ニキビ治療で処方されたベピオを使っていたら、服やタオル、枕カバーの色が抜けてしまったことはありませんか?
「黒いTシャツがオレンジ色になった」「お気に入りの枕カバーがまだらに白くなった」「洗濯しても元に戻らない」といったトラブルは、ベピオの使用中に起こることがあります。
実は、ベピオには漂白作用があり、衣類や毛髪を脱色させることがあります。
この記事では、ベピオで脱色が起こるメカニズム、色落ちした衣類を元に戻せるのか、脱色を防ぐ具体的な方法について、医師がわかりやすく解説します。

ベピオで服やタオルが脱色するのはなぜ?
ベピオの有効成分は、過酸化ベンゾイル(Benzoyl Peroxide:BPO)という物質です。過酸化ベンゾイルは、ニキビの原因となるアクネ菌に対する抗菌作用と、毛穴の詰まりを改善する作用を持っています。
原因は過酸化ベンゾイルの酸化作用
過酸化ベンゾイルは強い酸化作用を持つ物質です。分解される過程でフリーラジカルと呼ばれる反応性の高い物質が生じ、細菌の膜構造やDNAなどに作用することで抗菌効果を発揮します。一方で、この酸化作用は衣類の染料などにも影響します。染料の色は、その分子構造が特定の光を吸収することで生まれています。酸化によって染料の構造が変化すると、それまでの色を保てなくなり、白っぽくなったり、オレンジ色やピンク色に変色したりすることがあります。
つまり、ニキビ治療に役立つ酸化作用が、衣類では色落ちの原因になるのです。
ベピオの添付文書にも、漂白作用があるため髪や衣類などに付着させないよう注意することが記載されています。
ベピオで脱色するものは?
ベピオによる脱色は、直接薬を付けた部分だけでなく、薬が付着した手や皮膚を通じても起こる可能性があります。
| 脱色する可能性があるもの | 注意する場面 |
|---|---|
| 衣類・Tシャツ | 顔や背中に塗った薬が服に触れる |
| タオル | 塗布した手や皮膚を拭く |
| 枕カバー・シーツ | 就寝中に塗布部位が寝具に触れる |
| 髪の毛・眉毛 | 生え際や額に薬が付着する |
| ヘアバンドなど | 薬が付着した部分に布が触れる |
黒い服がオレンジ色やピンク色になることも
脱色というと白くなることをイメージしますが、実際にはオレンジ色、赤みがかった色、ピンク色などに変わることもあります。これは布地に使われている染料によって、酸化の影響が異なるためです。また、薬の付着から時間が経過して変色が目立つ場合もあります。薬が付いたことに気づかず、後から衣類の変色を発見するケースもあります。
ベピオで脱色した服は元に戻る?
残念ながら、一度脱色してしまった衣類を洗濯だけで元の色に戻すことは、基本的にできません。
ベピオによる脱色は、汚れが付着している状態とは異なり、布地の染料そのものが酸化によって変化しているためです。洗剤や漂白剤を使っても、失われた染料の色が復活するわけではありません。むしろ、漂白剤を追加すると変色が広がるおそれがあります。
服にベピオが付着した直後の対処法
- できるだけ早く薬を取り除く:衣類に付いた薬を、こすり広げないように取り除きます。
- 洗濯表示を確認する:水洗いできる素材であれば、速やかに流水ですすぎます。
- 適切に洗濯する:衣類の洗濯表示に従って洗います。
- 変色を確認する:すでに染料が変化している場合は、洗っても元には戻りません。
過酸化ベンゾイルは水に溶けにくいため、水洗いだけで完全に除去できるとは限りません。薬が付着したら早めに対応することが大切ですが、脱色を完全に防げる保証はありません。大切な衣類が脱色した場合は、素材によっては染め直しや補修を相談できることもありますが、元の状態への完全な復元は難しいと考えましょう。
ベピオによる脱色を防ぐ6つの方法
① 塗った後は必ず手を洗う
ベピオを塗った手でタオルや服に触れると、薬が移って脱色する原因になります。塗布後は石けんと流水で手を洗い、指先や爪の周囲にも薬が残らないようにしましょう。
② 白いタオルや枕カバーを使う
最も取り入れやすい方法の一つが、白いタオルや寝具を使用することです。特に就寝中は顔が枕カバーに長時間触れるため、色落ちが気になる方は、枕に白いタオルを敷く方法がおすすめです。ただし、白い生地でも色付きのプリントや刺繍部分は脱色する可能性があります。
③ 塗った直後に服や寝具に触れない
ベピオゲルやベピオローションを塗った後は、薬がなじみ、十分に乾いてから衣類や寝具に触れるようにしましょう。ただし、乾燥したからといって脱色のリスクが完全になくなるわけではありません。特に就寝中の接触には注意が必要です。
④ 髪の生え際や眉毛への付着を避ける
額やこめかみなどに塗る場合は、髪の毛や眉毛に薬が付着しないよう注意しましょう。特にヘアカラーをしている場合、毛髪の色が変わる可能性があります。髪をよけて、医師に指示された範囲へ丁寧に塗布してください。
⑤ 背中のニキビでは衣類に注意する
背中や胸にベピオを塗る場合は、Tシャツや下着への付着に注意が必要です。大切な服を避け、白い肌着や色落ちしても困らない衣類を使用するとよいでしょう。
⑥ 脱色が気になる場合は治療薬を相談する
どうしても衣類の脱色が気になる場合は、主治医に治療方法を相談しましょう。ニキビの状態によっては、洗い流すタイプのベピオウォッシュゲルや、過酸化ベンゾイルを含まない治療薬への変更が選択肢になります。ただし、薬によって効果や副作用が異なるため、自己判断で変更せず、医師に相談することが大切です。
ベピオウォッシュゲルなら脱色しない?
ベピオには、主に次のような製剤があります。
| 製剤 | 濃度 | 使用方法 |
|---|---|---|
| ベピオゲル | 2.5% | 1日1回、洗顔後に塗布 |
| ベピオローション | 2.5% | 1日1回、洗顔後に塗布 |
| ベピオウォッシュゲル | 5% | 1日1回、塗布5~10分後に洗い流す |
ベピオウォッシュゲル5%は、薬を塗って5~10分後に洗い流すタイプの治療薬です。洗い流すことで、薬が衣類や寝具に付着する機会を減らせると考えられます。ただし、ウォッシュゲルにも漂白作用があり、脱色がまったく起こらないわけではありません。使用中に薬が周囲へ飛び散ったり、十分に洗い流せていなかったりすると、衣類やタオルを脱色させることがあります。なお、通常のベピオゲルやローションとウォッシュゲルでは、承認された使用方法が異なります。通常のゲルを自己判断で短時間で洗い流す使用方法に変更することは避けてください。
ベピオで肌の色も白くなる?
ベピオの漂白作用は、主に衣類や毛髪などへの付着で問題となります。一方、肌が白っぽく見える場合には、乾燥や皮むけ、炎症後の色素変化など、別の原因も考える必要があります。衣類の染料が脱色する現象と、皮膚の色が白くなる現象は、必ずしも同じではありません。皮膚に明らかな白い斑点が生じた場合や、赤み・かゆみ・皮むけが強い場合は、薬による刺激や皮膚疾患の可能性もあるため、医師に相談してください。
ベピオによる脱色についてのよくある質問
Q. 洗濯すれば脱色は直りますか?
一度染料が変化した場合、洗濯で元の色に戻すことは基本的にできません。薬が付着した直後であれば、早めに洗い流すことで追加の脱色を減らせる可能性があります。
Q. ベピオを塗ったあと、乾かせば大丈夫ですか?
十分に乾かすことは薬の付着を減らすために役立ちますが、脱色を完全に防ぐものではありません。白いタオルや寝具の使用もおすすめします。
Q. 髪の毛や眉毛も脱色しますか?
はい。ベピオには漂白作用があるため、髪の毛や眉毛にも付着させないよう注意が必要です。
Q. ベピオの脱色を防ぐため、塗る量を減らしてもいいですか?
自己判断で減量すると、ニキビ治療の効果が十分に得られなくなる可能性があります。医師から指示された量や範囲を守り、衣類への付着を防ぐ工夫を優先しましょう。
Q. エピデュオやデュアックでも脱色しますか?
はい。エピデュオゲルやデュアック配合ゲルにも過酸化ベンゾイルが含まれるため、同様の脱色に注意が必要です。
まとめ:ベピオの脱色は予防が大切
ベピオによる衣類やタオルの脱色は、有効成分の過酸化ベンゾイルが持つ酸化作用によって起こります。
- ベピオには衣類や毛髪を脱色させる作用がある
- 黒い服が白色やオレンジ色などに変色することがある
- 一度脱色した衣類は基本的に元に戻せない
- 薬を塗った後は手を洗い、髪や衣類への付着を避ける
- 白いタオルや枕カバーを使用すると対策になる
- 脱色が気になる場合は治療薬の変更について相談できる
ベピオはニキビ治療に有効な薬ですが、使用するときには衣類や寝具への付着に注意しましょう。脱色が心配だからと自己判断で治療を中断するのではなく、生活に合った治療方法について医師と相談することをおすすめします。

