、鱗屑、少数の丘疹、かき壊し ストロングまたはミディアム
軽症 軽い赤み、乾燥、皮むけ、軽度のかゆみ ミディアム以下
軽微 炎症がほとんどなく、乾燥が中心 保湿剤などステロイドを含まない外用薬

強い炎症を十分な強さの薬で早く抑え、改善後は塗る回数を減らす、弱いランクに変更する、非ステロイド外用薬へ切り替える、といった方法が基本です。

5.塗る部位によって薬の吸収率が違う

皮膚の厚さは体の部位によって異なります。顔、首、まぶた、脇、鼠径部、陰部などは皮膚が薄く、ステロイドが吸収されやすいため、同じ薬を塗っても作用や副作用が強く出ることがあります。

前腕を1とした場合の相対的な吸収率

部位 相対的な吸収率 使用上の注意
前腕の外側 1 吸収率を比較する基準
頭皮 約3.5 毛髪があるためローションなどが使いやすい
約6 皮膚が薄く、副作用が起こりやすいため長期連用を避ける
約13 原則としてミディアム以下を短期間使用する
陰嚢 約42 非常に吸収されやすいため、自己判断で強い薬を使用しない

これらは相対的な目安であり、実際の吸収量は、皮膚の炎症、傷、塗布量、剤形、密封の有無などによって変化します。

部位別の一般的な選び方

部位 一般的な選び方 注意点
顔・まぶた ウィーク~ミディアムを短期間 強い薬や長期連用は避ける。眼周囲は特に医師へ相談する
ウィーク~ミディアムを中心に選択 吸収率が高く、毛細血管拡張や皮膚萎縮に注意する
脇・鼠径部・陰部 弱めの薬を短期間 皮膚が密着して密封状態になりやすく、薬の作用が強く出やすい
体幹・腕・脚 ミディアム~ストロング 皮疹の重症度に合わせて選ぶ
手のひら・足の裏 ストロング~ベリーストロングを検討 角質が厚く薬が浸透しにくい。強い薬は医師の診断のもとで使用する
頭皮 症状に合ったランクのローションや液剤 毛髪の間から患部に直接塗る
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6.目の周りにステロイド軟膏を塗ってもよい?

まぶたや目の周りの湿疹に、医師が弱いステロイド外用薬を短期間処方することはあります。ただし、目の周囲は皮膚が非常に薄いため、市販の強いステロイドを自己判断で塗ることはおすすめできません。特に、強いステロイドを頻回に、長期間、目の周囲へ使用した場合には、眼圧上昇や緑内障のリスクが高くなる可能性があります。白内障については、ステロイド外用薬だけではなく、アトピー性皮膚炎そのものの重症度や、目を強くこする行為も関係すると考えられています。

目の周りで受診をおすすめする場合

  • まぶたの腫れや湿疹を繰り返す
  • 目の痛み、充血、まぶしさがある
  • 視界がかすむ、見え方が変わった
  • 目の周囲に水ぶくれがある
  • ステロイドを何週間も繰り返し使用している
  • 緑内障や眼圧上昇を指摘されたことがある

薬が目の中に入らないように注意し、入った場合は水またはぬるま湯で洗い流してください。痛みや見えにくさが残る場合は眼科を受診しましょう。

7.軟膏・クリーム・ローションの違い

同じステロイド成分でも、皮膚の状態や塗る部位に応じて剤形を使い分けます。

剤形 特徴 向いている状態・部位 注意点
軟膏 刺激が少なく、皮膚を保護する作用がある 乾燥した湿疹、ひび割れ、皮膚が敏感な部位 べたつきやすい
クリーム 伸びがよく、べたつきが少ない 広い範囲、夏場、軽度の湿潤がある皮疹 傷や強いただれに塗ると刺激を感じることがある
ローション・液剤 毛髪のある部位に塗りやすい 頭皮、ひげのある部分、有毛部 アルコールなどによりしみることがある
テープ剤 薬を密着させる作用がある 厚く硬くなった痒疹、苔癬化した皮疹 密封によって作用が強くなるため、医師の指示が必要

クリームは軟膏より「弱い」とは限りません。強さのランクは基本的に有効成分で決まりますが、基剤によって吸収率や刺激性が変わることがあります。

8.ステロイド軟膏の適量を示すFTUとは?

FTUとは「フィンガーチップユニット(finger-tip unit)」の略で、塗り薬の適量を分かりやすく示す単位です。1FTUは、口径約5mmのチューブから、大人の人差し指の先端から第1関節まで薬を出した量で、約0.5gに相当します。1FTUで、大人の手のひら約2枚分の面積に塗ることができます。塗った直後に皮膚が少し光り、ティッシュペーパーが軽く貼り付く程度が一つの目安です。

成人の1回当たりのFTU目安

塗る範囲 FTU およその量
顔と首全体 2.5FTU 約1.25g
片方の腕と手全体 4FTU 約2g
片方の脚と足全体 8FTU 約4g
胸・腹部全体 7FTU 約3.5g
背中・臀部全体 7FTU 約3.5g

表の量は、その部位全体に皮疹がある場合の1回量です。皮疹が一部分だけであれば、面積に応じて減らします。

小児の1回当たりのFTU目安

年齢 顔・首 片側の上肢 片側の下肢 体幹前面 体幹背面
3~6カ月 1 1 1.5 1 1.5
1~2歳 1.5 1.5 2 2 3
3~5歳 1.5 2 3 3 3.5
6~10歳 2 2.5 4.5 3.5 5

子どもに使用するFTUも、大人の人差し指で測ります。乳幼児は体重に対する皮膚面積の割合が大きいため、広範囲への長期使用は医師の診察を受けながら行う必要があります。

9.ステロイド軟膏の正しい塗り方

  1. 手を洗う
    患部や薬に細菌を付けないよう、塗る前に手を清潔にします。
  2. 必要な量を指に出す
    FTUや手のひらの面積を参考にします。
  3. 炎症のある部分に点々と置く
    一カ所に大量に出すのではなく、数カ所に分けて置きます。
  4. こすらず、やさしく広げる
    すり込む必要はありません。皮膚の表面に均一に広げます。
  5. 塗った後に手を洗う
    手が治療部位の場合を除き、塗布後は手を洗います。

1日に何回塗る?

処方薬は医師の指示を優先してください。アトピー性皮膚炎などの急性増悪時には、1日2回から開始し、改善後に1日1回へ減らす方法があります。一方、薬の種類や症状によっては、最初から1日1回で十分な場合もあります。回数を自己判断で増やしても、効果が比例して高くなるとは限りません。

入浴後はいつ塗る?

入浴後に水分をやさしく拭き取り、皮膚が清潔な状態で塗ります。厳密に数分以内でなければならないわけではありませんが、乾燥しやすい方は、入浴後早めに保湿剤と処方された外用薬を使用するとよいでしょう。

保湿剤と混ぜてもよい?

自宅でステロイド軟膏と保湿剤を自己判断で混ぜることは避けてください。薬の濃度や塗布範囲が不明確になり、容器内に細菌が入ることもあります。医療機関で混合処方されている場合は、その指示に従います。

10.市販で買えるステロイド軟膏

日本の市販薬に含まれるステロイドは、主に「ストロング」「マイルド」「ウィーク」の3段階です。医療用で使用されるベリーストロングやストロンゲストの製剤は、原則として市販されていません。

市販薬の強さ 代表的な成分 代表的な製品例 選ぶ際の注意
ストロング ベタメタゾン吉草酸エステル
フルオシノロンアセトニド
リンデロンVs
ベトネベートクリームS
フルコートfなど
市販薬の中では強い。顔、目の周囲、陰部、乳幼児、広範囲への自己判断での使用を避ける。フルコートfは抗菌薬を含む配合剤
マイルド プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルなど コートf ATなど 子どもや比較的デリケートな部位向けの商品もあるが、対象年齢や使用部位は添付文書を確認する
ウィーク プレドニゾロン
ヒドロコルチゾンなど
コートf MD
ヒドロコルチゾン配合製品など
顔や乳幼児向けの商品もあるが、目の周囲や感染症には自己判断で使わない

※製品によって、かゆみ止め、局所麻酔薬、抗菌薬などが配合されています。同じステロイド成分でも効能、対象年齢、使用できる部位が異なるため、必ず添付文書を確認してください。

市販薬は何日まで使える?

商品ごとの添付文書を優先しますが、一般には5~6日間使用しても改善しない場合や、1週間を超えて使用する必要がある場合は受診してください。次のような場合は、最初から医療機関を受診することをおすすめします。

  • 顔や目の周りの症状
  • 乳幼児の広範囲の湿疹
  • 皮膚がジュクジュクしている、膿が出ている
  • 水ぶくれや強い痛みがある
  • 急速に範囲が広がっている
  • 何度も同じ場所に再発する
  • アトピー性皮膚炎や乾癬などの慢性疾患が疑われる

11.ステロイド軟膏を使ってはいけない場合

感染症や一部の皮膚疾患にステロイドだけを使用すると、症状を悪化させることがあります。

疑われる病気・状態 主な特徴 ステロイドを自己判断で使わない理由
水虫・たむし・カンジダ 輪状に広がる、縁が赤い、足指の皮むけ、陰部の赤みや白い付着物 真菌が増殖し、見た目が変化して診断が難しくなることがある
単純ヘルペス・帯状疱疹・水ぼうそう 小さな水ぶくれ、ヒリヒリする痛み、片側に帯状に広がる ウイルス感染が悪化する可能性がある
とびひ・皮膚の化膿 黄色いかさぶた、膿、急速に広がるただれ 細菌感染を悪化させる可能性がある。抗菌薬配合薬も診断なしでの漫然使用は避ける
疥癬 夜間に強いかゆみ、家族にもかゆみ、手首や指の間の発疹 原因となるダニの治療が必要で、ステロイドだけでは治らない
にきび 面皰、赤い丘疹、膿疱 ステロイドざ瘡を起こしたり、にきびを悪化させたりする
酒さ・口囲皮膚炎 顔の持続する赤み、ほてり、鼻や頬のブツブツ、口周囲の細かい発疹 一時的に改善しても、長期使用で悪化することがある
傷、潰瘍、粘膜 深い傷、治りにくい潰瘍、口や陰部の粘膜 創傷治癒を遅らせる可能性があり、一般的な皮膚用製剤の使用部位ではない
原因不明の広範囲な発疹 全身に急速に広がる発疹、発熱、粘膜症状 薬疹や感染症など、早期診断が必要な病気の可能性がある

医師が感染症の治療薬と組み合わせてステロイドを処方する場合はあります。上記は、診断を受けずにステロイド単独で治療することを避けるべき状態です。

12.ステロイド軟膏の副作用

適切な強さの薬を必要な範囲に、必要な期間だけ使用すれば、重大な全身性副作用が起こることは通常多くありません。副作用のリスクは、次の条件が重なるほど高くなります。

  • 強いランクの薬を使用する
  • 大量に塗る
  • 広範囲に塗る
  • 長期間、毎日使用する
  • 顔、首、脇、鼠径部、陰部に使用する
  • ラップやおむつなどで密封される
  • 皮膚のバリア機能が大きく低下している
  • 乳幼児や高齢者に使用する

局所的な副作用

副作用 主な症状
皮膚萎縮 皮膚が薄くなり、つやが出る
毛細血管拡張 細い血管が透けて見える
皮膚線条 赤紫色または白色の線状の跡が残る。脇、鼠径部、陰部などで起こりやすい
酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎 顔の赤み、ほてり、細かいブツブツ、膿疱
ステロイドざ瘡・毛包炎 にきびのような均一なブツブツや膿疱
感染症の悪化 白癬、ヘルペス、細菌感染、疥癬などが広がる
接触皮膚炎 薬を塗っているのに赤み、かゆみ、腫れが悪化する
創傷治癒の遅れ 傷やただれが治りにくくなる

全身性の副作用

非常に強いステロイドを、広範囲に大量かつ長期間使用した場合には、副腎機能抑制、高血圧、高血糖、クッシング症候群などの全身性副作用が起こる可能性があります。ただし、通常の湿疹治療で、皮疹に合った強さと量を用いて症状の改善に合わせて減量していく場合、不可逆的な全身性副作用が起こることは一般的ではありません。

ステロイドを塗ると皮膚が黒くなる?

湿疹が治った後に茶色い色素沈着が残ることがありますが、多くはステロイドによるものではなく、皮膚炎が続いたことによる炎症後色素沈着です。炎症を長引かせないことが、色素沈着の予防につながります。

13.症状が改善したら突然やめてよい?

数日程度の短期間使用で改善した場合は、処方された方法に従って終了できることが多いでしょう。一方、顔や陰部などにステロイドを長期間連用していた場合や、慢性のアトピー性皮膚炎で広範囲に使用している場合は、急に中止すると赤み、ほてり、腫れ、丘疹、膿疱などが悪化することがあります。長期間使用している方は、自己判断で一気に中止せず、医師と相談しながら次のような方法を検討します。

  • 1日2回から1日1回へ減らす
  • 毎日から隔日へ減らす
  • 弱いランクへ変更する
  • タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストなどの非ステロイド外用薬へ変更する
  • 再発しやすい部位だけ週2回程度塗るプロアクティブ療法を行う

プロアクティブ療法は、皮疹が十分に改善したことを確認したうえで、医師の管理下で行う治療法です。

14.医療機関を受診する目安

次のような場合は、市販薬を繰り返すのではなく、皮膚科、小児科、内科などを受診してください。

  • 5~6日使用しても改善しない
  • 薬を塗ると悪化する
  • 何度も同じ場所に再発する
  • 目の周りや顔面の症状が続く
  • 水ぶくれ、強い痛み、発熱がある
  • 黄色いかさぶたや膿がある
  • 輪状に広がる発疹がある
  • 全身に広がっている
  • 夜も眠れないほどかゆい
  • 乳幼児の広範囲な湿疹
  • 妊娠中または授乳中で広範囲に使用したい
  • 強いステロイドを長期間使用している

15.ステロイド軟膏についてよくある質問

ステロイド軟膏は子どもに使えますか?

子どもにも使用できます。子どもだから必ず最も弱い薬を選ぶのではなく、皮疹の重症度に合った薬で短期間に炎症を抑えることが重要です。ただし、乳幼児は薬が効きやすく、体重に対する皮膚面積も大きいため、塗る範囲と使用期間に注意します。

薄く塗った方が安全ですか?

必要量より少なすぎると炎症を抑えられません。FTUを目安に、皮膚が少し光る程度に均一に塗ります。「薬が見えなくなるまで強くすり込む」必要はありません。

強いステロイドは危険ですか?

強いステロイドほど副作用に注意が必要ですが、医師の管理下で、適切な部位に短期間使用する場合は非常に有効です。強い薬を漫然と使用することと、必要な強さの薬を短期間使用することは分けて考える必要があります。

毎日使い続けてもよいですか?

急性期には毎日使用しますが、改善後も同じ強さ・同じ回数で漫然と続けるべきではありません。処方薬では症状に応じて回数やランクを調整します。市販薬を1週間前後使用しても必要な状態が続く場合は受診してください。

以前処方されたステロイドを別の湿疹に使ってもよいですか?

おすすめできません。以前と似た発疹でも、水虫、ヘルペス、帯状疱疹、細菌感染など別の病気である可能性があります。また、使用期限や保管状態にも注意が必要です。

まとめ

ステロイド軟膏は、湿疹や皮膚炎による炎症を速やかに抑える、効果の高い治療薬です。重要なのは、ステロイドを避けることではなく、次の点を守って適切に使用することです。

  • 皮疹の強さに合ったランクを選ぶ
  • 顔、目の周り、首、陰部では弱めの薬を短期間使用する
  • FTUを参考に必要な量を塗る
  • 水虫、ヘルペス、帯状疱疹、にきびなどには自己判断で使わない
  • 改善後は回数や強さを調整する
  • 市販薬で改善しない場合は漫然と続けず受診する

処方されたステロイド外用薬については、薬袋や医師・薬剤師の指示を優先してください。塗る部位や期間が分からない場合は、自己判断で中断・増量せず、医療機関に相談しましょう。

本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や治療を代替するものではありません。

参考文献

この記事について

この記事は、公的機関・診療ガイドライン・医学論文などを参考に作成しています。

本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断や治療を代替するものではありません。 気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

執筆者:小林 知貴
所属:いしうちファミリークリニック 院長
資格:医学博士/家庭医療専門医/総合診療専門医/総合内科専門医

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