二日酔いの治し方|頭痛・吐き気の原因、市販薬・五苓散と予防法

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お酒を飲んだ翌朝、「頭がズキズキする」「吐き気がする」「体がだるくて動けない」といった症状に悩まされたことはありませんか?

二日酔いは、単なる脱水だけで起こるわけではありません。アルコールによる炎症反応、胃粘膜への刺激、睡眠の質の低下、自律神経や神経伝達物質の変化など、複数の原因が重なって起こると考えられています。

この記事では、二日酔いで頭痛や吐き気が起こるメカニズム、水分補給や食事などの対処法、市販薬、五苓散・黄連解毒湯の位置づけ、二日酔いを予防する飲み方について、最新の研究や公的なガイドラインをもとに解説します。

重要:
二日酔いを確実に治すことが証明された特効薬は、現時点ではありません。薬や漢方薬は症状を和らげる目的で使用されますが、アルコールが体内から抜ける速度を大幅に速めたり、大量飲酒による健康被害を防いだりするものではありません。

1.二日酔いとは?

二日酔いとは、大量または自分の処理能力を超える量のアルコールを飲んだ後に起こる、頭痛、吐き気、だるさ、口の渇き、めまい、動悸、集中力低下などの症状の総称です。症状は、血液中のアルコール濃度が下がり、ほぼゼロに近づいた頃に強くなることがあります。つまり、本人が「酔いはさめた」と感じていても、体内では炎症や睡眠障害などの影響が続いている可能性があります。多くは半日から24時間程度で改善しますが、飲酒量、体質、睡眠時間、食事、水分摂取量などによっては、翌日の夕方以降まで続くこともあります。

二日酔いの主な症状

  • 頭痛、頭が重い
  • 吐き気、嘔吐、胃もたれ、胸やけ
  • 強い口の渇き
  • だるさ、脱力感
  • めまい、ふらつき
  • 光や音を不快に感じる
  • 集中力や判断力の低下
  • 動悸、汗、不安感、いらだち
  • 眠気があるのに熟睡できない

二日酔いの翌日は運転しないことが重要です。
血中アルコール濃度が低下していても、注意力、判断力、反応速度、運動機能が低下している可能性があります。

2.二日酔いが起こるメカニズム

二日酔いの原因は一つではありません。以前は「脱水」や「アセトアルデヒド」が主な原因と説明されることが多くありましたが、現在では、炎症反応や酸化ストレス、胃腸への刺激、睡眠障害などが複雑に関係すると考えられています。

メカニズム 体内で起こること 関連する症状
アルコールと代謝産物 アルコールは主に肝臓でアセトアルデヒドに変換され、その後、酢酸へと分解されます。アセトアルデヒドの処理能力が低い人では、顔の赤み、動悸、吐き気などが起こりやすくなります。 吐き気、動悸、顔の赤み、頭痛
炎症反応 アルコールによる腸管バリア機能の変化、酸化ストレス、免疫反応などによって、炎症性物質が増える可能性があります。 頭痛、だるさ、筋肉痛、集中力低下
水分喪失 アルコールは抗利尿ホルモンの働きを抑え、尿量を増やします。ただし、脱水は二日酔いの一部であり、すべての症状を説明するものではありません。 口の渇き、立ちくらみ、頭痛
胃粘膜への刺激 アルコールが胃粘膜を刺激し、胃酸分泌や胃の不快感を増やします。大量飲酒では急性胃炎を起こすこともあります。 吐き気、嘔吐、胃痛、胸やけ
睡眠の質の低下 飲酒後は寝つきがよく感じても、睡眠後半が浅くなり、中途覚醒が増えることがあります。 眠気、だるさ、集中力低下、頭痛
自律神経・神経伝達物質の変化 酔いがさめる過程で交感神経が優位になり、軽い離脱反応に似た状態が起こることがあります。 動悸、発汗、不安感、いらだち
コンジナー 酒類に含まれるメタノール、ポリフェノール、香味成分など、エタノール以外の成分が症状に影響する可能性があります。 頭痛、吐き気、全身倦怠感

ワイン、ウイスキー、ブランデーなど、コンジナーを比較的多く含む酒類で症状が強くなる可能性はありますが、二日酔いの程度を最も大きく左右するのは、基本的には飲んだ純アルコールの総量です。

3.二日酔いでは、なぜ頭痛や吐き気が起こる?

頭痛が起こる理由

二日酔いの頭痛には、炎症反応、血管や神経系への影響、水分喪失、睡眠不足などが複合的に関係すると考えられています。特に、アルコールによって生じる酸化ストレスや炎症性物質が、頭痛や全身のだるさに関係している可能性が注目されています。一方で、「水分を飲めば頭痛が完全に治る」というわけではありません。

吐き気が起こる理由

アルコールは胃粘膜を直接刺激し、胃酸分泌や胃の不快感を増やします。また、アセトアルデヒドの代謝能力が低い人では、少量の飲酒でも吐き気や動悸、顔の赤みが起こることがあります。強い吐き気があるときに、一度に大量の水を飲むと、かえって嘔吐することがあります。常温の水や経口補水液を、少量ずつ時間をかけて飲みましょう。

だるさや眠気が起こる理由

飲酒すると寝つきがよくなったように感じることがありますが、睡眠後半が浅くなり、途中で目が覚めやすくなります。炎症反応や食事不足なども重なると、翌日に強い倦怠感が残ります。

4.日本人はアルコールの分解酵素が不足している人が多い?

「日本人はアルコール分解酵素が少ない」といわれますが、正確には、アルコール代謝に関係する酵素の働きが遺伝的に弱い人が多いという意味です。

アルコールが分解される流れ

体内に入ったアルコールは、主に次の順序で分解されます。

  1. エタノールが、アルコール脱水素酵素などによってアセトアルデヒドに変換される
  2. アセトアルデヒドが、アルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)によって酢酸に変換される
  3. 酢酸が水と二酸化炭素に分解され、体外へ排出される

アセトアルデヒドは、顔の赤み、動悸、吐き気、頭痛などを起こす有害な物質です。ALDH2の働きが弱い人は、アセトアルデヒドを速やかに処理できません。

日本人の約4割はアルコール代謝能力が低い

厚生労働省のガイドラインでは、日本人ではアルコール代謝に関係する酵素の働きが弱く、飲酒によって顔が赤くなる体質の人が約41%いるとされています。飲酒後すぐに顔や体が赤くなる、動悸がする、吐き気がする、少量でも頭痛が起こる人は、ALDH2の活性が低い可能性があります。

「飲んで鍛えれば強くなる」という考え方には注意が必要です。

飲酒を続けると、酔いを感じにくくなることはありますが、遺伝的なALDH2の働きが改善するわけではありません。顔が赤くなる体質の人が飲酒を続けると、アセトアルデヒドへの曝露が増え、食道がんや口腔・咽頭がんなどのリスクが高くなることが知られています。

5.二日酔いになったときの対処法

二日酔いをすぐに治す方法はありません。体内のアルコールが代謝され、炎症や胃腸症状が落ち着くまで待つことが基本です。

① 追加でお酒を飲まない

「迎え酒」をすると、一時的に症状を感じにくくなることがあります。しかし、アルコールによる影響を先延ばしにしているだけで、回復を早めるわけではありません。迎え酒を習慣にすると、アルコール依存症につながる危険性もあるため避けましょう。

② 水分を少量ずつ摂取する

口の渇き、尿量の低下、立ちくらみなどがある場合は、水や経口補水液を少量ずつ飲みます。嘔吐や下痢がある場合は、電解質を含む経口補水液が役立つことがあります。ただし、水分補給は脱水や口の渇きを改善するためのものであり、炎症や睡眠障害を含めた二日酔い全体を治すものではありません。

2026年に発表された日本人男性13人を対象とする小規模研究では、飲酒中に多量の水を一緒に飲んでも、翌日の頭痛や吐き気、アルコール・アセトアルデヒドの動態に明確な改善は認められませんでした。ただし、対象者数が少なく、男性かつALDH2活性が正常な人に限られるため、結果の一般化には限界があります。

③ 食べられる範囲で軽い食事をとる

吐き気が落ち着いていれば、おかゆ、うどん、スープ、バナナ、パンなど、消化しやすい食品を少量から試します。食事がとれそうな場合は、炭水化物だけでなく、卵、豆腐、ヨーグルトなどのたんぱく質を少量組み合わせてもよいでしょう。ただし、特定の食品に二日酔いを治す効果が証明されているわけではありません。

④ 静かな環境で休む

光や音を不快に感じる場合は、暗く静かな部屋で休みます。眠れる場合は睡眠をとることも大切です。

⑤ 入浴、サウナ、激しい運動は避ける

「汗をかけばアルコールが抜ける」と考えて、サウナや激しい運動を行うのは危険です。アルコールの大部分は肝臓で代謝されるため、汗をかいても分解が大幅に速くなることはありません。脱水、血圧低下、不整脈、転倒、溺水などの危険があるため、体調が回復するまでは長時間の入浴やサウナ、激しい運動を避けましょう。

⑥ 運転や危険作業をしない

二日酔いでは注意力や判断力、反応速度が低下します。アルコール検知器で反応がなくても、体調が悪いときは運転や高所作業、機械操作を避けてください。

6.二日酔いに使われる市販薬

二日酔い専用として、科学的に効果が確立した市販薬はありません。薬を使用する場合は、最もつらい症状に合わせて選ぶことが基本です。

市販薬の種類 期待される効果 主な注意点
イブプロフェン・ロキソプロフェンなどのNSAIDs 頭痛や筋肉痛を一時的に和らげる可能性があります。 胃粘膜障害や消化管出血、腎機能悪化の危険があります。飲酒中や飲酒直後、嘔吐・脱水・胃痛があるときは避けます。市販薬の添付文書でも、服用前後の飲酒を避けるよう記載されています。
アセトアミノフェン 頭痛や体の痛みを和らげる可能性があります。 アルコールが残っている可能性があるとき、日常的に多量飲酒する人、肝障害がある人は自己判断で使用しないでください。風邪薬などとの成分重複にも注意が必要です。
制酸薬・胃粘膜を保護する胃腸薬 胸やけ、胃もたれ、軽い胃痛を和らげることがあります。 激しい腹痛、吐血、黒い便がある場合は服用で様子を見ず、医療機関を受診してください。
L-システイン配合薬 一部の市販薬では、効能・効果に「二日酔い」が含まれています。製品例としてハイチオールCプラスEXなどがあります。 小規模研究で有効性が報告されていますが、独立した質の高い研究は不足しています。酔いを早くさましたり、大量飲酒の害を防いだりする薬ではありません。
五苓散 口が渇く、尿量が少ない、頭痛、吐き気、むくみなどを伴う場合に用いられます。 二日酔いに対する質の高い臨床試験は十分ではありません。製品の用法・用量を守ります。
黄連解毒湯 比較的体力があり、顔が赤い、のぼせる、いらいらする、胃がむかむかするといった場合に用いられます。 長期連用は避け、繰り返し使用する場合は医師や薬剤師へ相談してください。

頭痛薬を飲むタイミングには注意

頭痛薬を、お酒と一緒に飲んだり、飲酒後の就寝前に予防目的で飲んだりすることは避けてください。特に、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDsは胃や腎臓への負担が増えます。アセトアミノフェンも、アルコールが残っている状態や多量飲酒を繰り返している人では肝臓への影響に注意が必要です。

鎮痛薬を使用する場合は、酔いが十分にさめ、水分と食事がとれており、嘔吐、胃痛、脱水がないことを確認したうえで、添付文書に従ってください。胃潰瘍、腎臓病、肝臓病、喘息、抗凝固薬の服用などがある人は、医師や薬剤師に相談しましょう。

吐き気止めを自己判断で使わない

強い吐き気に用いられる薬の多くは処方薬です。家族や知人に処方された吐き気止めを使用してはいけません。市販の乗り物酔い薬は眠気を起こしやすく、アルコールと併用すると中枢神経の抑制が強くなる可能性があります。二日酔いの吐き気に自己判断で使用することはおすすめできません。

7.五苓散・黄連解毒湯は二日酔いに効く?

五苓散

五苓散は、タクシャ、ソウジュツまたはビャクジュツ、チョレイ、ブクリョウ、ケイヒから構成される漢方薬です。医療用五苓散の効能には、「口渇」「尿量減少」を伴う二日酔い、吐き気、嘔吐、めまい、頭痛などが含まれています。市販の五苓散でも、製品によって二日酔いが効能に含まれています。次のような症状がある場合には、五苓散が選択肢になることがあります。

  • 口が渇く
  • 水を飲むと気持ち悪くなる
  • 尿量が少ない
  • 頭痛やめまいがある
  • 吐き気や嘔吐がある
  • むくみがある

ただし、医薬品として「二日酔い」の効能が認められていることと、質の高い臨床試験で有効性が十分に証明されていることは同じではありません。二日酔いに対する五苓散の大規模なランダム化比較試験は不足しています。

用法・用量は製品ごとに異なるため、添付文書に従ってください。発疹、かゆみ、肝機能異常などが生じる可能性があります。他の漢方薬を併用している人、妊娠中・授乳中の人、持病がある人は医師や薬剤師に相談しましょう。

黄連解毒湯

黄連解毒湯は、オウゴン、オウレン、サンシシ、オウバクから構成される漢方薬です。比較的体力があり、のぼせぎみで顔が赤く、いらいらする傾向がある人の二日酔い、胃炎、めまい、動悸などに用いられます。次のような症状がある場合に検討されることがあります。

  • 顔が赤い、ほてる
  • のぼせ感がある
  • いらいらする
  • 胃が熱い、むかむかする
  • 動悸やめまいがある

黄連解毒湯についても、二日酔いへの有効性を裏づける質の高い臨床研究は十分ではありません。

黄連解毒湯にはサンシシが含まれています。サンシシを含む漢方薬を長期間服用すると、まれに腸間膜静脈硬化症という腸の病気を起こすことがあります。

二日酔いのたびに長期間繰り返して服用するのではなく、症状が続く場合や頻繁に必要になる場合は、医師や薬剤師に相談してください。腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感を繰り返す場合は服用を中止し、医療機関を受診しましょう。

五苓散と黄連解毒湯の違い

漢方薬 向いているとされる症状 注意点
五苓散 口渇、尿量低下、頭痛、めまい、吐き気、むくみ 水分バランスの乱れを示す症状が目安。効果がなければ漫然と続けない。
黄連解毒湯 顔の赤み、ほてり、のぼせ、いらいら、胃のむかつき 比較的体力がある人向け。サンシシ含有製剤の長期連用に注意。

8.エビデンスがあり、効果のある二日酔い薬は?

結論からいうと、現時点で「確実に効く」といえる二日酔い治療薬はありません。

2022年に発表された系統的レビューでは、二日酔いに対する21件のプラセボ対照ランダム化比較試験、合計386人が検討されました。

クローブ抽出物、トルフェナム酸、ピリチノール、ケンポナシ、L-システイン、紅参、韓国産梨ジュースなどで症状の改善を報告した研究がありましたが、同じ治療法を複数の研究で再現したものはほとんどなく、すべての結果についてエビデンスの確実性は「非常に低い」と評価されました。

対策・成分 研究結果 現時点での評価
二日酔いの特効薬 有効性が再現された高品質な研究はありません。 確立していない
L-システイン 小規模研究で症状軽減が報告されています。 エビデンスの確実性は非常に低い
クローブ抽出物 単一の小規模研究で改善が報告されています。 研究段階
ケンポナシ・紅参・梨ジュース 一部の試験で改善が報告されています。 再現性と研究の質が不十分
五苓散・黄連解毒湯 日本では二日酔いに使用されますが、質の高い臨床試験は不足しています。 症状や体質に合わせて検討
鎮痛薬 頭痛を一時的に軽減する可能性があります。 二日酔いそのものを治す薬ではなく、安全性に注意
水・スポーツドリンク 口渇や脱水には役立ちますが、二日酔い全体を短縮する効果は証明されていません。 補助的な対処法

市販のドリンク剤やサプリメントを飲めば、大量に飲んでも安全になるわけではありません。
「肝臓を守る」「アルコールをすぐ分解する」といった広告表現だけで判断せず、飲酒量そのものを減らすことが重要です。

9.二日酔いにならないための予防法

二日酔いを防ぐうえで最も確実なのは、飲酒しないこと、または純アルコール摂取量を減らすことです。

① 飲む前に上限を決める

アルコール量は「杯数」ではなく、純アルコール量で考えることが大切です。

純アルコール量(g)=飲酒量(mL)×アルコール度数÷100×0.8

酒類 純アルコール量の目安
ビール5% 500mL 約20g
缶チューハイ7% 350mL 約20g
ワイン12% 200mL 約19g
日本酒15% 1合・180mL 約22g
ウイスキー40% 60mL 約19g

厚生労働省は、1回の飲酒機会で純アルコール60g以上を摂取する「一時多量飲酒」を避けるよう勧めています。60g未満であれば安全という意味ではなく、飲酒量は少ないほど健康リスクが低くなります。

② 空腹で飲まない

空腹時はアルコールが速く吸収され、血中アルコール濃度が急激に上昇しやすくなります。飲酒前や飲酒中に、主食、たんぱく質、脂質を含む食事をとりましょう。ただし、食事をすれば大量に飲んでも安全になるわけではありません。

③ ゆっくり飲む

一気飲みをせず、会話や食事をはさみながらゆっくり飲みます。短時間に大量のアルコールを摂取すると、血中アルコール濃度が急上昇し、急性アルコール中毒の危険も高くなります。

④ 水やノンアルコール飲料をはさむ

アルコール飲料の間に水や炭酸水、ノンアルコール飲料をはさむと、飲酒速度を遅くし、結果として総飲酒量を減らしやすくなります。水そのものに二日酔いを防ぐ確実な効果があるわけではありませんが、口の渇きや水分不足の予防には役立ちます。

⑤ 顔が赤くなる人は無理に飲まない

少量で顔が赤くなる、動悸や吐き気が起こる人は、アセトアルデヒドを分解する能力が低い可能性があります。無理に飲酒を続けず、ノンアルコール飲料を選びましょう。

⑥ 薬を服用しているときは飲酒しない

睡眠薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、糖尿病薬、抗凝固薬など、多くの薬がアルコールと相互作用します。薬を服用している場合は、飲酒の可否を医師や薬剤師へ確認してください。

⑦ 休肝日を設ける

毎日飲む習慣を避け、飲酒しない日を設けましょう。二日酔いを繰り返す場合は、1回の飲酒量だけでなく、飲酒頻度も見直す必要があります。

10.すぐに受診・救急要請が必要な症状

二日酔いと思っていても、急性アルコール中毒、頭部外傷、脳卒中、急性膵炎、消化管出血などが隠れていることがあります。

次の症状がある場合は119番を検討してください

  • 呼びかけたり体を揺すったりしても目を覚まさない
  • 呼吸が極端に遅い、不規則、途中で止まる
  • けいれんを起こした
  • 唇が青い、顔色が著しく悪い
  • 嘔吐を繰り返し、意識がもうろうとしている
  • 転倒や頭部打撲の可能性がある
  • 激しい胸痛、腹痛、背中の痛みがある
  • 吐血、コーヒーかすのような嘔吐、黒い便がある
  • ろれつが回らない、片側の手足が動かしにくいなどの神経症状がある

意識が悪い人を一人にしないでください。吐いた物をのどに詰まらせないよう、可能であれば体を横向きにします。無理に水を飲ませたり、吐かせたりしてはいけません。

早めに医療機関へ相談したほうがよい場合

  • 水分を飲んでもすぐ吐いてしまう
  • 尿がほとんど出ない
  • 強い頭痛が続く、普段とは異なる頭痛がある
  • 24~48時間以上たっても改善しない
  • 二日酔いを頻繁に繰り返している
  • 迎え酒をしないとつらい
  • 飲酒量を自分で減らせない
  • 手の震え、発汗、不眠などが飲酒をやめると現れる

二日酔いを何度も繰り返す場合は、飲酒量が健康に影響しているサインかもしれません。内科やかかりつけ医へ相談しましょう。

11.二日酔いについてよくある質問

コーヒーを飲むと二日酔いは治りますか?

コーヒーに二日酔いを治す効果は証明されていません。カフェインによって一時的に眠気が軽くなることはありますが、動悸、不安感、胃の不快感が強くなることがあります。

スポーツドリンクや経口補水液は効果がありますか?

水分や電解質の補給には役立ちますが、二日酔い全体を治したり、アルコールの分解を速めたりする効果は証明されていません。嘔吐や下痢があり脱水が疑われる場合には経口補水液を少量ずつ飲み、単に口が渇いている程度であれば水やお茶でも構いません。

ウコンやしじみのサプリメントは効きますか?

ウコン、クルクミン、しじみエキス、オルニチンなどについて、二日酔いを確実に予防・治療する質の高いエビデンスはありません。サプリメントを飲めば大量飲酒をしても肝臓が守られるわけではありません。

五苓散は飲酒前と飲酒後、どちらに飲めばよいですか?

市販薬の用法・用量は製品ごとに異なるため、添付文書に従ってください。予防目的で使用して飲酒量を増やすことは避けましょう。

迎え酒をすると楽になるのはなぜですか?

アルコールを再び摂取することで、酔いがさめる過程の不快感が一時的に隠れることがあります。しかし、二日酔いを治しているのではなく、症状を先延ばしにしているだけです。

水をたくさん飲めばアルコールが早く抜けますか?

水を飲んでも、肝臓がアルコールを分解する速度が急に速くなるわけではありません。一度に大量に飲まず、口の渇きや脱水を防ぐ目的で少量ずつ摂取しましょう。

二日酔いのときにサウナへ入ってもよいですか?

おすすめできません。脱水、血圧低下、失神、不整脈、転倒などの危険があります。体調が十分に回復するまで避けてください。

12.まとめ

  • 二日酔いは、脱水だけでなく、炎症、胃粘膜への刺激、睡眠障害などが複合して起こります。
  • 現時点で、二日酔いを確実に治す特効薬はありません。
  • 水分補給は口の渇きや脱水には有効ですが、頭痛や吐き気を必ず防ぐわけではありません。
  • 頭痛薬は、アルコールが残っているときや、胃痛・嘔吐・脱水があるときには安易に使用しないでください。
  • 五苓散や黄連解毒湯は二日酔いに用いられますが、質の高い臨床研究は十分ではありません。
  • 日本人では、ALDH2の働きが弱く、飲酒で顔が赤くなる体質の人が少なくありません。
  • 二日酔いを防ぐ最も確実な方法は、飲酒しないこと、または純アルコール摂取量を減らすことです。
  • 意識障害、呼吸異常、けいれんなどがある場合は、単なる二日酔いと判断せず119番を検討してください。

二日酔いを頻繁に繰り返している場合や、飲酒量を自分で減らせない場合は、体質の問題だけではなく、アルコール依存症や肝機能障害などが隠れている可能性があります。早めにかかりつけ医へ相談しましょう。

参考文献・参考資料

  1. 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
  2. National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism:Hangovers Fact Sheet
  3. Roberts E, et al. Effectiveness of interventions for the treatment of alcohol hangover: a systematic review of randomised controlled trials. BMJ Open. 2022.
  4. Inflammation, oxidative stress and gut microbiome perturbation: A narrative review of mechanisms and treatment of the alcohol hangover. 2024.
  5. A review of the pathophysiology of alcohol hangover. 2019.
  6. Alcohol hangover versus dehydration revisited: The effect of drinking water to prevent or alleviate the alcohol hangover. 2024.
  7. Water intake during drinking does not alleviate hangover symptoms. 2026.
  8. ALDH2 polymorphism and alcohol-related health risks
  9. The alcohol flushing response: an unrecognized risk factor for esophageal cancer from alcohol consumption

※本記事は一般的な医学情報を提供するもので、個別の診断や治療を目的としたものではありません。症状が強い場合、持病がある場合、薬を服用している場合は、医師または薬剤師へご相談ください。

この記事について

この記事は、公的機関・診療ガイドライン・医学論文などを参考に作成しています。

本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断や治療を代替するものではありません。 気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

執筆者:小林 知貴
所属:いしうちファミリークリニック 院長
資格:医学博士/家庭医療専門医/総合診療専門医/総合内科専門医

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