健康診断で「尿酸値が高いです」「高尿酸血症の疑いがあります」と言われると、痛風になるのではないか、薬を飲まないといけないのか、腎臓や心臓に影響があるのではないかと不安になる方も多いと思います。
結論からいうと、尿酸値が少し高いだけで、すぐに危険というわけではありません。しかし、尿酸値が高い状態が続くと、痛風発作、尿路結石、腎機能低下などにつながることがあります。また、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満などの生活習慣病と一緒に見つかることも多く、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントとの関連も指摘されています。
この記事では、健康診断で尿酸値の異常を指摘された方に向けて、尿酸値が高いとどうなるのか、治療が必要になる基準、痛風との関係、腎機能や心血管リスクとの関連、食事・飲酒・生活習慣で気をつけるポイントをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 尿酸値が何mg/dL以上だと高尿酸血症とされるのか
- 尿酸値が高くても自覚症状がないことが多い理由
- 高尿酸血症を放置すると起こりうる痛風発作・尿路結石・腎障害
- 薬による治療が必要になる目安
- 痛風発作・腎機能低下・尿路結石・高血圧など合併症との関係
- 飲酒・食事・体重・水分摂取・運動など生活習慣で気をつけること
1.尿酸値が高いとは?高尿酸血症とはどんな状態?
尿酸とは、体の中で「プリン体」という物質が分解されてできる老廃物です。プリン体は、細胞の中に含まれる成分で、食べ物からも入ってきますが、体内でも自然に作られています。通常、尿酸は血液中に溶けたあと、主に腎臓から尿として排泄されます。しかし、尿酸が作られすぎたり、腎臓からうまく排泄できなかったりすると、血液中の尿酸値が高くなります。一般的に、血清尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を高尿酸血症といいます。
| 尿酸値 | 考え方 |
|---|---|
| 7.0mg/dL以下 | 一般的には基準範囲内 |
| 7.0mg/dLを超える | 高尿酸血症 |
| 8.0mg/dL以上 | 合併症がある場合は薬物治療を検討することがあります |
| 9.0mg/dL以上 | 症状がなくても薬物治療を検討することがあります |
ただし、治療が必要かどうかは尿酸値だけで決まるわけではありません。痛風発作の有無、腎機能、尿路結石の有無、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などの合併症をあわせて判断します。
2.尿酸値が高いとどうなる?放置したときに起こりやすいこと
尿酸値が高い状態そのものは、多くの場合、自覚症状がありません。そのため、健康診断で初めて指摘される方も少なくありません。しかし、尿酸値が高い状態が続くと、血液中に溶けきれなくなった尿酸が結晶となり、関節や腎臓などにたまることがあります。その結果、次のような病気につながることがあります。
痛風発作
高尿酸血症で最もよく知られているのが痛風です。尿酸の結晶が関節にたまると、急激な炎症が起こり、強い痛みや腫れが出ます。痛風発作は、足の親指の付け根に起こることが多く、「風が当たっても痛い」と表現されるほど強い痛みが特徴です。足首、膝、足の甲、アキレス腱の周囲などに起こることもあります。
尿路結石
尿酸が尿の中で結晶化すると、尿路結石の原因になることがあります。尿路結石では、背中やわき腹の激しい痛み、血尿、吐き気などが出ることがあります。
腎機能低下
尿酸は主に腎臓から排泄されるため、腎機能が低下すると尿酸値が上がりやすくなります。一方で、高尿酸血症が続くことで、尿酸結晶や尿路結石を介して腎臓に負担がかかることもあります。健康診断で尿酸値が高いと言われた場合は、尿酸値だけでなく、クレアチニン、eGFR、尿蛋白、尿潜血などの腎機能に関する項目も確認することが大切です。
心血管イベントとの関連
尿酸値が高い方では、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームを合併していることが多く、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントとの関連も指摘されています。ただし、「尿酸値を下げれば必ず心筋梗塞や脳卒中を予防できる」と明確に証明されているわけではありません。そのため、心血管イベントを防ぐためには、尿酸値だけでなく、血圧、血糖、コレステロール、体重、喫煙、飲酒を総合的に見直すことが重要です。
3.尿酸値が高い原因は?
尿酸値が高くなる原因は、大きく分けると「尿酸が作られすぎる」「尿酸が排泄されにくい」「その両方」の3つです。
尿酸が作られすぎる原因
- 食べすぎ、飲みすぎ
- プリン体の多い食品の摂りすぎ
- アルコール摂取
- 果糖を多く含む甘い飲み物の摂りすぎ
- 激しい運動や脱水
- 一部の血液疾患や悪性腫瘍の治療など
尿酸が排泄されにくくなる原因
- 腎機能低下
- 肥満、内臓脂肪の増加
- 高血圧
- インスリン抵抗性、糖尿病
- 利尿薬など一部の薬剤
- 脱水
日本人では、尿酸が腎臓から排泄されにくいタイプの高尿酸血症も多いとされています。つまり、プリン体の多い食事だけが原因ではありません。
4.治療は必要?薬を始める基準の考え方
健康診断で尿酸値が高いと言われたとき、多くの方が気になるのは「薬を飲む必要があるのか」という点だと思います。薬が必要かどうかは、尿酸値の高さだけでなく、痛風発作の有無、痛風結節、尿路結石、腎機能低下、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などを総合的に判断します。
| 状態 | 治療の考え方 |
|---|---|
| 尿酸値7.0mg/dL超、症状なし、合併症なし | まずは生活習慣の見直しと経過観察 |
| 尿酸値8.0mg/dL以上で、腎障害・尿路結石・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などがある | 生活習慣改善に加えて、薬物治療を検討 |
| 尿酸値9.0mg/dL以上 | 症状がなくても薬物治療を検討 |
| 痛風発作を繰り返す | 尿酸を下げる薬を検討 |
| 痛風結節がある | 薬物治療で尿酸値6.0mg/dL以下を目指すことがあります |
| 尿路結石を繰り返す | 尿酸管理と尿の状態の評価が必要 |
痛風発作を繰り返す方や痛風結節がある方では、尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することが目標になります。ただし、薬を急に始めたり、尿酸値を急激に下げたりすると、かえって痛風発作が起こることがあります。そのため、医師の判断で少量から始め、血液検査を見ながら調整します。
5.痛風発作が起きたときはどうする?
足の親指の付け根などが突然赤く腫れて、強い痛みが出た場合は、痛風発作の可能性があります。ただし、細菌感染による関節炎など、急いで治療が必要な病気と区別が必要なこともあります。痛風発作が疑われるときは、自己判断で我慢せず、医療機関を受診してください。治療には、状態に応じて以下のような薬が使われます。
- NSAIDsと呼ばれる痛み止め・炎症止め
- コルヒチン
- ステロイド薬
腎機能が低下している方、胃潰瘍がある方、抗凝固薬を飲んでいる方、高齢の方では、使える薬が限られることがあります。市販の痛み止めを自己判断で続けるのは避けましょう。
痛風発作のときに気をつけること
- 痛い関節を無理に動かさない
- 強く揉まない
- 飲酒を控える
- 脱水を避ける
- 自己判断で尿酸を下げる薬を開始・中止しない
6.尿酸値と腎機能の関係
尿酸は主に腎臓から尿として排泄されます。そのため、腎機能が低下していると尿酸が体にたまりやすくなります。一方で、高尿酸血症がある方では、尿路結石や腎障害が見つかることがあります。そのため、健康診断で尿酸値が高いと言われたら、尿酸値だけを見るのではなく、腎臓の状態も一緒に確認することが重要です。特に以下の項目を確認しましょう。
- クレアチニン:腎機能を反映する血液検査
- eGFR:腎臓がどれくらい働いているかの目安
- 尿蛋白:腎臓に負担がかかっていないかを見る検査
- 尿潜血:血尿や結石、腎臓・尿路の異常の手がかり
近年の研究では、症状のない高尿酸血症に対して「腎機能低下を防ぐことだけ」を目的に尿酸を下げる薬を使うことについては、慎重な考え方も示されています。つまり、腎臓を守るためには、尿酸値だけでなく、血圧、糖尿病、尿蛋白、肥満、塩分摂取、喫煙などを総合的に管理することが大切です。
7.尿酸値を下げる治療法
生活習慣の改善
尿酸値が高いと言われたとき、まず大切なのは生活習慣の見直しです。特に、飲酒量、体重、甘い飲み物、食べすぎ、脱水は尿酸値に大きく関係します。「プリン体を完全にゼロにする」よりも、食べすぎ・飲みすぎを減らし、体重や血圧、血糖、脂質も含めて整えることが重要です。
薬物療法
薬物療法では、主に尿酸を下げる薬を使います。薬には大きく分けて、尿酸が作られるのを抑える薬と、尿酸を尿に出しやすくする薬があります。
| 薬の種類 | 代表的な薬 | 特徴 |
|---|---|---|
| 尿酸生成抑制薬 | アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタットなど | 体内で尿酸が作られるのを抑える薬です。腎機能に応じて用量調整が必要なことがあります。 |
| 尿酸排泄促進薬 | ベンズブロマロン、プロベネシド、ドチヌラドなど | 尿酸を尿に出しやすくする薬です。尿路結石や腎機能に注意が必要です。 |
尿酸を下げる薬は、始めたらすぐに痛風発作がなくなる薬ではありません。むしろ開始直後は尿酸値が変動し、痛風発作が起こりやすくなることがあります。そのため、医師の指示に従って、少量から始めて徐々に調整します。
また、痛風発作が落ち着いたからといって、自己判断で薬を中止すると尿酸値が再び上がり、発作を繰り返す原因になります。薬を続けるかどうかは、血液検査の結果や発作の頻度を見ながら相談しましょう。
8.尿酸値を下げる生活習慣のポイント
1)アルコールを減らす
尿酸値が高い方にとって、アルコールは重要なポイントです。ビールはプリン体を含むため特に注意が必要ですが、焼酎やウイスキーなら安心というわけではありません。アルコールそのものに尿酸を上げる作用があり、尿酸の排泄も妨げます。そのため、尿酸値が高い方は、まず飲酒量を減らすことが大切です。
2)甘い飲み物を控える
ジュース、清涼飲料水、エナジードリンク、甘い缶コーヒーなどに含まれる果糖は、尿酸値を上げる要因になります。水分補給は、水やお茶などの無糖の飲み物を中心にしましょう。
3)水分をしっかりとる
脱水になると尿酸値が上がりやすくなり、尿路結石のリスクも高まります。特に夏場、運動後、飲酒後、発熱時は脱水に注意しましょう。心不全や腎不全などで水分制限を受けている方を除き、こまめな水分摂取を心がけましょう。
4)体重をゆっくり減らす
肥満、とくに内臓脂肪の増加は高尿酸血症と深く関係しています。体重を減らすことで尿酸値が改善することがあります。ただし、急激なダイエットや極端な糖質制限、絶食は、かえって尿酸値を上げることがあります。無理なく、ゆっくり体重を減らすことが大切です。
5)軽い有酸素運動を続ける
ウォーキング、軽いジョギング、自転車、水中歩行などの有酸素運動は、肥満や生活習慣病の改善に役立ちます。一方で、急に激しい筋トレや無酸素運動を行うと、尿酸値が上がることがあります。まずは無理のない運動から始めましょう。
9.尿酸値が高い人が気をつけたい食べ物・飲み物
食べ物に含まれるプリン体は、体内で尿酸に変わります。そのため、プリン体の多い食品を毎日のように大量に摂ることは避けた方がよいです。ただし、プリン体を含む食品をすべて禁止する必要はありません。大切なのは、量と頻度の調整です。
プリン体が多く、控えめにしたい食品
| 食品・飲み物 | ポイント |
|---|---|
| レバー類 | 鶏レバー、豚レバー、牛レバーなどはプリン体が多い食品です。 |
| 白子、あん肝 | 尿酸値が高い方は食べる頻度を控えめにしましょう。 |
| 干物 | マイワシ、マアジ、サンマなどの干物はプリン体が多めです。 |
| 一部の魚介類 | イワシ、カツオ、エビなどは食べすぎに注意しましょう。 |
| 肉・魚の大量摂取 | 肉や魚は適量なら問題ありませんが、毎食大量に食べる習慣は見直しましょう。 |
| ビール | プリン体だけでなく、アルコール自体も尿酸値を上げます。 |
| 日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーなど | プリン体が少なくても、アルコールとして尿酸値に影響します。 |
| 甘いジュース、清涼飲料水 | 果糖を多く含む飲み物は尿酸値を上げやすくなります。 |
尿酸値が高い人におすすめしやすい食品
- 水、麦茶、無糖のお茶
- 野菜、海藻、きのこ類
- 低脂肪の乳製品
- 卵
- 豆腐、納豆などの大豆製品は食べすぎなければ問題になりにくいです
- 主食を極端に抜かず、バランスよく食べること
野菜や豆類にもプリン体を含むものはありますが、健康へのメリットも大きいため、過度に避けすぎる必要はありません。全体として、食べすぎ、飲みすぎ、甘い飲み物、肥満を改善することが大切です。
10.健康診断で尿酸値が高いと言われたら、まず確認したいこと
健診結果で尿酸値が高かった場合、次の項目も一緒に確認しましょう。
- 尿酸値が何mg/dLだったか
- 過去の健診でも高かったか
- 痛風発作を起こしたことがあるか
- 尿路結石を起こしたことがあるか
- クレアチニン、eGFR、尿蛋白、尿潜血に異常がないか
- 血圧、血糖、HbA1c、LDLコレステロール、中性脂肪に異常がないか
- 体重や腹囲が増えていないか
- 飲酒量、甘い飲み物、外食、夜食が多くないか
- 利尿薬など尿酸値に影響する薬を飲んでいないか
一度の検査だけで判断するのではなく、再検査や他の検査結果と合わせて評価することが大切です。
11.受診をおすすめする目安
次のような場合は、医療機関で相談することをおすすめします。
- 尿酸値が8.0mg/dL以上で、腎機能低下・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などがある
- 尿酸値が9.0mg/dL以上
- 足の親指の付け根などが赤く腫れて強く痛む
- 痛風発作を繰り返している
- 尿路結石を起こしたことがある
- 尿蛋白、尿潜血、eGFR低下を指摘されている
- 市販薬で痛みを繰り返し抑えている
- どの食事制限をすればよいかわからない
特に、発熱を伴う関節の腫れ、強い腰背部痛、血尿、腎機能低下がある場合は、早めの受診が必要です。
12.よくある質問
Q1.尿酸値が高いだけなら放置してもいいですか?
症状がない場合でも、尿酸値が高い状態が続くと、痛風、尿路結石、腎障害のリスクが高まります。また、生活習慣病が隠れていることもあります。まずは生活習慣の見直しと再検査をおすすめします。
Q2.ビールだけやめれば大丈夫ですか?
ビールは注意が必要ですが、焼酎やウイスキーなら大丈夫というわけではありません。アルコールそのものが尿酸値を上げるため、全体の飲酒量を減らすことが大切です。
Q3.プリン体ゼロのビールなら飲んでもいいですか?
プリン体ゼロでもアルコールを含む場合は尿酸値に影響します。また、飲酒量が増えると脱水や食べすぎにもつながりやすくなります。尿酸値が高い方は、プリン体だけでなくアルコール量全体を見直しましょう。
Q4.薬を飲み始めたら一生飲む必要がありますか?
痛風発作を繰り返す方や痛風結節がある方では、長期的な尿酸管理が必要になることがあります。ただし、生活習慣の改善や体重減少で薬の量を調整できる場合もあります。自己判断で中止せず、主治医と相談しましょう。
Q5.尿酸値を下げるために水をたくさん飲めばよいですか?
脱水を避けることは大切ですが、水だけで尿酸値が十分に下がるわけではありません。飲酒、甘い飲み物、体重、食事、運動、腎機能などを総合的に見直す必要があります。心臓病や腎臓病で水分制限がある方は、主治医の指示に従ってください。
まとめ|尿酸値が高いと言われたら、まずは生活習慣と合併症の確認を
健康診断で尿酸値が高いと言われても、すぐに怖がりすぎる必要はありません。しかし、高尿酸血症は痛風だけでなく、尿路結石、腎機能低下、生活習慣病、心血管リスクと関係することがあります。大切なのは、尿酸値だけを見て一喜一憂するのではなく、腎機能、血圧、血糖、脂質、体重、飲酒量、食生活を一緒に確認することです。尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合は、まず生活習慣を見直しましょう。8.0mg/dL以上で合併症がある場合、9.0mg/dL以上の場合、痛風発作や尿路結石がある場合は、医療機関で相談することをおすすめします。尿酸値は、生活習慣の改善と適切な治療でコントロールできることが多い検査項目です。不安な場合は、健診結果を持参して早めに相談してください。
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