- 1.骨粗鬆症とは?|「年齢のせい」ではなく、骨折を防ぐために治療できる病気です
- 2.骨粗鬆症の症状|痛みがないまま進む「沈黙の病気」
- 3.骨粗鬆症を放置するとどうなる?|骨折から要介護につながることも
- 4.骨粗鬆症の検査の種類|DEXA・超音波・レントゲン・血液検査の違い
- 5.骨粗鬆症の診断基準|YAM値とは?
- 6.広島市にお住まいの方へ|骨粗しょう症検診は補助で受けられます
- 7.骨粗鬆症の治療法|食事・運動・薬物治療を組み合わせます
- 8.骨粗鬆症の薬物治療|内服薬・注射薬・点滴薬があります
- 9.骨粗鬆症の治療期間|「少し良くなったから中止」は危険です
- 10.非定型骨折とは?|副作用が心配で治療を迷っている方へ
- 11.骨粗鬆症は何科に相談する?
- 12.まとめ|骨粗鬆症は「骨折する前」に見つけることが大切です
- 参考文献
1.骨粗鬆症とは?|「年齢のせい」ではなく、骨折を防ぐために治療できる病気です
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨の量や質が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。「骨が弱くなる病気」と聞くと、年齢のせいだから仕方がないと思われる方もいます。しかし、骨粗鬆症は早く見つけて、適切に治療することで骨折リスクを下げられる病気です。特に注意したいのは、背骨の圧迫骨折や太ももの付け根の骨折です。これらは痛みだけでなく、歩行能力の低下、要介護、寝たきりにつながることがあります。
この記事でわかること
- 骨粗鬆症とはどんな病気か
- 骨粗鬆症の症状と、無症状でも検査が必要な理由
- 骨粗鬆症の検査の種類:DEXA、超音波、レントゲン、血液検査
- 骨粗鬆症の診断基準とYAM値の見方
- 内服薬・注射薬など治療法の違い
- 治療期間と、途中でやめてはいけない理由
- 非定型骨折など副作用への正しい考え方
- 広島市の骨粗しょう症検診の補助と自己負担1,200円について
2.骨粗鬆症の症状|痛みがないまま進む「沈黙の病気」
骨粗鬆症の怖いところは、骨が弱くなっていても、骨折するまで自覚症状がほとんどないことです。血圧や血糖値と同じように、骨密度も測ってみないと状態がわかりません。「痛くないから大丈夫」と思っている間に骨が弱くなり、転倒や軽い動作で骨折してしまうことがあります。
こんな症状・サインがある方は検査をおすすめします
- 以前より身長が縮んだ
- 背中が丸くなってきた
- 背中や腰の痛みが続いている
- 軽く転んだだけで骨折したことがある
- 親が大腿骨近位部骨折をしたことがある
- 閉経後の女性
- ステロイド薬を長期間使用している
- やせ型、食事量が少ない、運動不足
- 糖尿病、慢性腎臓病、関節リウマチ、甲状腺疾患などがある
特に、身長が2cm以上縮んだ方、背中が丸くなってきた方、腰や背中の痛みが続く方は、気づかないうちに背骨の圧迫骨折を起こしていることもあります。
3.骨粗鬆症を放置するとどうなる?|骨折から要介護につながることも
骨粗鬆症の治療目的は、単に骨密度の数字を良くすることではありません。最も大切な目的は、骨折を防ぎ、今の生活をできるだけ長く続けることです。骨粗鬆症で起こりやすい骨折には、次のようなものがあります。
| 骨折しやすい部位 | 特徴 |
|---|---|
| 背骨:脊椎圧迫骨折 | 背中や腰の痛み、身長低下、円背の原因になります。転倒しなくても起こることがあります。 |
| 太ももの付け根:大腿骨近位部骨折 | 手術や入院が必要になることが多く、歩行能力低下や要介護のきっかけになります。 |
| 手首:橈骨遠位端骨折 | 転倒して手をついたときに起こりやすい骨折です。 |
| 肩:上腕骨近位部骨折 | 転倒後に肩が上がらなくなる原因になります。 |
「骨粗鬆症は命に関わらない病気」と思われがちですが、大腿骨近位部骨折や脊椎圧迫骨折は、その後の生活に大きく影響します。だからこそ、骨折してから治療するのではなく、骨折する前に検査して対策することが重要です。
4.骨粗鬆症の検査の種類|DEXA・超音波・レントゲン・血液検査の違い
骨粗鬆症の検査にはいくつか種類があります。目的によって使い分けることが大切です。
① DEXA法(デキサ法)|骨粗鬆症診断の中心となる骨密度検査
DEXA法(DXA法)は、2種類のX線を使って骨密度を測定する検査です。骨粗鬆症の診断では、主に腰椎(腰の背骨)と大腿骨近位部(太ももの付け根)を測定します。骨折しやすい部位を直接評価できるため、骨粗鬆症の診断や治療方針を決めるうえで非常に重要です。
- 骨粗鬆症の診断に使いやすい
- 腰椎・大腿骨近位部を評価できる
- 治療前後の変化を確認しやすい
- 検査は短時間で、痛みはありません
② 超音波検査(QUS)|手軽に受けられるスクリーニング検査
超音波法(QUS)は、主にかかとの骨に超音波を当てて、骨の状態を推定する検査です。X線を使わないため被ばくがなく、健診やイベントなどでも行われることがあります。一方で、超音波検査は骨粗鬆症の診断や治療効果の判定には限界があります。あくまで「骨が弱くなっている可能性があるか」を調べるスクリーニングとして考えるとよいでしょう。
| 検査 | 特徴 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| DEXA法 | 腰椎・大腿骨の骨密度を測定 | 診断、治療方針、経過観察 |
| 超音波法 | かかとなどを測定。被ばくなし | 健診、スクリーニング |
| レントゲン検査 | 背骨の圧迫骨折や変形を確認 | 痛み・身長低下・円背の評価 |
| 血液検査・尿検査 | 骨代謝マーカーやカルシウム、ビタミンDなどを確認 | 原因検索、治療薬選択、治療効果判定 |
※当クリニックでは、超音波検査を行っております(所要時間5分程度)
③ レントゲン検査|背骨の圧迫骨折を見つける
骨密度だけでは、すでに起きている圧迫骨折を見逃すことがあります。身長低下、背中の丸まり、腰背部痛がある場合は、レントゲン検査で背骨の変形や骨折を確認します。特に、背骨の圧迫骨折は「いつの間にか骨折」と呼ばれることもあり、強い痛みがないまま進行していることがあります。
④ 血液検査・尿検査|骨粗鬆症の原因や治療効果を調べる
骨粗鬆症の診療では、骨密度だけでなく血液検査や尿検査も重要です。血液検査では、カルシウム、リン、腎機能、肝機能、ビタミンD、甲状腺機能などを確認します。また、骨代謝マーカーを調べることで、骨が壊されるスピードや骨が作られる状態を推定できます。これにより、どの治療薬が合っているか、治療が効いているか、副作用に注意が必要かを判断しやすくなります。
5.骨粗鬆症の診断基準|YAM値とは?
骨粗鬆症の診断では、骨密度をYAM値という指標で評価します。YAMとは「若い成人の平均骨密度を100%としたときに、自分の骨密度が何%か」を示す数値です。
| YAM値 | 目安 |
|---|---|
| 80%以上 | おおむね正常範囲 |
| 70%以上80%未満 | 骨量減少。骨折リスクや年齢により治療を検討 |
| 70%以下 | 骨粗鬆症と診断される目安 |
ただし、骨粗鬆症の診断は骨密度だけで決まるわけではありません。脆弱性骨折といって、転倒などの軽い力で骨折したことがある場合は、骨密度が70%以下でなくても骨粗鬆症と診断されることがあります。
骨粗鬆症と診断される主なケース
- 背骨の圧迫骨折や大腿骨近位部骨折がある
- その他の脆弱性骨折があり、YAM値が80%未満
- 脆弱性骨折がなくても、YAM値が70%以下またはTスコア-2.5以下
「骨密度が70%を少し超えているから大丈夫」と自己判断するのは危険です。年齢、骨折歴、家族歴、転倒リスク、糖尿病や腎臓病などの病気、ステロイド使用歴などを含めて、総合的に治療の必要性を判断します。
6.広島市にお住まいの方へ|骨粗しょう症検診は補助で受けられます
広島市では、対象年齢の方に骨粗しょう症検診が実施されています。対象は、女性は20歳から5歳刻みの年齢、男性は40歳から5歳刻みの年齢の広島市民です。対象年齢の誕生日から翌年の誕生日の前日までに1回受けることができます。
広島市の骨粗しょう症検診の自己負担金
- 個別検診:1,200円
- 施設検診:1,000円
- 集団検診:1,000円
条件により無料となる場合があります。対象年齢、持参物、実施医療機関などは広島市の案内をご確認ください。
骨粗鬆症は、症状が出てからではなく、症状がない時期に検査して見つけることが大切です。広島市の補助を使える年齢の方は、この機会に骨密度を確認しておくことをおすすめします。
7.骨粗鬆症の治療法|食事・運動・薬物治療を組み合わせます
骨粗鬆症の治療は、薬だけではありません。基本は、食事・運動・転倒予防・薬物治療を組み合わせて、骨折しにくい体を作ることです。
① 食事療法|カルシウムだけでなく、ビタミンDとタンパク質も大切
骨を強くするためには、カルシウムだけでなく、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質をしっかり摂ることが大切です。
- カルシウム:牛乳、ヨーグルト、小魚、大豆製品、小松菜など
- ビタミンD:鮭、サバ、イワシ、きのこ類、日光浴など
- ビタミンK:納豆、緑黄色野菜など
- タンパク質:肉、魚、卵、大豆製品など
高齢の方では、骨だけでなく筋肉も減りやすくなります。転倒を防ぐためにも、タンパク質を含めた栄養管理が重要です。
② 運動療法|骨に刺激を与え、転倒しにくい体をつくる
骨は、適度な刺激が加わることで強さを保ちやすくなります。ウォーキング、階段昇降、片足立ち、スクワット、かかと落としなど、無理のない範囲で継続することが大切です。ただし、すでに圧迫骨折がある方や強い腰痛がある方は、運動内容によって悪化することがあります。自己流で無理をせず、医師に相談してください。
③ 転倒予防|家の中の環境を見直すことも治療の一部です
骨密度を上げるだけでなく、転ばない工夫も大切です。
- 夜間のトイレまでの道に照明をつける
- 床の段差やコードを整理する
- 滑りやすいマットを避ける
- 足に合った靴を選ぶ
- 視力やふらつき、薬の副作用を確認する
8.骨粗鬆症の薬物治療|内服薬・注射薬・点滴薬があります
骨粗鬆症と診断された場合、骨折リスクに応じて薬物治療を検討します。現在は、内服薬、注射薬、点滴薬など複数の選択肢があります。薬を選ぶときは、骨密度の数値だけでなく、年齢、骨折歴、腎機能、胃腸の状態、通院頻度、飲み忘れの有無、生活スタイルを考慮します。
| 治療薬の種類 | 主な特徴 | 投与方法の例 |
|---|---|---|
| ビスホスホネート製剤 | 骨が壊される働きを抑える代表的な薬 | 週1回・月1回の内服、点滴など |
| 活性型ビタミンD製剤 | カルシウム吸収や骨代謝を調整する薬 | 内服 |
| SERM | 女性ホルモンに似た作用で骨を守る薬 | 内服 |
| 抗RANKL抗体製剤 | 骨吸収を強力に抑える注射薬 | 6か月に1回の皮下注射 |
| 副甲状腺ホルモン薬 | 骨を作る働きを高める薬。骨折リスクが高い方で検討 | 毎日または週単位の注射 |
| 抗スクレロスチン抗体薬 | 骨形成促進と骨吸収抑制の両方の作用をもつ薬 | 月1回の注射。原則12か月 |
内服薬が向いている方
- まずは飲み薬で治療を始めたい方
- 定期的な内服管理ができる方
- 胃腸の状態や腎機能に大きな問題がない方
ビスホスホネートの内服薬は、起床後に十分な水で飲み、一定時間は横にならないなど、飲み方に注意が必要です。正しく飲むことで効果が期待できます。
注射薬が向いている方
- 飲み薬を続けるのが難しい方
- 胃の不快感などで内服が合わない方
- すでに骨折歴があり、骨折リスクが高い方
- 骨密度がかなり低い方
注射薬には、6か月に1回のもの、月1回のもの、毎日または週単位で行うものなどがあります。通院頻度や骨折リスクに合わせて選択します。
9.骨粗鬆症の治療期間|「少し良くなったから中止」は危険です
骨粗鬆症の治療は、数週間で終わる治療ではありません。骨はゆっくり変化するため、数年単位で継続することが多い病気です。治療開始後は、血液検査や骨代謝マーカーで薬の反応を確認し、一定期間ごとに骨密度を再検査します。
| 時期 | 確認すること |
|---|---|
| 治療開始前 | 骨密度、骨折の有無、血液検査、腎機能、カルシウム、ビタミンDなど |
| 開始後数か月 | 副作用、飲み方、注射の継続、骨代謝マーカーなど |
| 1年ごと前後 | 骨密度の変化、骨折の有無、転倒リスク、治療継続の必要性 |
| 数年後 | 骨折リスクを再評価し、継続・変更・休薬を検討 |
特に注意が必要なのは、自己判断で治療を中断しないことです。薬の種類によっては、中止後に骨折リスクが上がることがあります。治療をやめるかどうかは、必ず医師と相談して決めましょう。
10.非定型骨折とは?|副作用が心配で治療を迷っている方へ
骨粗鬆症の薬について調べると、「非定型骨折」や「顎骨壊死」という言葉を見て不安になる方がいます。非定型骨折とは、太ももの骨に通常とは異なる形で起こるまれな骨折です。ビスホスホネート製剤や抗RANKL抗体製剤など、骨吸収を抑える薬を長期間使用している方で報告されることがあります。ただし、非定型骨折は頻度としてはまれです。骨折リスクが高い方では、薬によって通常の骨粗鬆症性骨折を防ぐメリットの方が大きいことが多くあります。
治療中に相談してほしいサイン
- 太ももや足の付け根の痛みが続く
- 歩くと太ももの外側が痛い
- 歯科治療や抜歯の予定がある
- 薬を飲むと胃もたれや胸やけが強い
- 注射後に体調不良が続く
副作用が心配な場合も、自己判断で中止するのではなく、医師に相談してください。薬の変更、投与間隔の調整、歯科との連携、休薬の検討など、状況に応じた対応が可能です。
11.骨粗鬆症は何科に相談する?
骨粗鬆症は、整形外科だけでなく、内科、家庭医、かかりつけ医でも相談できます。特に、糖尿病、腎臓病、甲状腺疾患、ステロイド使用、栄養状態、転倒リスクなど、全身の状態と関係することが多いため、普段の病気や薬も含めて相談できる医療機関で評価することが大切です。
受診をおすすめする方
- 閉経後で一度も骨密度を測ったことがない方
- 70歳以上で骨粗鬆症検査を受けたことがない方
- 身長が縮んだ、背中が丸くなった方
- 軽い転倒で骨折したことがある方
- 骨密度検査で「骨量減少」と言われた方
- 骨粗鬆症の薬を中断している方
- 広島市の骨粗しょう症検診の対象年齢に当てはまる方
12.まとめ|骨粗鬆症は「骨折する前」に見つけることが大切です
骨粗鬆症は、痛みがないまま進行することが多い病気です。しかし、検査で早期に見つけ、必要に応じて治療を始めることで、骨折を予防できる可能性があります。特に、背骨や太ももの付け根の骨折は、生活の自立度に大きく関わります。だからこそ、骨折してからではなく、骨折する前の検査と治療が重要です。
この記事のポイント
- 骨粗鬆症は、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。
- 初期は無症状のため、骨密度検査を受けないと気づきにくい病気です。
- 検査にはDEXA、超音波、レントゲン、血液検査などがあります。
- 診断ではYAM値や脆弱性骨折の有無を確認します。
- 治療には内服薬、注射薬、点滴薬など複数の選択肢があります。
- 治療は数年単位で継続することが多く、自己判断で中止しないことが大切です。
- 非定型骨折など副作用はまれですが、太ももの痛みなどがあれば早めに相談しましょう。
- 広島市では対象年齢の方に骨粗しょう症検診の補助があり、個別検診は1,200円で受けられます。
「年齢のせいだから仕方ない」と思わず、まずは一度、骨密度を確認してみましょう。骨粗鬆症は、早く見つけるほど、骨折を防ぐための選択肢が広がります。

