突然、腰や脇腹に「じっとしていられないほどの激痛」が起こった場合、尿管結石の可能性があります。尿管結石は、腎臓でできた結石が尿管に移動し、尿の流れを妨げることで強い痛みや血尿、吐き気などを引き起こす病気です。
小さな結石は自然に排出されることがありますが、発熱を伴う尿管結石は緊急治療が必要になることがあります。また、痛みが治まっても結石や尿路の閉塞が残っている場合があるため、適切な検査と経過観察が重要です。
すぐに医療機関を受診したほうがよい症状
- 38℃前後の発熱、悪寒、震えがある
- 痛み止めを使用しても激しい痛みが続く
- 吐き気や嘔吐が強く、水分を摂れない
- 尿がほとんど出ない、急に尿量が減った
- 腎臓が1つしかない、両側の尿管結石を指摘されている
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある
- 高齢者、小児、免疫機能が低下している人
特に発熱を伴う尿管結石は、閉塞性腎盂腎炎から敗血症へ進行する危険があります。夜間や休日であっても、救急外来への受診を検討してください。
1.尿管結石とは?
尿管結石とは、腎臓と膀胱をつなぐ細い管である「尿管」に結石が入り込んだ状態です。多くは腎臓の中で形成された結石が尿管へ移動して起こります。腎臓、尿管、膀胱、尿道にできる結石をまとめて尿路結石と呼びます。結石が腎臓内にある状態が「腎結石」、尿管に移動した状態が「尿管結石」です。尿管に結石が詰まると、結石より上流側の尿が流れにくくなり、腎盂や尿管の圧力が高まります。さらに、尿管の収縮や炎症に関連する物質が増えることで、波のある激しい痛みである腎疝痛・尿管疝痛が起こります。
尿管結石の主な種類
| 結石の種類 | 特徴 |
|---|---|
| シュウ酸カルシウム結石 | 最も一般的。尿量不足、尿中カルシウム・シュウ酸の増加、クエン酸低下などが関係します。 |
| リン酸カルシウム結石 | 尿がアルカリ性に傾く病気、副甲状腺機能亢進症、尿細管性アシドーシスなどが関係することがあります。 |
| 尿酸結石 | 酸性尿、肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム、高尿酸血症などと関連します。 |
| 感染結石・ストルバイト結石 | 一部の細菌による尿路感染が原因となります。感染の治療と結石除去が重要です。 |
| シスチン結石 | シスチン尿症という遺伝性疾患が原因です。若年発症や繰り返す結石では注意します。 |
| 薬剤性結石 | 一部の抗ウイルス薬、抗菌薬、抗てんかん薬などが関係することがあります。 |
2.尿管結石の主な症状
突然起こる腰・脇腹の激痛
尿管結石の代表的な症状は、左右どちらかの腰、背中、脇腹に突然起こる激しい痛みです。痛みは一定ではなく、強くなったり弱くなったりすることがあります。一般的な腹膜炎では体を動かさずじっとしていることが多いのに対し、尿管結石では痛みが強いため、横になっても楽にならず、体勢を何度も変えたり歩き回ったりする人もいます。
結石の位置と痛みの場所
| 結石の位置 | 起こりやすい症状 |
|---|---|
| 腎盂・上部尿管 | 背中、腰、脇腹の痛み |
| 中部尿管 | 脇腹から側腹部、下腹部にかけての痛み |
| 下部尿管 | 下腹部、鼠径部、陰部へ響く痛み、頻尿、残尿感、排尿時の違和感 |
ただし、痛みの場所だけで結石の位置を正確に判断することはできません。画像検査による確認が必要です。
血尿
結石が尿管の粘膜を傷つけると血尿が起こります。尿が赤色や褐色になる肉眼的血尿だけでなく、尿検査で初めて分かる顕微鏡的血尿もあります。血尿が認められなくても尿管結石を否定することはできません。痛みの経過や画像検査を含めて総合的に診断します。
吐き気・嘔吐
尿管の刺激は自律神経を介して消化管にも影響するため、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。嘔吐が続いて水分を摂れない場合は、脱水や腎機能低下を防ぐため、点滴が必要になることがあります。
頻尿・尿意切迫感・排尿時の違和感
結石が膀胱に近い下部尿管まで移動すると、頻尿、急な尿意、残尿感、排尿時痛など、膀胱炎に似た症状が現れることがあります。
発熱・悪寒
尿管結石だけでは、通常、高熱は起こりません。発熱や悪寒を伴う場合は、結石による尿路閉塞に細菌感染が合併した閉塞性腎盂腎炎を疑います。尿が流れない状態で感染が起こると、抗菌薬だけでは十分に改善せず、尿管ステントや腎瘻によって尿を外へ逃がす緊急処置が必要になることがあります。
3.尿管結石の原因となりやすい人
尿管結石は、単一の原因で起こるとは限りません。水分不足、食生活、体質、代謝異常、基礎疾患、薬剤など、複数の要因が組み合わさって形成されます。
尿管結石のリスクを高める要因
- 水分摂取が少ない:尿量が減り、結石成分が濃縮されます。
- 汗を多くかく環境:暑い時期、屋外作業、激しい運動、サウナなどでは脱水に注意が必要です。
- 塩分の過剰摂取:尿中へのカルシウム排泄を増やす原因になります。
- 動物性たんぱく質の過剰摂取:尿酸増加、尿pH低下、尿中クエン酸低下などにつながります。
- 肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症:尿酸結石を含む尿路結石との関連が指摘されています。
- 尿路結石の既往歴:一度結石ができた人は再発しやすいため、予防が重要です。
- 家族歴:家族に尿路結石の人がいる場合、発症リスクが高くなることがあります。
- 消化管の病気や手術歴:炎症性腸疾患、慢性下痢、肥満手術後などではシュウ酸の吸収が増えることがあります。
- 副甲状腺機能亢進症、尿細管性アシドーシス、痛風など:結石の背景に治療可能な病気が隠れている場合があります。
- 一部の薬やサプリメント:薬剤自体が結晶化する場合や、尿中成分を変化させる場合があります。
「ストレスだけ」が直接の原因になるとはいえませんが、忙しさによる水分不足、食生活の乱れ、睡眠不足などを介して結石リスクに影響する可能性があります。
4.尿管結石の検査と診断
問診・身体診察
痛みが始まった時間、痛みの場所と移動、発熱、血尿、嘔吐、過去の結石歴、服用薬、妊娠の可能性などを確認します。尿管結石に似た症状を起こす別の病気があるため、腹部や背部、鼠径部なども診察します。
尿検査
尿検査では、血尿、白血球、細菌、亜硝酸塩、尿pHなどを確認します。感染が疑われる場合は尿培養検査を行い、原因菌と有効な抗菌薬を調べます。
血液検査
血液検査では、腎機能、白血球数、CRP、電解質、カルシウム、尿酸などを確認します。発熱がある場合は、全身感染の程度を評価するために追加検査を行うことがあります。
画像検査
| 検査 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 単純CT | 結石の大きさ、位置、数、尿路閉塞の程度を高い精度で確認できます。結石以外の腹痛の原因を見つけられることもあります。 | 放射線被ばくがあります。必要に応じて低線量CTを検討します。 |
| 超音波検査 | 被ばくがなく、水腎症や一部の結石を確認できます。妊婦や小児では第一選択です。 | 小さな尿管結石や中部尿管の結石は見つけにくいことがあります。 |
| 腹部単純X線・KUB | X線に写るカルシウム結石の位置や経過観察に役立つことがあります。 | 尿酸結石など、X線に写りにくい結石があります。 |
成人の急な脇腹痛では非造影CTが最も正確な検査ですが、年齢、妊娠の可能性、過去のCT回数、症状の重症度などを考慮して検査を選択します。
5.尿管結石と間違えやすい病気
腰痛、脇腹痛、腹痛、血尿を起こす病気は尿管結石だけではありません。次のような病気との鑑別が必要です。
- 腎盂腎炎、膀胱炎
- 急性虫垂炎、憩室炎
- 胆石発作、胆のう炎
- 大動脈瘤、大動脈解離
- 腎梗塞
- 卵巣茎捻転、子宮外妊娠、骨盤内炎症性疾患
- 精巣捻転、精巣上体炎
- 帯状疱疹
- 筋肉や背骨が原因の腰痛
特に高齢者の急な腰痛・腹痛では、大動脈疾患など命に関わる病気を除外する必要があります。「以前も結石だったから今回も同じ」と自己判断しないことが大切です。
6.尿管結石は自然に出る?
自然排石の可能性は、結石の大きさと位置によって変わります。一般的には、小さく、膀胱に近い結石ほど自然に排出されやすくなります。
| 結石の状態 | 自然排石の考え方 |
|---|---|
| 5mm未満 | 自然排石を期待できることが多く、感染や腎機能低下がなければ経過観察が選択されます。 |
| 5~10mm | 自然に出る場合もありますが、位置、尿路閉塞、痛みの程度などによって治療方針が分かれます。 |
| 10mm以上 | 自然排石の可能性が低くなり、内視鏡治療や体外衝撃波治療を検討することが多くなります。 |
EAUガイドラインでは、5mm未満の尿管結石の約75%が自然排石し、特に下部尿管にある5mm未満の結石では自然排石率が高いと報告されています。一方、同じ大きさでも上部尿管にある結石は排出されにくくなります。自然排石までの期間には個人差があります。痛みが消えたからといって、必ずしも結石が出たとは限りません。結石の排出、尿路閉塞の改善、腎機能の回復を、必要に応じて画像検査や血液検査で確認します。
7.尿管結石の治療
治療方針は、結石の大きさだけでなく、位置、痛み、尿路感染、尿路閉塞、腎機能、結石の硬さ、患者さんの希望などを考慮して決めます。
① 痛みを抑える治療
急性期の腎疝痛には、禁忌がなければNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が第一選択となります。ロキソプロフェン、ジクロフェナクなどが使用されます。ただし、腎機能低下、胃・十二指腸潰瘍、心血管疾患、抗凝固薬の使用、NSAIDsによる喘息、妊娠などがある場合は使用できないことがあります。アセトアミノフェンや、必要に応じて他の鎮痛薬を選択します。嘔吐がある場合は制吐薬を併用します。抗菌薬は、尿路感染がある場合に使用するものであり、感染のない尿管結石に一律に使用する薬ではありません。
② 自然排石を待つ保存的治療
自然排石が期待でき、感染、持続する強い痛み、腎機能低下などがない場合は、鎮痛薬を使用しながら経過観察します。
- 脱水を避け、飲める範囲で水分を摂る
- 痛み、発熱、尿量を確認する
- 医師から処方された鎮痛薬を適切に使用する
- 尿を茶こしや専用フィルターで受け、排出された結石を保管する
- 指定された時期に再診し、結石と尿路閉塞の状態を確認する
急性期に水を一気に大量に飲む必要はありません。尿管が強く閉塞しているときに無理な大量飲水をすると、腎盂内の圧力が高まり、痛みが増す可能性があります。嘔吐があるときは無理をせず、医療機関を受診してください。
③ α遮断薬による排石促進療法
α遮断薬は尿管の平滑筋を緩め、結石の排出を助ける目的で使用されることがあります。最新のEAUガイドラインでは、特に下部尿管にある5~10mmの結石で効果が期待できる選択肢とされています。ただし、すべての尿管結石に有効とは限らず、排石目的での使用が承認された適応ではない薬もあります。立ちくらみ、血圧低下、めまい、射精障害などの副作用があるため、自己判断では使用せず、医師と相談してください。
④ 体外衝撃波結石破砕術・ESWL
体外から衝撃波を当て、結石を細かく砕いて尿とともに排出させる治療です。体への負担が比較的少なく、施設や結石の状態によっては外来で行える場合があります。一方で、結石の位置や硬さ、体格などによっては十分に砕けず、複数回の治療や追加の内視鏡治療が必要になることがあります。妊娠中、未治療の尿路感染、出血しやすい状態などでは行えません。
⑤ 経尿道的尿管結石除去術・TUL/URS
尿道から細い内視鏡を入れ、尿管内の結石をレーザーなどで砕いて回収する治療です。英語ではureteroscopyの頭文字からURSとも呼ばれます。ESWLと比べて、1回の治療で結石がなくなる可能性が高いことが利点です。一方で、麻酔が必要となることが多く、尿管損傷、感染、出血などの合併症が起こる可能性があります。治療後、一時的に尿管ステントを留置することがあります。ステント留置中は頻尿、血尿、腰や下腹部の違和感が起こる場合があります。
⑥ 経皮的腎砕石術・PCNL
背中から腎臓へ細い通路を作り、内視鏡で結石を砕いて取り出す治療です。主に大きな腎結石や複雑な結石に行われ、一般的な小さな尿管結石で選択されることは多くありません。
治療を積極的に検討する状況
- 自然排石の可能性が低い
- 適切な鎮痛薬を使用しても痛みが続く
- 尿路閉塞が長く続いている
- 腎機能が低下している
- 腎臓が1つしかない
- 両側の尿管が閉塞している
- 発熱や尿路感染を伴っている
- 仕事、旅行、生活状況などから早期の結石除去を希望する
8.発熱を伴う尿管結石は緊急治療が必要
尿管結石による閉塞と細菌感染が同時に起こると、腎臓内に感染した尿がたまり、細菌が血液中へ広がることがあります。これは閉塞性腎盂腎炎、尿路性敗血症と呼ばれる危険な状態です。この場合、まず抗菌薬を投与するとともに、次のいずれかの方法で尿路を緊急に減圧します。
- 尿管ステント留置:膀胱から尿管内に細い管を入れて尿の流れを確保する
- 経皮的腎瘻造設:背中から腎臓へ管を入れ、感染した尿を体外へ排出する
感染が落ち着く前に結石を砕くと、細菌が全身へ広がる危険があります。そのため、通常は感染を制御した後に、改めて結石除去治療を行います。
9.尿管結石を予防する食事と水分摂取
尿路結石は再発することがあるため、結石が排出された後も予防が重要です。食事療法は結石の種類によって異なりますが、多くの人に共通する基本があります。
① 十分な水分を摂る
結石予防で最も重要なのは、尿を薄めることです。一般的には、1日2.5~3L程度の水分を摂り、1日尿量2~2.5L以上を確保することが目標になります。ただし、必要な水分量は体格、気温、運動量、発汗量によって変わります。心不全や腎不全などで水分制限を受けている人は、自己判断で飲水量を増やさず、主治医に確認してください。
- 起床後、食事の間、入浴前後、就寝前などに分けて飲む
- 汗をかく日や運動時は追加して補給する
- 水や無糖のお茶を中心にする
- 砂糖入り清涼飲料水や高カロリー飲料を常用しない
- アルコールを水分補給の代わりにしない
ビールを飲むと尿量は増えますが、アルコールによる脱水や尿酸への影響があるため、尿管結石の予防法としては勧められません。
② カルシウムを極端に減らさない
カルシウム結石だからといって、カルシウムを避ける必要はありません。食事中のカルシウムは腸の中でシュウ酸と結合し、シュウ酸が体内へ吸収されるのを抑えます。成人では、食事から1日1,000~1,200mg程度のカルシウムを確保することが推奨されています。牛乳、ヨーグルト、小魚、豆腐などをバランスよく摂りましょう。カルシウムサプリメントは、種類や飲むタイミングによって尿中カルシウムを増やす場合があります。サプリメントが必要な人は医師や管理栄養士に相談してください。
③ 塩分を控える
塩分を多く摂ると、尿中に排泄されるカルシウムが増え、カルシウム結石の原因になります。EAUガイドラインでは、食塩摂取量を1日4~5g程度に抑えることが示されています。
- 汁物の汁を残す
- 漬物、加工肉、カップ麺、スナック菓子を控える
- しょうゆやソースを「かける」より「つける」
- 香辛料、酢、レモン、だしを活用する
④ 動物性たんぱく質を摂りすぎない
肉類などの動物性たんぱく質を過剰に摂ると、尿酸の増加、尿pHの低下、尿中クエン酸の減少などを介して結石を作りやすくします。動物性たんぱく質は一律に禁止するのではなく、魚、肉、卵、大豆製品を組み合わせ、偏りを避けることが大切です。目安は、全体のたんぱく質として体重1kg当たり0.8~1.0g/日程度ですが、年齢や筋肉量、腎機能によって調整します。
⑤ シュウ酸は「すべて禁止」ではない
シュウ酸カルシウム結石では、シュウ酸を極端に多く摂らないことが重要です。ただし、シュウ酸を含む食品をすべて禁止すると、食事のバランスを崩す可能性があります。シュウ酸を比較的多く含む食品には、次のようなものがあります。
- ほうれん草
- たけのこ
- ナッツ類
- チョコレート、ココア
- 紅茶
ほうれん草などは、ゆでてゆで汁を捨てるとシュウ酸を減らせます。また、カルシウムを含む食品と一緒に摂ることで、腸内でシュウ酸が吸収されにくくなります。紅茶やナッツを一切禁止する必要はありません。結石の成分や尿中シュウ酸値を確認し、摂取量が多い場合に調整します。
⑥ 野菜や果物を適量摂る
野菜や果物は、水分、食物繊維、カリウム、クエン酸などを含み、尿路結石予防に役立つ可能性があります。レモンやかんきつ類に含まれるクエン酸は、尿中でカルシウム結晶の形成を抑える方向に働きます。ただし、果汁飲料には糖分が多いものがあります。糖分の多いジュースを大量に飲むのではなく、果物を適量食べるか、無糖のレモン水などを利用しましょう。梅干しはクエン酸を含みますが、塩分も多いため、結石予防目的で積極的に増やすことは勧められません。
⑦ ビタミンCサプリメントの過剰摂取に注意
ビタミンCの一部は体内でシュウ酸へ変換されます。通常の食事から摂る範囲で過度に心配する必要はありませんが、シュウ酸カルシウム結石を繰り返す人は、高用量のビタミンCサプリメントを常用しないほうがよいでしょう。
10.結石の種類ごとの予防法
シュウ酸カルシウム結石
- 尿量を十分に確保する
- カルシウムを食事から適量摂る
- 塩分を控える
- シュウ酸の極端な過剰摂取を避ける
- 動物性たんぱく質を摂りすぎない
- 尿中クエン酸が少ない場合はクエン酸製剤を検討する
尿酸結石
- 水分摂取を増やす
- 肉、内臓、魚卵などプリン体の多い食品を摂りすぎない
- 肥満、糖尿病、高尿酸血症を適切に治療する
- 医師の管理下でクエン酸製剤などにより尿をアルカリ化する
尿酸結石は、尿を適切にアルカリ化することで溶解できる場合があります。ただし、尿pHを上げすぎると別の結石ができる可能性があるため、自己判断で重曹やサプリメントを使用しないでください。
感染結石
感染結石では、原因となる尿路感染の治療と結石の除去が重要です。結石が残ると細菌が定着し、感染を繰り返すことがあります。
シスチン結石
シスチン結石では、より多くの尿量を確保する必要があります。尿のアルカリ化や専用の薬が必要になることもあるため、泌尿器科で継続的に管理します。
11.再発を繰り返す場合に行う検査
初めての結石でも、排出された結石を回収できた場合は成分分析が推奨されます。結石の種類が分かると、原因に合わせた再発予防が可能になります。次のような人では、血液検査や24時間蓄尿検査による詳しい代謝評価を検討します。
- 結石を何度も繰り返している
- 若い年齢で発症した
- 両側に結石がある、結石が多数ある
- シスチン結石、尿酸結石、感染結石などが疑われる
- 家族内に尿路結石が多い
- 腎機能低下や腎石灰化がある
- 消化管の病気や手術歴がある
- 副甲状腺機能亢進症などの基礎疾患が疑われる
24時間蓄尿では、尿量、カルシウム、シュウ酸、尿酸、クエン酸、ナトリウム、尿pHなどを測定し、食事療法や薬物療法を個別に調整します。
12.尿管結石についてよくある質問
痛みがなくなれば、結石は出たと考えてよいですか?
痛みがなくなっても、結石が同じ場所に残っていることがあります。尿路の閉塞が続いても痛みが弱くなる場合があるため、必要に応じて画像検査で排石を確認します。
尿管結石は何科を受診すればよいですか?
基本的には泌尿器科が専門です。急な激痛、発熱、嘔吐がある場合は、内科や救急外来でも初期評価を受けられます。
結石が出るまで運動したほうがよいですか?
体調が良ければ軽く歩くことはできますが、激しい運動が確実に排石を促すとは限りません。痛み、発熱、吐き気があるときは運動を控えてください。
カルシウム結石なら牛乳を飲まないほうがよいですか?
いいえ。食事から摂る適量のカルシウムは、腸内でシュウ酸と結合し、シュウ酸の吸収を抑えます。自己判断でカルシウムを極端に減らすことは勧められません。
尿管結石は薬で溶かせますか?
一般的なシュウ酸カルシウム結石は、薬で溶かすことはできません。一方、尿酸結石は尿を適切にアルカリ化することで溶解できる場合があります。
妊娠中でも検査できますか?
妊娠中は、放射線被ばくのない超音波検査を第一選択とします。超音波だけでは診断できない場合は、症状や妊娠週数を考慮して追加検査を検討します。妊娠の可能性がある場合は、検査前に必ず医療者へ伝えてください。
13.まとめ
尿管結石は、腎臓でできた結石が尿管へ移動し、突然の腰痛や脇腹痛、血尿、吐き気などを引き起こす病気です。小さな結石は自然に排出されることがありますが、治療方針は結石の大きさだけでなく、位置、感染、尿路閉塞、腎機能、痛みの程度などを考慮して決めます。特に、発熱や悪寒、尿量低下、治まらない痛み、繰り返す嘔吐がある場合は、緊急治療が必要な可能性があります。早めに医療機関を受診してください。再発予防には、水分を十分に摂ること、塩分や動物性たんぱく質を摂りすぎないこと、食事からカルシウムを適量摂ることが重要です。結石を繰り返す場合は、結石分析や24時間蓄尿検査を行い、一人ひとりの原因に合わせた予防法を検討しましょう。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状がある場合は医療機関を受診してください。
14.参考文献
-
- 日本泌尿器科学会・日本尿路結石症学会・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会「尿路結石症診療ガイドライン 第3版」
- European Association of Urology:EAU Guidelines on Urolithiasis 2026
- EAU Guidelines on Urolithiasis:Diagnostic Evaluation and Disease Management
- EAU Guidelines on Urolithiasis:Metabolic Evaluation and Recurrence Prevention
- American Urological Association:Surgical Management of Kidney and Ureteral Stones Guideline 2026
- American Urological Association:Medical Management of Kidney Stones Guideline

