かかりつけ医とは?家庭医をかかりつけ医にするメリットと選び方を解説

在宅医療・緩和ケア

はじめに|「かかりつけ医」とは、健康を相談できる身近な医師です

「体調が悪いけれど、何科に行けばよいかわからない」

「健診で血圧や血糖値を指摘されたけれど、すぐ病院に行くべき?」

「家族の体調のことも、まとめて相談できる先生がいると安心」

このようなときに頼りになるのが、かかりつけ医です。かかりつけ医とは、風邪や腹痛などの日常的な体調不良だけでなく、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病、予防接種、健康診断、子どもの体調、家族の健康相談まで、継続的に相談できる身近な医師のことです。

特に、家庭医は子どもから高齢者まで、年齢や診療科に関係なく幅広く診療する専門性を持つ医師です。そのため、家庭医をかかりつけ医にすることで、「どこに相談したらよいかわからない」という不安を減らし、必要なときには専門医や病院へスムーズにつなぐことができます。

この記事でわかること

  • かかりつけ医とは何か
  • かかりつけ医を持つメリット
  • 家庭医をかかりつけ医にするメリット
  • かかりつけ医制度と国が目指す方向
  • かかりつけ医と入院率・健康寿命の関係
  • どんなかかりつけ医がいいか
  • 海外のGP制度と日本の医療制度の違い

1. かかりつけ医とは?

かかりつけ医は「健康の第一相談窓口」

かかりつけ医とは、日常的な体調不良や健康相談を気軽に相談でき、必要に応じて専門医や病院につないでくれる身近な医師のことです。

たとえば、次のような相談ができます。

  • 発熱、咳、腹痛、頭痛、めまいなどの急な症状
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病
  • 健康診断で異常を指摘されたときの相談
  • 予防接種や感染症の相談
  • 子どもの体調不良や発達の相談
  • 高齢者の体調変化、認知症、介護の相談
  • 「何科に行けばよいかわからない」症状の相談

かかりつけ医は、単に病気を治療するだけではありません。患者さんのこれまでの病気、薬の内容、生活背景、家族構成、仕事、介護状況などをふまえて、その人に合った医療を一緒に考える存在です。


2. かかりつけ医を持つメリット

メリット1|「いつもと違う」に気づきやすい

同じ医師が継続して診ることで、普段の血圧、体重、検査結果、話し方、生活状況などを把握しやすくなります。そのため、患者さん自身は「少し調子が悪いだけ」と感じていても、医師がいつもと違う変化に気づき、早めに検査や治療につなげられることがあります。

メリット2|生活習慣病を継続的に管理できる

高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、脂肪肝などは、1回の診察だけで完結する病気ではありません。数か月から数年単位で、検査結果や生活習慣を見ながら治療を調整していく必要があります。かかりつけ医がいると、薬の調整、食事や運動の相談、合併症のチェックを継続的に行いやすくなります。

メリット3|必要なときに専門医へつながりやすい

すべての病気をかかりつけ医だけで完結させるわけではありません。心臓、脳、がん、整形外科、皮膚科、眼科、耳鼻科など、専門的な検査や治療が必要な場合には、適切なタイミングで専門医や病院へ紹介します。かかりつけ医の役割は、「自分で全部診ること」ではなく、「必要な医療に適切につなぐこと」でもあります。

メリット4|検査や薬の重複を減らしやすい

複数の医療機関を受診していると、同じような検査を何度も受けたり、似た作用の薬が重なったりすることがあります。かかりつけ医が全体を把握することで、検査や薬の重複を確認しやすくなり、医療費や体への負担を減らせる可能性があります。

メリット5|家族や介護のことも相談しやすい

病気は、本人だけでなく家族の生活にも影響します。特に高齢者では、通院、薬の管理、介護保険、認知症、在宅医療など、医療と生活が深く関係します。かかりつけ医がいることで、医療だけでなく、介護・福祉サービスにつなげやすくなります。


3. かかりつけ医と入院率|継続して診てもらうことの効果

かかりつけ医を持つことは、安心感だけでなく、医療の質にも関係すると考えられています。日本の研究では、プライマリ・ケアの質が高い人ほど、一定期間の入院が少ない傾向が報告されています。特に、アクセスのしやすさ、継続性、包括性、調整機能などが高い医療を受けている人では、入院リスクが低い可能性が示されました。また、海外の研究でも、同じ医師と継続的に関係を持つことは、死亡率の低下と関連する可能性が報告されています。ただし、ここで大切なのは、「かかりつけ医がいれば絶対に入院しない」という意味ではないということです。年齢、持病、生活環境、病気の重症度なども関係します。それでも、日頃から相談できる医師がいることで、病気の悪化を早めに見つけたり、必要な治療につながったりしやすくなるため、結果として入院や重症化を減らすことにつながる可能性があります。


4. かかりつけ医制度とは?国が目指す方向

日本では「かかりつけ医を自由に選ぶ」仕組みです

日本では、英国などのように「必ず登録したGPを通してから専門医を受診する」という厳格な登録制ではありません。患者さんは、診療所や病院を比較的自由に受診できるフリーアクセスが特徴です。これは受診しやすいという大きなメリットがある一方で、受診先が分散し、医療情報が共有されにくいという課題もあります。

かかりつけ医機能報告制度が始まっています

近年、国は「かかりつけ医機能」をよりわかりやすくし、地域全体で必要な医療を支える方向に進んでいます。2025年4月からは、かかりつけ医機能報告制度が施行されました。これは、医療機関が自院の持つ機能を報告し、地域で不足している機能を協議しながら整えていく仕組みです。特に、今後は高齢化が進み、在宅医療、時間外対応、慢性疾患管理、介護との連携などの重要性が高まります。国が目指しているのは、患者さんが必要なときに必要な医療へつながれるよう、地域全体でかかりつけ医機能を支える体制づくりです。つまり、これからのかかりつけ医は、単に「近所の先生」というだけではなく、地域の医療・介護・福祉をつなぐ中心的な役割を持つ存在になっていきます。


5. 家庭医とは?かかりつけ医との違い

家庭医とは、子どもから高齢者まで、年齢・性別・臓器・病名にかかわらず、幅広い健康問題に対応する医師です。日本では「総合診療医」と近い意味で使われることもあります。海外では、GP(General Practitioner)やFamily Physicianと呼ばれる医師が、地域医療の中心を担っています。かかりつけ医は「患者さんが信頼して継続的に相談する医師」という役割を表す言葉です。一方、家庭医は「幅広く総合的に診るための専門性」を表す言葉です。

項目 かかりつけ医 家庭医
意味 患者さんが継続的に相談する身近な医師 幅広い健康問題を総合的に診る専門性を持つ医師
対象 患者さんが自由に選ぶ 子どもから高齢者まで幅広く対応
役割 相談、治療、紹介、健康管理 総合診療、予防、家族背景の理解、地域連携

つまり、家庭医は、かかりつけ医として非常に相性のよい医師といえます。

家庭医について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
家庭医とは?総合診療医との違いと役割をわかりやすく解説


6. 家庭医をかかりつけ医にするメリット

メリット1|何科に行けばよいかわからない症状を相談しやすい

「胸が苦しい」「めまいがする」「お腹が痛い」「疲れやすい」「気分が落ち込む」など、症状だけでは何科に行けばよいかわからないことがあります。家庭医は、症状から考えられる病気を幅広く整理し、緊急性があるか、検査が必要か、専門医紹介が必要かを判断します。

メリット2|家族全体の健康を相談できる

家庭医は、本人だけでなく家族の健康も含めて考えることを大切にします。子どもの発熱、親の介護、働き盛り世代の生活習慣病、更年期の不調、高齢者の認知症や在宅医療など、家族全体を長く診ることで、より生活に合った医療を提供しやすくなります。

メリット3|病気だけでなく「生活」まで含めて考えられる

同じ病気でも、患者さんによって最適な治療は異なります。仕事が忙しい人、子育て中の人、介護をしている人、一人暮らしの高齢者など、生活背景によって続けやすい治療は変わります。家庭医は、病名だけでなく、患者さんの価値観や生活背景をふまえて治療を一緒に考えます。

メリット4|予防医療に強い

家庭医は、病気になってから治療するだけでなく、病気を予防することも重視します。

  • 予防接種
  • 健康診断の結果の見方
  • がん検診の相談
  • 生活習慣病の予防
  • 禁煙、減量、運動、食事の相談
  • 転倒予防や介護予防

このような予防医療を継続的に行えることは、家庭医をかかりつけ医にする大きなメリットです。


7. どんなかかりつけ医がいいか?選び方のポイント

かかりつけ医を選ぶときは、単に「近いから」だけでなく、相談しやすさや継続性も大切です。

選ぶポイント 確認したいこと
通いやすい 自宅や職場から通いやすく、継続受診しやすい
相談しやすい 話を聞いてくれ、質問しやすい雰囲気がある
説明がわかりやすい 検査結果や治療方針を納得できる言葉で説明してくれる
幅広く診てくれる 発熱、生活習慣病、健診異常、子ども、高齢者まで相談できる
専門医との連携がある 必要なときに病院や専門医へ適切に紹介してくれる
予防や生活も相談できる 薬だけでなく、食事・運動・予防接種・健診も相談できる
継続して関われる 長く付き合える体制がある

特に、生活習慣病がある方、高齢の方、複数の医療機関に通っている方、子育て中の方は、継続して相談できるかかりつけ医を持つことが大切です。


8. 海外のGP制度と日本の違い

海外では、GP(General Practitioner:総合診療医・家庭医)が医療の入り口になっている国があります。

英国のGP制度

英国では、地域のGPに登録し、体調不良や健康相談があるとまずGPに相談します。必要があれば、GPが専門医や病院へ紹介します。このような仕組みにより、患者さんは「まず誰に相談すればよいか」が明確になります。一方で、専門医受診までに時間がかかることがあるという課題もあります。

オランダなどのゲートキーパー制度

オランダなどでは、GPが専門医療への入り口として重要な役割を担っています。軽症から慢性疾患、予防、メンタルヘルスまで幅広くGPが対応し、必要に応じて専門医へ紹介します。

日本の特徴はフリーアクセス

日本では、患者さんが比較的自由に医療機関を選んで受診できます。これは便利な一方で、医療情報が分散しやすく、「全体を把握してくれる医師」がいない状態になりやすいという課題があります。そのため日本では、海外のような強い登録制ではなく、患者さんが自由にかかりつけ医を選びながら、地域全体でかかりつけ医機能を高めていく方向に進んでいます。


9. かかりつけ医に相談した方がよいタイミング

次のようなときは、かかりつけ医への相談をおすすめします。

  • 発熱、咳、のどの痛み、腹痛、頭痛などがある
  • 健診で血圧、血糖値、コレステロール、肝機能、尿酸値などを指摘された
  • 薬を複数飲んでいて、整理したい
  • どの診療科を受診すればよいかわからない
  • 予防接種や健康診断について相談したい
  • 家族の体調や介護について相談したい
  • 病院での検査結果や治療方針について説明を聞きたい
  • 在宅医療や訪問診療について相談したい

「こんなことで受診していいのかな」と迷う症状こそ、かかりつけ医に相談してよい内容です。


10. よくある質問

Q. かかりつけ医は必ず1人に決めないといけませんか?

必ず1人だけに決める必要はありません。ただし、健康状態や薬の全体像を把握してくれる医師がいると、医療が整理されやすくなります。

Q. 大きな病院をかかりつけにしてもよいですか?

病気によっては病院での継続管理が必要な場合もあります。ただ、日常的な体調不良や健診異常、予防接種、生活習慣病の相談は、地域の診療所の方が相談しやすいこともあります。

Q. 家庭医と内科医は違いますか?

内科医は主に内科疾患を診る医師です。家庭医は、内科疾患だけでなく、小児、高齢者、軽い外傷、予防、家族背景、介護や在宅医療まで幅広く診ることを重視します。

Q. 健康な人にもかかりつけ医は必要ですか?

健康な人でも、予防接種、健診結果の確認、がん検診、生活習慣の相談などで役立ちます。普段から相談先を持っておくことで、いざというときに安心です。

Q. どんな医師をかかりつけ医にすればよいですか?

通いやすく、話しやすく、説明がわかりやすく、必要なときに専門医へつないでくれる医師がよいでしょう。子どもから高齢者まで家族で相談したい場合は、家庭医をかかりつけ医にするのもおすすめです。


まとめ|かかりつけ医は、人生を支える健康パートナーです

かかりつけ医とは、病気になったときだけ受診する医師ではありません。日常の体調不良、生活習慣病、健診異常、予防接種、子どもの健康、高齢者の介護、在宅医療まで、人生のさまざまな場面で相談できる健康のパートナーです。特に家庭医は、年齢や病名にとらわれず、患者さんや家族の生活背景まで含めて総合的に診ることを大切にしています。

「何科に行けばよいかわからない」

「家族で相談できる医師がほしい」

「健診異常や生活習慣病を継続的に診てほしい」

このような方は、ぜひ身近なかかりつけ医、そして家庭医への相談を検討してみてください。


参考文献

  1. 厚生労働省:かかりつけ医機能報告制度
  2. 厚生労働省:かかりつけ医機能報告制度に係る自治体向け説明会資料
  3. 日本医師会:国民の信頼に応えるかかりつけ医として
  4. Aoki T, et al. Impact of Primary Care Attributes on Hospitalization During the COVID-19 Pandemic: A Nationwide Prospective Cohort Study in Japan. Ann Fam Med. 2023.
  5. Pereira Gray DJ, et al. Continuity of care with doctors—a matter of life and death? BMJ Open. 2018.
  6. NHS England:Primary care services
  7. The Commonwealth Fund:Japan Health System Profile
  8. The Commonwealth Fund:Netherlands Health System Profile
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