帯状疱疹ワクチンはどっちがいい?シングリックスと生ワクチンの効果・副反応・費用を医師が解説

ワクチン・予防医療

帯状疱疹ワクチンはどっちがいい?シングリックスと生ワクチンの効果・副反応・費用を医師が解説

「帯状疱疹ワクチンは打ったほうがいいですか?」

「シングリックスと生ワクチンはどっちがいいですか?」

「費用が高いと聞きましたが、それだけの価値はありますか?」

帯状疱疹ワクチンについて、このような相談を受けることが増えています。

帯状疱疹は、年齢とともに発症しやすくなる病気です。特に50歳を過ぎると発症リスクが高まり、皮膚症状が治った後も痛みが長く残る「帯状疱疹後神経痛」に悩まされることがあります。

この記事では、帯状疱疹ワクチンの効果、種類、副反応、費用、助成制度について、患者さん向けにわかりやすく解説します。

帯状疱疹とは?

帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる病気です。

子どものころに水ぼうそうにかかったことがある方では、ウイルスが体の中の神経節に潜伏しています。そのウイルスが、加齢、疲労、ストレス、病気、免疫力の低下などをきっかけに再び活動し始めることで、帯状疱疹を発症します。

帯状疱疹の主な症状は以下の通りです。

  • 皮膚のピリピリ・チクチク・ズキズキする痛み
  • 痛みに続いて出てくる赤い発疹
  • 水ぶくれを伴う皮膚症状
  • 体の左右どちらか片側に帯状に出る発疹
  • 顔、目、耳の周囲に出ることもある

帯状疱疹は、皮膚の病気と思われがちですが、実際には神経に炎症が起こる病気です。そのため、皮膚症状が治った後も痛みだけが残ることがあります。

帯状疱疹後神経痛とは?

帯状疱疹で特に注意したい合併症が、帯状疱疹後神経痛です。帯状疱疹後神経痛とは、皮膚の発疹が治った後も、数か月から数年にわたって痛みが続く状態です。

痛みの感じ方は人によって異なりますが、以下のように表現されることがあります。

  • 焼けるような痛み
  • 電気が走るような痛み
  • 服が触れるだけでも痛い
  • 夜眠れないほど痛む

帯状疱疹後神経痛は、生活の質を大きく下げます。睡眠不足、食欲低下、外出の減少、気分の落ち込みにつながることもあります。

そのため、帯状疱疹ワクチンの目的は、単に発疹を防ぐことだけではありません。長引く神経痛を防ぐことも大きな目的です。

帯状疱疹ワクチンの効果

帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症、重症化、帯状疱疹後神経痛を予防するためのワクチンです。現在、日本で使用されている帯状疱疹ワクチンには、大きく分けて2種類あります。

  • 乾燥弱毒生水痘ワクチン:生ワクチン
  • シングリックス:組換えワクチン・不活化ワクチン

どちらも帯状疱疹を予防する効果がありますが、効果の高さ、接種回数、費用、副反応、接種できる人に違いがあります。

帯状疱疹ワクチンの種類

ワクチン名 種類 接種回数 対象年齢 特徴
乾燥弱毒生水痘ワクチン 生ワクチン 1回 50歳以上 費用を抑えやすい。免疫抑制状態では接種できない場合があります。
シングリックス 組換えワクチン 2回 50歳以上 予防効果が高い。費用は高め。免疫機能が低下している方でも接種を検討しやすいワクチンです。

シングリックスと生ワクチンはどっちがいい?

帯状疱疹ワクチンを選ぶときに、最も多い質問が「シングリックスと生ワクチンはどっちがいいですか?」というものです。

結論からいうと、予防効果を重視するならシングリックスを選ぶメリットが大きいです。

一方で、費用を抑えたい方、1回接種で済ませたい方では、生ワクチンも選択肢になります。

効果の違い

厚生労働省の情報では、帯状疱疹に対する予防効果は以下のように示されています。

比較項目 生ワクチン シングリックス
接種後1年時点の発症予防効果 6割程度 9割以上
接種後5年時点の発症予防効果 4割程度 9割程度
接種後10年時点の発症予防効果 十分なデータなし 7割程度
帯状疱疹後神経痛の予防効果 6割程度 9割以上

シングリックスは、発症予防効果だけでなく、帯状疱疹後神経痛を防ぐ効果も高いとされています。そのため、特に以下のような方では、シングリックスを優先して検討する価値があります。

  • 帯状疱疹後神経痛をできるだけ防ぎたい方
  • 70歳以上の方
  • 糖尿病、慢性腎臓病、リウマチ、がん治療後などで帯状疱疹リスクが気になる方
  • 過去に帯状疱疹にかかったことがある方
  • できるだけ高い予防効果を希望する方

費用の違い

帯状疱疹ワクチンは、医療機関によって費用が異なります。一般的な費用の目安は以下の通りです。

ワクチン名 1回あたりの費用目安 接種回数 合計費用目安
生ワクチン 約7,000〜10,000円 1回 約7,000〜10,000円
シングリックス 約20,000〜25,000円 2回 約40,000〜50,000円

シングリックスは2回接種が必要なため、生ワクチンより費用は高くなります。

ただし、予防効果の高さ、効果の持続、帯状疱疹後神経痛の予防を考えると、費用に見合うメリットがあると考えられます。

自治体によっては助成制度があり、自己負担を減らせる場合があります。接種前に、お住まいの自治体のホームページや医療機関で確認しましょう。

帯状疱疹ワクチンの副反応

帯状疱疹ワクチンにも、ほかのワクチンと同じように副反応があります。多くは接種した部位の痛み、赤み、腫れ、だるさ、発熱などで、数日以内に自然に改善することが多いです。

生ワクチンの副反応

生ワクチンでは、以下のような副反応がみられることがあります。

  • 接種部位の赤み
  • かゆみ
  • 熱感
  • 腫れ
  • 痛み
  • 硬結
  • まれに発疹

生ワクチンは、免疫を強く抑える薬を使用している方や、免疫機能が大きく低下している方では接種できない場合があります。

シングリックスの副反応

シングリックスは高い予防効果が期待できる一方で、副反応は比較的出やすいワクチンです。

主な副反応は以下の通りです。

  • 接種部位の痛み
  • 赤み
  • 腫れ
  • 筋肉痛
  • 疲労感
  • 頭痛
  • 発熱
  • 悪寒
  • 胃腸症状

副反応は、通常1〜3日程度で改善することが多いです。

ただし、強いアレルギー症状、息苦しさ、全身のじんましん、意識がぼんやりするなどの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。

ワクチン別の副反応比較

副反応 生ワクチン シングリックス
接種部位の痛み・赤み 比較的軽め 多い
発熱・倦怠感 少なめ 比較的多い
接種回数 1回 2回
重篤な副反応 まれ まれ

帯状疱疹ワクチンは公費で打てる?

帯状疱疹ワクチンは、2025年度から定期接種の対象になりました。対象となる年齢や自己負担額は自治体によって異なります。助成制度の内容も地域差があります。一般的には、以下のような方が対象になることがあります。

  • 年度内に65歳になる方
  • 一定の年齢に該当する経過措置対象の方
  • 60歳以上65歳未満で、免疫機能に一定の障害がある方

ただし、実際の対象者、助成額、使用できるワクチン、予約方法は自治体によって異なります。接種を希望される方は、まずお住まいの市区町村のホームページを確認するか、医療機関にご相談ください。

帯状疱疹ワクチンを接種したほうがよい人

以下に当てはまる方は、帯状疱疹ワクチンの接種を前向きに検討してよいでしょう。

  • 50歳以上の方
  • 65歳以上の方
  • 過去に帯状疱疹にかかったことがある方
  • 帯状疱疹後神経痛をできるだけ避けたい方
  • 糖尿病、慢性腎臓病、膠原病、がん治療後などで免疫力が気になる方
  • 家族や周囲で帯状疱疹にかかった人を見て不安を感じている方
  • 自治体の助成対象になっている方

特に、帯状疱疹後神経痛は発症してから治療するより、予防することが大切です。

帯状疱疹に一度かかった人もワクチンは必要?

帯状疱疹に一度かかったことがある方でも、再発することがあります。そのため、過去に帯状疱疹になった方でも、ワクチン接種を検討することがあります。ただし、帯状疱疹を発症した直後は、体の免疫が一時的に高まっていることがあります。接種時期については、症状が落ち着いてから医師と相談しましょう。

当院での考え方

当院では、帯状疱疹ワクチンについて、効果、費用、副反応、持病、内服薬、助成制度を確認したうえで、患者さんに合ったワクチンを一緒に選ぶことを大切にしています。予防効果を重視する方には、シングリックスをおすすめしやすいです。一方で、費用を抑えたい方や、1回接種を希望する方では、生ワクチンも選択肢になります。どちらが正解というよりも、年齢、持病、免疫状態、費用、接種目的によって選び方が変わります。迷う場合は、診察時にご相談ください。

まとめ

帯状疱疹は、加齢とともに発症しやすくなる病気です。皮膚症状だけでなく、帯状疱疹後神経痛という長引く痛みが問題になることがあります。帯状疱疹ワクチンには、生ワクチンとシングリックスの2種類があります。

  • 費用を抑えたい方には、生ワクチンが選択肢になります。
  • 予防効果を重視する方には、シングリックスが有力な選択肢です。
  • シングリックスは費用が高めですが、発症予防効果と帯状疱疹後神経痛の予防効果が高いとされています。
  • 自治体の助成制度を利用できる場合があります。

帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹そのものだけでなく、長く続く神経痛を防ぐためにも大切な予防医療です。50歳以上の方、特に65歳以上の方は、一度接種について検討してみましょう。

参考文献

タイトルとURLをコピーしました