FeNO検査とは?喘息の診断補助に使う呼気NO検査の基準値・費用・受けるべき人を解説

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検査について

喘息のFeNO検査とは?咳が続くときに行う呼気NO検査の内容・費用・わかることを解説

「咳が長引いている」「夜や明け方に咳が出る」「運動すると息苦しい」「喘息かどうか調べたい」――このような症状があるときに、喘息の診断補助として行われる検査のひとつがFeNO検査(呼気NO検査)です。FeNO検査は、息を吹くだけで気道の炎症の程度を調べることができる検査です。血液検査のように針を刺す必要がなく、比較的短時間で結果がわかるため、喘息や咳喘息が疑われる方の評価に役立ちます。

この記事では、FeNO検査とは何か、何がわかるのか、検査方法、基準値、費用、どんな人におすすめかについて、患者さん向けにわかりやすく解説します。

FeNO検査とは?息を吹くだけで気道の炎症を調べる検査

FeNO検査とは、呼気に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定する検査です。正式には、FeNOはFractional exhaled Nitric Oxideの略で、日本語では呼気一酸化窒素濃度と呼ばれます。喘息では、気管支に慢性的な炎症が起こります。特に、アレルギーや好酸球という白血球が関係する好酸球性気道炎症があると、呼気中の一酸化窒素が増えやすくなります。つまりFeNO検査は、喘息で問題となる気道のアレルギー性炎症を数値で確認する検査です。

FeNO検査の特徴

  • 息を吐くだけでできる
  • 痛みがない
  • 数分で結果がわかる
  • 喘息や咳喘息の診断補助に役立つ
  • 吸入ステロイド薬の効果判定に使える
  • 治療中の喘息コントロール確認にも役立つ

ただし、FeNO検査だけで喘息を確定診断するわけではありません。問診、聴診、呼吸機能検査、アレルギー検査、治療への反応などを組み合わせて、総合的に判断します。

FeNO検査で何がわかる?

FeNO検査で主にわかるのは、気道に好酸球性炎症があるかどうかです。喘息にはいくつかのタイプがありますが、FeNO値が高い場合は、アレルギーや好酸球が関係するタイプの喘息が疑われます。このタイプでは、一般的に吸入ステロイド薬(ICS)が効きやすい傾向があります。

FeNO検査が役立つ場面

  • 喘息かどうか迷うときの診断補助
  • 咳喘息が疑われるときの評価
  • 吸入ステロイド薬が効きやすいタイプかどうかの判断
  • 喘息治療中に気道炎症が改善しているかの確認
  • 症状は軽いが、気道炎症が残っていないかの確認
  • 吸入薬をきちんと使えているかの参考

たとえば、咳が長引いていても胸の音がはっきりしない場合や、呼吸機能検査だけでは診断が難しい場合に、FeNO検査が診断の助けになることがあります。

FeNO値の基準値・目安

FeNO値はppbという単位で表示されます。ppbは「10億分の1」を表す単位で、呼気中にどのくらい一酸化窒素が含まれているかを示します。

成人では、一般的に以下のような目安で解釈されます。

FeNO値 判定の目安 主な解釈
25ppb以下 低値 好酸球性炎症は少ない可能性
25〜50ppb 中等度 一定の気道炎症がある可能性
50ppb以上 高値 好酸球性気道炎症が強く、喘息を示唆する可能性

小児では成人と基準が異なり、成人より低い値で判断することがあります。そのため、年齢や症状、アレルギーの有無、喫煙歴、感染症の有無などを含めて判断することが大切です。

ポイント:
FeNO値が高いほど喘息の可能性が高くなることがありますが、FeNO値だけで喘息と診断することはできません。反対に、FeNO値が低くても喘息を完全に否定できるわけではありません。

FeNO検査の方法|どのように検査する?

FeNO検査は、専用の測定機器に向かって、一定の強さで息を吐いて行います。

検査の流れ

  1. 専用のマウスピースを口にくわえる
  2. 鼻からではなく、口から息を吸う
  3. 一定のスピードで約10秒ほど息を吐く
  4. 機械が呼気中の一酸化窒素濃度を測定する
  5. 数分でFeNO値が表示される

検査は痛みがなく、採血も不要です。呼吸を合わせる必要はありますが、多くの方は短時間で実施できます。

ただし、小さなお子さんや、強い咳が出ている方、息を一定に吐くことが難しい方では、うまく測定できない場合があります。

FeNO検査のメリット

FeNO検査には、患者さんにとっても医療者にとっても多くのメリットがあります。

メリット 内容
痛みがない 息を吐くだけなので、採血のような痛みがありません。
結果が早い 検査後、比較的短時間で結果がわかります。
気道炎症を数値で見られる 症状だけではわかりにくい炎症の程度を確認できます。
治療効果を確認しやすい 吸入ステロイド薬で炎症が改善しているかを確認できます。
繰り返し検査しやすい 非侵襲的な検査のため、経過観察にも使いやすい検査です。

喘息治療では、「咳が減った」「息苦しさが減った」といった症状の改善だけでなく、気道の炎症がきちんと抑えられているかを確認することが重要です。FeNO検査は、その確認に役立つ検査のひとつです。

FeNO検査の費用|保険適用される?

FeNO検査は、喘息や咳喘息が疑われる場合、または喘息治療の効果判定を目的とする場合に、保険診療で行われることがあります。

検査費用は、診療報酬点数や医療機関の算定内容によって変わりますが、検査そのものの自己負担額の目安は以下の通りです。

自己負担割合 費用の目安
3割負担 約700〜900円前後
2割負担 約500〜600円前後
1割負担 約250〜300円前後

ただし、実際の窓口負担には、初診料・再診料・処方箋料・他の検査費用などが加わることがあります。そのため、最終的な費用は受診内容によって異なります。

また、健康診断や自費検査として行う場合は、保険診療とは費用が異なることがあります。費用が気になる方は、受診前に医療機関へ確認すると安心です。

FeNO検査はどんな人におすすめ?

以下のような方は、FeNO検査が役立つ可能性があります。

  • 咳が2〜3週間以上続いている
  • 夜間や明け方に咳が出やすい
  • 運動後や冷たい空気で咳が出る
  • 風邪のあとに咳だけが長引いている
  • 咳喘息と言われたことがある
  • 喘息かどうかはっきりしない
  • 吸入ステロイド薬を始めるべきか相談したい
  • 喘息治療中だが咳や息苦しさが残っている
  • 吸入薬の効果を確認したい
  • アレルギー体質があり、気道の炎症が心配

特に、長引く咳の原因としては、咳喘息、気管支喘息、感染後咳嗽、副鼻腔炎、後鼻漏、胃食道逆流症、COPD、薬剤性咳嗽など、さまざまな病気があります。そのため、咳が長引く場合は「ただの風邪」と決めつけず、必要に応じて検査を受けることが大切です。

FeNO値が高くなる原因・低くなる原因

FeNO値は喘息だけで変化するわけではありません。体調や生活習慣、他の病気によっても変動します。

FeNO値が高くなりやすい要因

  • 気管支喘息
  • 咳喘息
  • アレルギー性鼻炎・花粉症
  • アトピー性皮膚炎などのアレルギー体質
  • 好酸球性副鼻腔炎
  • 一部のウイルス感染後

FeNO値が低くなりやすい要因

  • 喫煙
  • 吸入ステロイド薬の使用
  • 飲食やカフェイン摂取の影響
  • 測定前の強い運動
  • 喘息でも好酸球性炎症が強くないタイプ

このように、FeNO値はさまざまな要因で変動します。そのため、検査結果は数値だけで判断せず、症状や診察所見、他の検査結果とあわせて評価する必要があります。

FeNO検査を受ける前の注意点

FeNO検査をより正確に行うためには、測定前の状態も大切です。医療機関によって説明は異なりますが、一般的には以下の点に注意します。

  • 検査前の喫煙は避ける
  • 検査直前の飲食やカフェイン摂取は避ける
  • 激しい運動の直後は避ける
  • 風邪症状がある場合は医師に伝える
  • 使用中の吸入薬や内服薬を伝える
  • 花粉症やアレルギー性鼻炎がある場合も伝える

すでに喘息の吸入薬を使用している場合、FeNO値が下がっていることがあります。薬の効果を評価するうえで重要な情報になるため、現在使っている薬は必ず医師に伝えましょう。

FeNO検査だけで喘息は診断できる?

FeNO検査は喘息の診断に役立つ検査ですが、FeNO検査だけで喘息を確定診断することはできません。喘息の診断では、以下のような情報を総合的に判断します。

  • 咳・喘鳴・息苦しさなどの症状
  • 症状が出る時間帯やきっかけ
  • アレルギー体質の有無
  • 聴診所見
  • 呼吸機能検査
  • 気道可逆性検査
  • FeNO検査
  • 血液検査
  • 吸入薬への反応

FeNO値が高い場合は、喘息や咳喘息の可能性を考える重要な材料になります。一方で、FeNO値が低い場合でも、症状や経過によっては喘息を否定できないことがあります。

咳が続くときはFeNO検査で喘息・咳喘息の確認を

長引く咳の中には、喘息や咳喘息が隠れていることがあります。特に、夜間や明け方に咳が出る、運動や冷気で咳が出る、風邪のあとに咳だけが残る、といった場合は注意が必要です。FeNO検査は、息を吹くだけで気道の炎症を確認できるため、喘息や咳喘息の診断補助として有用です。また、治療中の方にとっても、吸入薬が効いているか、気道炎症が残っていないかを確認する手がかりになります。咳が長引く場合や、喘息かどうか不安な場合は、自己判断で市販薬を続けるのではなく、医療機関で相談しましょう。

まとめ|FeNO検査は喘息の炎症を「見える化」する検査

FeNO検査は、呼気中の一酸化窒素を測定することで、喘息に関係する気道炎症を評価する検査です。

  • FeNO検査は息を吹くだけでできる非侵襲的な検査
  • 喘息や咳喘息の診断補助に役立つ
  • 吸入ステロイド薬が効きやすいタイプかどうかの参考になる
  • 治療効果や喘息コントロールの確認にも使える
  • 検査費用は保険診療で比較的受けやすい価格帯
  • ただし、診断は他の検査や症状とあわせて総合的に判断する

「咳が続く」「喘息かもしれない」「吸入薬が効いているか確認したい」という方は、FeNO検査について医師に相談してみてください。

参考文献

  1. Dweik RA, Boggs PB, Erzurum SC, et al. An official ATS clinical practice guideline: interpretation of exhaled nitric oxide levels (FeNO) for clinical applications. Am J Respir Crit Care Med. 2011;184(5):602-615.
  2. American Thoracic Society/European Respiratory Society. ATS/ERS recommendations for standardized procedures for the online and offline measurement of exhaled lower respiratory nitric oxide and nasal nitric oxide. Am J Respir Crit Care Med. 2005;171(8):912-930.
  3. 日本アレルギー学会:喘息診療実践ガイドライン2024
  4. 日本呼吸器学会:ガイドライン一覧
  5. NICE guideline NG245: Asthma: diagnosis, monitoring and chronic asthma management

この記事について

この記事は、公的機関・診療ガイドライン・医学論文などを参考に作成しています。

本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断や治療を代替するものではありません。 気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

執筆者:小林 知貴
所属:いしうちファミリークリニック 院長
資格:医学博士/家庭医療専門医/総合診療専門医/総合内科専門医

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