健康診断や人間ドックで、「心電図異常」と指摘されると、不安になる方は多いと思います。
「心臓に病気があるのでは?」
「すぐに治療が必要なのでは?」
「放置しても大丈夫なの?」
このように心配になるかもしれませんが、心電図異常=すぐに危険な病気というわけではありません。
一時的な変化や、体質的な所見、経過観察でよいものもあります。一方で、不整脈、狭心症、心筋梗塞、心筋症、心臓の肥大などが隠れていることもあります。
大切なのは、健診結果を自己判断で放置せず、どのような異常なのか、症状があるのか、追加検査が必要かを確認することです。
・心電図異常とは何か
・健診でよく指摘される心電図異常
・すぐに受診した方がよい症状
・受診時に持っていくもの
・追加で行うことがある検査
・心電図異常を放置してよいか
心電図とは?
心電図は、心臓の中を流れる電気信号を記録する検査です。
心臓は、電気の刺激によって規則正しく動いています。この電気の流れに乱れがないかを調べることで、心臓のリズムや負担の有無を確認します。
心電図では、主に次のようなことがわかります。
- 脈が速すぎる、遅すぎる
- 脈が飛んでいる
- 不整脈がある
- 心臓に負担がかかっている可能性
- 心筋梗塞の跡がある可能性
- 狭心症や心筋虚血が疑われる可能性
- 心臓の肥大が疑われる可能性
ただし、心電図だけですべての心臓病がわかるわけではありません。
特に、発作的に出る不整脈や狭心症は、検査をした瞬間に異常が出ていなければ、通常の心電図では見つからないこともあります。
健診でよく指摘される心電図異常
期外収縮
期外収縮とは、通常のリズムよりも少し早いタイミングで心臓が動く不整脈です。
健診でよく見つかる所見のひとつで、
- 脈が飛ぶ感じがする
- 一瞬ドキッとする
- 胸が詰まる感じがする
- 動悸を感じる
といった症状が出ることがあります。
健康な人にもみられることがあり、症状が少なく、心臓の病気がなければ経過観察でよい場合もあります。
ただし、回数が多い場合、症状が強い場合、心臓の機能低下を伴う場合は、詳しい検査が必要です。
徐脈・頻脈
心拍数が遅すぎる状態を徐脈、速すぎる状態を頻脈といいます。
運動習慣がある方では、心拍数が少なめでも問題ないことがあります。一方で、徐脈によってめまい、ふらつき、失神がある場合は注意が必要です。
頻脈では、動悸、息切れ、胸部不快感を伴うことがあります。突然始まって突然止まる動悸がある場合は、発作性上室頻拍や心房細動などの不整脈が隠れていることもあります。
心房細動
心房細動は、心房という心臓の部屋が細かく震える不整脈です。
心房細動そのものですぐに命に関わるとは限りませんが、重要なのは、脳梗塞の原因になることがあるという点です。
症状としては、次のようなものがあります。
- 動悸
- 息切れ
- 疲れやすい
- 脈がバラバラに感じる
- まったく症状がない
心房細動は発作的に出ることもあり、通常の短時間の心電図では見つからないことがあります。
心房細動を指摘された場合や疑われた場合は、脳梗塞予防の必要性も含めて、医療機関で評価を受けることが大切です。
ST-T異常
健診結果で、
- ST低下
- ST-T異常
- T波異常
- 陰性T波
などと書かれることがあります。
これは、心臓の筋肉に負担がかかっている可能性や、血流不足、心筋虚血などを疑う所見です。
ただし、ST-T異常は必ずしも心臓病を意味するわけではありません。体型、貧血、電解質異常、薬の影響、自律神経の影響などで出ることもあります。
胸の痛み、息切れ、運動時の胸部圧迫感などがある場合は、狭心症などの可能性も考える必要があります。
左室肥大
左室肥大とは、心臓の左心室に負担がかかり、心筋が厚くなっている可能性を示す所見です。
原因として多いのは、高血圧です。
長年の高血圧によって心臓に負担がかかると、心臓の筋肉が厚くなり、将来的に心不全や不整脈のリスクにつながることがあります。
心電図で左室肥大を指摘された場合は、血圧の確認や心臓超音波検査を検討します。
右脚ブロック・左脚ブロック
脚ブロックとは、心臓の電気の通り道に伝わりにくい部分がある状態です。
右脚ブロックは、健康な方でも見つかることがあります。一方で、左脚ブロックや新しく出現した脚ブロックでは、心臓病が隠れていないか確認が必要になることがあります。
以前の心電図と比較することが重要です。
房室ブロック
房室ブロックは、心房から心室へ電気が伝わりにくくなる状態です。
軽いものでは経過観察となることもありますが、重症の場合は脈が極端に遅くなり、めまいや失神の原因になります。
症状がある場合は早めの受診が必要です。
QT延長
QT延長は、心臓の電気的な回復に時間がかかっている状態です。
一部の薬、電解質異常、体質などが原因になります。まれに危険な不整脈につながることがあるため、指摘された場合は内服薬の確認も含めて評価が必要です。
すぐに受診した方がよい症状
心電図異常を指摘された方で、次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
・胸の痛み、胸の圧迫感
・運動時の胸苦しさ
・息切れが強い
・以前より階段や坂道がつらい
・動悸が続く
・脈がバラバラに感じる
・めまい、ふらつき
・失神したことがある
・冷や汗を伴う胸痛
・顔色不良、強い倦怠感
特に、胸痛、強い息苦しさ、失神、冷や汗を伴う症状がある場合は、救急受診も検討してください。
症状がなければ放置してよい?
症状がない場合でも、健診結果に次のように書かれている場合は、一度確認した方が安心です。
- 要再検査
- 要精密検査
- 要受診
- 循環器内科受診を勧めます
- 前回より悪化
- 心房細動疑い
- 虚血性変化疑い
- 左室肥大
- QT延長
- 完全左脚ブロック
- 高度房室ブロック
心電図異常は、症状がないまま見つかることもあります。特に心房細動や心筋症などは、自覚症状が乏しいこともあります。
「何も症状がないから大丈夫」と決めつけず、健診結果の判定区分を確認しましょう。
受診するときに持っていくもの
受診時には、次のものを持参すると診察がスムーズです。
・健康診断の結果用紙
・心電図のコピー
・過去の健診結果
・お薬手帳
・血圧手帳
・症状が出た日時のメモ
・家族に心臓病や突然死がある場合はその情報
特に大切なのは、今回の心電図と過去の心電図を比較することです。
以前から同じ所見なのか、今回初めて出た所見なのかで、判断が変わることがあります。
心電図異常で行うことがある追加検査
再度の心電図検査
まずは、改めて心電図を確認します。
健診時の体調、緊張、測定条件によって、一時的な変化が出ることもあります。
血液検査
貧血、甲状腺機能、電解質異常、腎機能、糖尿病、脂質異常症などを確認します。
不整脈や動悸の原因が、心臓以外にあることもあります。
胸部レントゲン
心臓の大きさや肺の状態を確認します。心不全が疑われる場合にも参考になります。
心臓超音波検査
心臓の動き、弁の異常、心筋の厚さ、心臓のポンプ機能を調べます。
心電図で左室肥大、心筋症疑い、心雑音、心不全疑いなどがある場合に行われることがあります。
ホルター心電図
ホルター心電図は、24時間以上、心電図を記録する検査です。
通常の心電図では数秒しか記録できないため、発作的な不整脈は見つからないことがあります。
動悸、脈の乱れ、めまい、失神などがある場合は、ホルター心電図が役立ちます。
運動負荷心電図
運動をしたときに心電図の変化が出るかを調べる検査です。
労作時の胸痛や息切れがある場合、狭心症の評価として行われることがあります。
専門医への紹介
必要に応じて、循環器内科や専門病院へ紹介します。
心電図異常の内容によっては、精密検査や専門的な治療が必要になることがあります。
心電図異常を指摘されたときの考え方
所見名だけで判断しない
同じ「心電図異常」でも、危険性は大きく異なります。
経過観察でよいものもあれば、早めの検査が必要なものもあります。
症状の有無を確認する
胸痛、動悸、息切れ、めまい、失神があるかどうかは重要です。
特に、運動時に胸が苦しくなる場合や、失神を伴う場合は注意が必要です。
過去の結果と比較する
以前から同じ所見なのか、今回初めて出た所見なのかで対応が変わります。
過去の健診結果があれば、必ず持参しましょう。
よくある質問
Q. 心電図異常と言われたら、必ず心臓病ですか?
いいえ。必ずしも心臓病とは限りません。
健康な方でもみられる所見や、一時的な変化のこともあります。ただし、心臓病が隠れている場合もあるため、健診結果の判定区分や症状の有無を確認することが大切です。
Q. 症状がなければ受診しなくてもよいですか?
「異常なしに近い軽度所見」であれば経過観察となることもあります。
ただし、健診結果に「要再検査」「要精密検査」「要受診」と書かれている場合は、症状がなくても一度医療機関で確認することをおすすめします。
Q. 何科を受診すればよいですか?
基本的には、内科または循環器内科に相談します。
胸痛、動悸、息切れ、失神などがある場合は、循環器内科での評価が望ましいです。
Q. 心電図だけで狭心症はわかりますか?
心電図で狭心症が疑われることはありますが、心電図だけですべての狭心症がわかるわけではありません。
症状、血液検査、運動負荷検査、心臓超音波検査、必要に応じた画像検査などを組み合わせて判断します。
Q. 心電図異常は治療が必要ですか?
所見によります。
経過観察でよいものもありますし、生活習慣の改善、血圧管理、薬物治療、専門的な治療が必要になることもあります。
まずは、どのタイプの異常なのかを確認することが大切です。
まとめ
健康診断で心電図異常を指摘されても、すぐに危険な病気とは限りません。
しかし、心電図異常の中には、不整脈、狭心症、心筋梗塞、心筋症、心臓の肥大などが隠れていることもあります。
・胸痛がある
・動悸が続く
・息切れがある
・めまいや失神がある
・健診結果で「要精密検査」「要受診」と書かれている
・以前と比べて新しく出た心電図異常である
このような場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
心電図異常は、必要以上に怖がる必要はありません。一方で、自己判断で放置しないことが大切です。
健診結果をきっかけに、心臓の状態や生活習慣を見直す機会にしましょう。
受診の目安
健診で心電図異常を指摘された場合、まずは健診結果と心電図のコピーを持参してご相談ください。
症状の有無、過去の結果、血圧、生活習慣、内服薬などを確認し、必要に応じて追加検査や専門医への紹介を検討します。
胸痛、動悸、息切れ、めまい、失神などがある場合は、早めの受診をおすすめします。
