腎機能低下と言われたら|eGFR・クレアチニン・尿蛋白の見方と受診目安

健診異常から探す

腎機能低下と言われたら?eGFR・クレアチニン・尿蛋白の意味と受診目安を医師が解説

健康診断や血液検査で、「腎機能が低下しています」「eGFRが低めです」「クレアチニンが高いです」「尿蛋白が出ています」と言われ、不安になったことはありませんか。

腎臓は、体の中の老廃物や余分な水分を尿として外に出す大切な臓器です。また、水分や塩分のバランスを整えたり、血圧を調整したりする働きもあります。

しかし、腎機能低下は初期には自覚症状がほとんどありません。そのため、体調に大きな変化がなくても、健康診断で初めて指摘されることが多い異常です。

また、腎機能低下を放置すると、高血圧、むくみ、貧血、電解質異常などにつながることがあります。さらに進行すると、慢性腎臓病、いわゆるCKDとして継続的な治療や経過観察が必要になる場合もあります。

この記事では、腎機能低下とは何か、eGFR・クレアチニン・尿蛋白で何がわかるのか、なぜ腎機能検査が必要なのか、そして腎機能低下を指摘されたときの受診目安について、患者さん向けにわかりやすく解説します。

腎機能低下とは?

腎機能低下とは、腎臓が本来行っている働きが弱くなっている状態です。

腎臓の主な役割は、血液中の老廃物をろ過して、尿として体の外へ出すことです。さらに、体の中の水分や塩分を調整したり、血圧をコントロールしたり、貧血や骨の健康に関わるホルモンの調整にも関係しています。

つまり、腎臓は「尿を作るだけの臓器」ではありません。全身のバランスを保つために、とても重要な働きをしています。

一方で、腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。なぜなら、腎機能が低下しても、初期には痛みや強いだるさなどの症状が出にくいからです。そのため、「体調は悪くないのに、健康診断で腎機能低下を指摘された」という方も少なくありません。

慢性腎臓病、いわゆるCKDは、腎臓の働きが低下している状態や、尿蛋白など腎臓の異常が続いている状態を指します。特に、eGFRが低い場合や尿蛋白が続く場合は、腎臓の状態を詳しく確認する必要があります。

したがって、腎機能低下を指摘された場合は、症状がないから大丈夫と考えるのではなく、原因や程度を確認することが大切です。

eGFR・クレアチニン・尿蛋白とは?

腎機能低下を調べる代表的な検査には、eGFR、クレアチニン、尿蛋白があります。

それぞれの検査は、腎臓の状態を違う角度から見ています。そのため、どれか1つだけで判断するのではなく、血液検査と尿検査を組み合わせて確認することが大切です。

クレアチニンとは?

クレアチニンは、筋肉を使ったあとにできる老廃物の一つです。通常、クレアチニンは腎臓から尿へ排出されます。しかし、腎機能が低下すると、血液中にクレアチニンがたまりやすくなります。その結果、血液検査でクレアチニンの数値が高くなります。

ただし、クレアチニンの値は筋肉量の影響を受けます。例えば、筋肉量が多い方では高めに出やすく、反対に高齢の方や筋肉量が少ない方では低めに出ることがあります。

つまり、クレアチニンだけを見て「腎臓がよい・悪い」と判断するのではなく、年齢、性別、体格、過去の検査結果も含めて評価する必要があります。

eGFRとは?

eGFRは、腎臓がどのくらい老廃物をろ過できているかを示す目安です。正式には「推算糸球体ろ過量」といいます。血液中のクレアチニン値、年齢、性別などから計算されます。

eGFRは、腎臓の働きがどのくらい残っているかをみるために重要な数値です。一般的に、eGFRが低いほど腎機能が低下していると考えます。

ただし、eGFRはあくまで推定値です。また、脱水、体調不良、薬の影響などで一時的に変化することもあります。そのため、1回の検査だけで決めつけず、再検査や過去の結果との比較が大切です。

尿蛋白とは?

尿蛋白は、尿の中に蛋白が漏れていないかを調べる検査です。本来、蛋白は体に必要な成分であり、尿の中に多く出るものではありません。しかし、腎臓のフィルターが傷んでいると、尿の中に蛋白が漏れ出ることがあります。特に大切なのは、eGFRがまだ大きく低下していなくても、尿蛋白が出ている場合があるという点です。

つまり、血液検査でeGFRやクレアチニンを見るだけでは不十分なことがあります。尿蛋白も合わせて確認することで、腎臓のフィルターに負担がかかっていないかをより詳しく評価できます。

このように、eGFR・クレアチニン・尿蛋白を組み合わせて見ることで、腎臓の状態をより正確に判断できます。

腎機能が低下すると起こること

腎機能が低下すると、体の中に老廃物や余分な水分、塩分がたまりやすくなります。初期にはほとんど症状がありません。しかし、進行すると次のような症状が出ることがあります。

・足や顔のむくみ
・血圧の上昇
・息切れ
・だるさ
・食欲低下
・貧血
・夜間尿
・尿の泡立ち
・吐き気
・体のかゆみ

また、腎臓は心臓や血管とも深く関係しています。そのため、腎機能が低下すると、高血圧が悪化しやすくなったり、心不全、心筋梗塞、脳卒中などのリスクに関わったりします。さらに腎機能低下が進行すると、体に余分な水分や老廃物がたまり、日常生活に支障が出ることがあります。末期の腎不全では、透析や腎移植が必要になる場合もあります。ただし、健康診断で腎機能低下を指摘されたからといって、すぐに透析が必要になるわけではありません。多くの場合、まずは原因や程度を確認し、生活習慣、血圧、糖尿病、薬の影響などを見直します。

このように、腎機能低下は「腎臓だけの問題」ではありません。全身の健康を守るためにも、早い段階で見つけて、必要な対策を始めることが大切です。

腎機能検査が必要な理由

腎機能検査が必要な理由は、腎臓の異常が自覚症状だけではわかりにくいからです。腎臓は、かなり機能が低下するまで症状が出にくい臓器です。そのため、体調が悪くないからといって、腎臓に問題がないとは限りません。

そこで重要になるのが、血液検査と尿検査です。血液検査では、クレアチニンやeGFRを確認します。また、尿検査では、尿蛋白や尿潜血を確認します。これらを組み合わせることで、腎臓の働きと腎臓への負担をより詳しく調べることができます。

また、腎機能検査では「今回の数値」だけでなく、「以前と比べて悪くなっているか」も大切です。例えば、eGFRが少し低いだけでも、以前から同じくらいなのか、ここ数か月で急に低下したのかによって対応は変わります。

特に、次のような方は腎機能低下のリスクが高いため、定期的な検査が大切です。

・高血圧がある
・糖尿病がある
・脂質異常症がある
・肥満がある
・喫煙習慣がある
・腎臓病の家族歴がある
・尿蛋白を指摘されたことがある
・痛み止めをよく使う
・サプリメントや漢方薬を長く使用している

ただし、検査値は体調、脱水、食事、薬の影響を受けることもあります。したがって、腎機能低下を指摘された場合は、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関で再検査や原因の確認を行いましょう。

腎機能低下を指摘されたときの受診目安

健康診断で腎機能低下を指摘された場合は、放置せず一度医療機関で相談することをおすすめします。特に、次のような場合は早めに受診しましょう。

・eGFRが60未満と書かれている
・クレアチニンが高い
・尿蛋白が陽性
・尿潜血も陽性
・血圧が高い
・糖尿病がある
・むくみがある
・以前より腎機能が悪くなっている
・健診で毎年腎機能低下を指摘されている

また、eGFRが60以上であっても、尿蛋白が続いている場合は注意が必要です。腎臓病の評価では、eGFRだけでなく尿蛋白の有無や程度も重要です。受診時には、健康診断の結果、過去の検査結果、お薬手帳を持参してください。なぜなら、腎機能低下の原因を考えるうえで、過去からの変化や現在使用している薬の情報がとても重要だからです。

医療機関では、必要に応じて次のような確認を行います。

・血液検査
・尿検査
・血圧測定
・糖尿病や脂質異常症の確認
・薬やサプリメントの確認
・腎臓の超音波検査
・必要に応じた腎臓内科への紹介

このように、腎機能低下を指摘されたときは、数値だけで不安になるのではなく、原因、程度、進行のスピードを確認することが大切です。

腎臓を守るためにできること

腎臓を守るためには、生活習慣の見直しと、原因となる病気の管理が重要です。まず大切なのは、血圧の管理です。高血圧は腎機能低下の原因にもなり、腎機能が低下するとさらに血圧が上がりやすくなることがあります。そのため、家庭血圧を測定し、医師と相談しながら血圧を管理することが大切です。

次に、糖尿病の管理も重要です。血糖値が高い状態が続くと、腎臓の細い血管に負担がかかり、糖尿病性腎症につながることがあります。したがって、糖尿病がある方は、血糖値だけでなく尿蛋白や腎機能も定期的に確認しましょう。

また、食事では塩分のとりすぎに注意しましょう。塩分をとりすぎると血圧が上がりやすくなり、むくみの原因にもなります。まずは、味の濃い食事、汁物の飲みすぎ、加工食品、漬物、麺類のスープなどを見直すことから始めるとよいでしょう。

一方で、腎機能が低下しているからといって、自己判断で極端な食事制限をするのはおすすめできません。腎機能の程度によっては、蛋白質、カリウム、リンなどに注意が必要になることもあります。しかし、必要な制限は人によって異なります。そのため、食事療法は医師や管理栄養士と相談しながら行うことが大切です。

さらに、次の点にも注意しましょう。

・脱水を避ける
・禁煙する
・過度な飲酒を避ける
・痛み止めを自己判断で長く使わない
・サプリメントや漢方薬を使用している場合は医師に伝える
・健康診断の結果を放置しない
・血圧、糖尿病、脂質異常症をきちんと治療する

特に、市販の痛み止めや一部の薬、サプリメントは腎臓に負担をかけることがあります。したがって、腎機能低下を指摘されている方は、薬を追加する前に医師や薬剤師に相談すると安心です。

腎機能低下で注意したい市販薬・痛み止め・サプリメント|ロキソニンやイブは使っていい?
腎機能低下を指摘された方が注意したい市販の痛み止め、風邪薬、胃薬、サプリメントを医師がわかりやすく解説します。

このように、腎臓を守るためには、特別なことを急に始めるよりも、血圧、血糖、塩分、薬の使い方、定期検査を一つずつ整えていくことが大切です。

よくある質問

腎機能低下と言われたら、すぐ透析になりますか?

すぐに透析が必要になるとは限りません。健康診断で腎機能低下を指摘された方の多くは、まず原因や程度を確認し、生活習慣、血圧、糖尿病、薬の影響などを見直します。ただし、腎機能低下を放置すると進行することがあります。そのため、早めに受診して、今の腎臓の状態を確認することが大切です。

eGFRが低いと言われました。何を意味しますか?

eGFRが低いということは、腎臓が老廃物をろ過する力が低下している可能性があるということです。ただし、eGFRは年齢、性別、クレアチニン値から計算される推定値です。また、脱水、体調、筋肉量、薬の影響を受けることもあります。そのため、1回の数値だけで判断せず、再検査や過去の結果との比較が大切です。

尿蛋白だけ陽性でした。腎臓が悪いのでしょうか?

尿蛋白が陽性の場合、腎臓のフィルターに負担がかかっている可能性があります。一方で、発熱、運動後、脱水、体調不良などで一時的に尿蛋白が出ることもあります。そのため、再検査で持続しているかを確認することが大切です。尿蛋白が続く場合は、eGFRが保たれていても腎臓病のサインになることがあります。

腎機能低下は治りますか?

原因によって異なります。脱水や薬の影響などで一時的に腎機能が悪くなっている場合は、改善することがあります。一方で、慢性腎臓病として腎機能低下が続いている場合は、完全に元に戻すことが難しいこともあります。しかし、血圧や糖尿病を管理し、塩分を控え、薬の影響を見直すことで、腎機能低下の進行を遅らせられる可能性があります。

何科を受診すればよいですか?

まずは、内科やかかりつけ医で相談してよいです。血液検査、尿検査、血圧、糖尿病、薬の影響などを確認したうえで、必要があれば腎臓内科などの専門医へ紹介します。特に、eGFRが大きく低下している場合、尿蛋白が多い場合、尿蛋白と尿潜血が両方ある場合、急に腎機能が悪化している場合は、専門医での評価が必要になることがあります。

まとめ

腎機能低下は、健康診断や血液検査でよく見つかる異常です。しかし、初期には自覚症状がほとんどないため、指摘されても放置してしまう方が少なくありません。腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、症状が出たときには病状が進行していることがあります。

腎臓の状態を確認するためには、クレアチニンやeGFRなどの血液検査だけでなく、尿蛋白などの尿検査も大切です。血液検査と尿検査を組み合わせることで、腎臓の働きや腎臓への負担をより詳しく評価できます。

腎機能低下を指摘されたからといって、すぐに透析が必要になるわけではありません。一方で、放置すると慢性腎臓病が進行したり、心臓や血管の病気のリスクが高くなったりすることがあります。そのため、健康診断でeGFR低下、クレアチニン高値、尿蛋白陽性を指摘された方は、早めに医療機関で相談しましょう。

早い段階で原因を確認し、血圧、糖尿病、生活習慣、薬の影響などを見直すことが、腎臓を守る第一歩です。

参考文献

タイトルとURLをコピーしました